乳化重合のメカニズムや特徴とは? 具体例とともにご紹介します。


乳化とは、水と油のような本来混じり合わない物質を混ぜ合わせたまま安定した状態に保つことです。
マヨネーズをはじめとする食品や、洗剤などの生活用品、さらに燃料に至るまでいろいろなところに使われているでしょう。
今回は乳化のひとつ乳化重合のメカニズムについてご紹介します。
通常の乳化と何が違うのでしょうか?
また、どんな特徴がありどのようなものを作るために使われているのかもご紹介します。
興味がある方はぜひ読んでみてください。

  1. 乳化とは?
  2. 乳化重合とは?
  3. 乳化重合のメカニズムとは?
  4. 乳化重合の一種、懸濁重合とは?
  5. 乳化重合によって作られているものとは?
  6. おわりに

1.乳化とは?

乳化重合をご紹介する前に、まずは通常の乳化のメカニズムからご紹介しましょう。
乳化とは、水と油のように通常は混じり合わないものを混ぜ合わせて安定することです。
身近な一例を挙げてみましょう。
ドレッシングは酢(水性)と油(油性)が主成分です。
このふたつは通常は混じり合うません。
しかし、激しく振ると一時的に混じり合うのです。
ドレッシングを使う前にはよく振りますね。
あれは水と油を混ぜあわせるためです。
でも、降って混ぜ合わせるだけでは、時間がたつにつれてすぐに分離してしまうでしょう。
そのため、水と油を繋ぎ止める「界面活性剤」もしくは「乳化剤」を用いて水と油が混ぜ合わさった状態を維持するのです。
ちなみにお酢と油に卵を混ぜ合わせるとマヨネーズができます。
マヨネーズは、分離することはありませんね。
これは、卵が乳化剤の役割を果たしているからです。

2.乳化重合とは?

乳化重合とは、不溶性のビニルモノマーを乳化剤に使い、水中に乳化し水溶性の重合開始剤を用いて重合することです。
といってもこれだけで理解できる方はごく少数だと思います。
そのためには、まず用語をひとつずつ解説していきましょう。
重合とは、単体の物質(英語でモノマーという)を、つなぎ合わせて複数にすることです。
鎖をイメージすると分かりやすいでしょう。
たとえば、鎖はひとつひとつは鉄の輪にすぎません。
これが、モノマーです。
それをつなぎ合わせて一本の鎖にすることが重合反応になります。
この重合体のことをポリマーというのです。
乳化重合とは、本来は混じりあわない単体の物質同士を混ぜ合わせて重合体を作ることをいいます。

3.乳化重合のメカニズムとは?

では、乳化重合とはどのようなメカニズムで行われるのでしょうか?
この項では、その特徴とともにご紹介します。

3-1.乳化重合のメカニズムとは?

乳化重合とはモノマーな分子をポリマーにするための重合方法の一種です。
分子にはいろいろな性質のものがあります。
すんなりと重合ができるものならばよいのですが、ただ混ぜ合わせただけではうまくいかにものも多いでしょう。
そこで、媒体として水を使い、解離性の高いマノマーと石けんを乳化剤として投入します。
乳化剤とは、界面活性剤と同じものと考えてよいでしょう。
親水性と親油性の両方を持つ物質のことで、水と油の仲立ちをするものです。
これによって油と水が混ざり合ったまま安定することができるでしょう。
このふたつを使うことで、水と油のような本来は混じりあわないものもポリマー化できるというわけです。

3-2.乳化重合の特徴とは?

乳化重合の特徴とは、第一に、速い速度で高重合度のポリマーが簡単に得られることです。
重合は物質によっては時間がかかることがあります。
しかし、重合によっては時間がかかりなおかつ、不安定でちょっと条件が違うだけでもポリマー化しにくいものもあるでしょう。
乳化重合の場合は、水と解離性の高いモノマー、さらに乳化剤さえあれば開始でます。
場合によっては開始剤も不要なことがあるでしょう。
分子量もごく少量から大きなものまでさまざまなものが行えます。

3-3.温度調節が容易

ポリマーは、何も常温で使うものとは限りません。
また、モノマーの中でも重合化する温度が高かったり低かったりするものもあります。
乳化重合とは、媒体に水を使うのです。
水は、すべての媒体の中で最も温度調整が容易なもののひとつ。
上げても下げても安定しているうえに、人体にとって有害な物質が出る心配もありません。
ですから、どんな温度でも重合化を行うことができるのです。

4.乳化重合の一種、懸濁重合とは?

懸濁重合とは、乳化重合の一種です。
今までご紹介してきた乳化重合の特徴やメカニズムから、何やら大がかりなことをしなければできない、というイメージを持っている方も多いでしょう。
しかし、懸濁重合はモノマーと溶媒の水とを機械的に撹拌(かくはん)することによって行う、メカニズム的にはとても簡単な方法です。
単に撹拌するだけならば、乳化の方法とそれほど変わりがありません。
また、粒上のきれいなポリマーが発生することや、モノマーに可溶なラジカル発生剤が重合開始のため行われることが多いのです。
ちなみに、紙おむつに使われている高分子ポリマーというのも、この方法で作られています。
乳化重合というと何やら難しい感じがしますが、ただかき混ぜればよいだけ、という方法は単純で、昔から人は経験によって行っていたかもしれません。

5.乳化重合によって作られているものとは?

では、乳化重合によってどのような製品が作られているのでしょうか?
この項で少しご紹介していきます。

5-1.紙おむつ

前述したように、高分子ポリマーというのは懸濁重合によって作られています。
この高分子ポリマーは大変吸水性がよく、水分を吸ってゼリーのように膨らむでしょう。
紙おむつに赤ちゃんがおしっこをしても外に漏れない理由は、この高分子ポリマーが水を吸い取っているせいなのです。
ちなみに、この高分子ポリマーは紙おむつだけでなく、水が少ない砂漠地帯などで農業を行うためにも利用されています。

5-2.接着剤

接着剤は、いろいろな物質を合成して粘着力を高めています。
この合成に、乳化重合が使われているのです。
接着剤は主に石油化合物から作られますが、特定の物体に対して粘着力を高めるためには、比重を変えなくてはいけません。
しかし、物質によって親油性、親水性がわかれているため、単に混ぜ合わせただけでは時間がたつにつれて分離してしまいます。
そこで、乳化重合を利用することで、物質の均一化を図るのです。
そうすれば、たとえ本来は混じりあわないものでも混じり合うます。

6.おわりに

いかがでしたか?
今回は乳化重合のメカニズムや特徴についてご紹介しました。
乳化重合というとこ場だけを聞くと、何やら難し気な感じがしますが、私たちのごく身近なものにも使われています。
さらに乳化重合の方法もそれほど難しくありません。
混ぜ合わせるだけならば、大企業でなくても行えるでしょう。
そのため、新しい業種にチャレンジしようとする企業にも向いています。
乳化重合をする機械もいろいろなメーカーから発売されていますし、従来のものを使っても行えるでしょう。
さらに、乳化重合のメカニズムを使って新しい物質も作ることができるかもしれません。
「このようなものがある」と知っているだけでもためになるでしょう。


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