乳製品の製造工程におけるホモジナイズとは? メリットや専用機器の導入方法も
高品質な乳製品を製造するために欠かせないのが「ホモジナイズ」です。ホモジナイズをすることで得られるメリットや、どのような方法で専用機器を導入すればいいのかなど、乳製品のホモジナイズで頭を抱えている方は多いでしょう。
ホモジナイズという技術を理解することで、製品の品質向上が期待できます。ただし、専用機器を導入する際は、いくつか押さえておきたいポイントもあるので注意が必要です。
本記事では、ホモジナイズが乳製品に与える影響や、専用機器を導入する方法とポイントなどを解説します。
- ホモジナイズの基礎知識
- ホモジナイズが乳製品にもたらすメリット
- ホモジナイズ処理を通じた品質改善の成功事例
- 高圧式ホモジナイザーなら三丸機械工業へ
- 乳製品のホモジナイズに関してよくある質問
この記事を読むことで、ホモジナイズの基礎知識や品質改善の成功事例も分かります。悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
1.ホモジナイズの基礎知識
まずは、ホモジナイズが乳製品製造プロセスにおいてどのように役立つのか、基本原理とそのプロセスをチェックしましょう。
物質を均質化すること
ホモジナイズを簡単に説明すると、物質を均質化することです。物質の中にはさまざまな大きさの成分が存在しており、均質化はその大きさを均一にそろえることを示しています。たとえば、タンパク質や脂肪などさまざまな成分が含まれている牛乳を例に挙げてみましょう。しぼりたての牛乳にはさまざまな大きさの成分が含まれているため、そのまま販売すると牛乳の表面にクリーム状の脂肪分が浮いてしまいます。一方、均質化した牛乳は成分の大きさが均一化されているため、脂肪分が浮くことなく舌触りもよくなるのです。
品質を安定させるため
ホモジナイズは、製品の品質を安定させるために必要な工程です。前述したように、均質化されていない製品は舌触りが悪く、品質が一気に悪くなってしまいます。牛乳からチーズやバターを製造する際、よくかき混ぜる必要がありますが、これは牛乳の中にある成分を均一化するためです。成分の大きさが均一になればなるほど、品質のいい乳製品を作ることができます。また、ホモジナイズは栄養素を均等にする重要なプロセスです。栄養素が均等に分散されると、栄養をバランスよく摂取できます。
ホモジナイザー(均質機)を用いて細かい粒子にする
では、どのようなプロセスでホモジナイズされるのでしょうか。一般的に、乳製品の製造工程で物質を均一化する際は、ホモジナイザーと呼ばれる専用機械を用いることになります。たとえば、ホモジナイザーに投入した生乳へ強い圧力をかけながら機械内の狭いすき間を通らせると、脂肪球が細かい粒子になるという仕組みです。具体的なプロセスはホモジナイザーの種類によって異なりますが、液体をかき混ぜながら粒子を細かくし、成分のサイズをそろえるのが基本原理となります。
2.ホモジナイズが乳製品にもたらすメリット
ここでは、ホモジナイズが乳製品にもたらすメリットを解説します。
安定した味が楽しめる
前述したように、乳製品の製造工程におけるホモジナイズは製品の品質だけでなく、味も安定させるメリットがあります。均質化されていない乳製品は成分ごとに分離しやすくなるため、味や舌触りが悪くなるからです。あらゆる成分を均一化することで分離を防ぐのはもちろん、安定した味を消費者に提供できます。製造業において安定した味や品質の製品を提供することは、顧客の信頼にもつながる大切な要素です。
消化吸収がよくなる
ホモジナイズは、乳製品の消化吸収が向上するというメリットもあります。消化吸収がよくなる理由としては、ホモジナイズによって成分を均一化することで、体内で吸収されやすくなるからです。成分が消化吸収しやすい大きさになるからこそ、乳製品の栄養素がしっかりと行きわたります。幼い子どもから高齢者まで幅広い世代がターゲットの乳製品は、消化吸収を助けるホモジナイズが必要不可欠です。
保存期間が長くなる
保存期間が長く保てるのも、ホモジナイズの大きなメリットです。タンパク質や脂肪球が細かい粒子になっているので、飲み始めから飲み終わりまで均一の味わいが楽しめるほか、均質化されていない乳製品よりも保存期間が長くなります。乳製品は液体の成分が不安定になるほど乳化しにくくなり、成分が分離した状態では長期間保存できません。
ホモジナイザーがまだ登場していなかった時期は、環境や保存期間によって脂肪が分離し、液体が容器にくっついてしまうことがありました。ホモジナイズで安定した品質を長く提供し続けることができるため、需要と供給のバランスも取れるようになります。大量生産や加工がしやすくなるのも、ホモジナイズの大きなメリットです。
短時間で均一な超高温殺菌が可能
乳製品におけるホモジナイズは、短時間で均一な超高温殺菌が可能になるのも大きなメリットです。日本の牛乳は、ほとんどが超高温瞬間殺菌されていますが、殺菌がまばらになってしまうと食中毒の原因になる可能性があります。ただ単に超高温殺菌をするだけでなく、均一に殺菌する必要があるのです。均質化することで、超高温殺菌が均一かつ短時間で行えるようになります。
3.ホモジナイズ処理を通じた品質改善の成功事例
ここでは、乳製品のホモジナイズ処理を通じた品質改善の成功事例を紹介します。
ホモジナイズのパイオニア「森永乳業」
「心と身体の健康で人生に寄り添う」商品を届けている森永乳業は、均質処理・超高温殺菌のパイオニアとして知られています。ホモジナイズされていないノンホモ牛乳が品質の証拠と認知されていた当時からホモジナイズを行い、牛乳上部にある脂肪分の固まりが生まれない製品を売り出しました。戦前にもホモ牛乳はありましたが、当時は身体の弱い子ども向けとして製造されていたそうです。森永乳業は幅広い世代が牛乳を楽しめるように、フルーツ牛乳など目新しい商品を生み出し、ホモジナイズによって品質と日持ちも向上し人気商品となりました。
カルシウム強化乳酸菌飲料の製造「ヤクルト」
国内の乳酸菌飲料シェア約6割を誇っているヤクルトでは、製造工程におけるホモジナイズを重要視しています。たとえば、カルシウム強化乳酸菌飲料の製造方法です。乳酸発酵した酸乳にカルシウムなどを加えたあと、均質化処理を行うことで物性安定性に優れた製品を生み出すことに成功しました。また、製品を長期間保存したとしても、分離・沈殿・凝集がまったく発生しなくなったという従来の問題点も解決できたそうです。
消化されやすい牛乳「雪印メグミルク」
日本の乳製品メーカーとして有名な雪印メグミルクでも、ホモジナイザーが大活躍しています。エネルギーの源である脂質は、ホルモンや細胞膜などを構成する大切な要素です。牛乳には小さな脂肪球となって分散した乳脂肪が存在しており、製造過程におけるホモジナイザーで細かく均質化されています。均質化された牛乳の栄養素は体内に吸収され、とても消化しやすくなるのです。牛乳を飲むとおなかがゴロゴロなる方もいますが、ホモジナイズされた牛乳は胃腸にもやさしいという特徴があります。
大幅な成長を遂げているホモジナイザー
ホモジナイズ処理は乳製品の製造工程だけでなく、化粧品・化学処理・医薬品・バイオテクノロジーなどあらゆる業界で行われています。さまざまな用途に合わせたホモジナイザーも登場しており、大幅な成長を遂げているのが現状です。特に、粉末を液体中に分散させることのできる超音波ホモジナイザーの需要が高まりつつあります。商品開発や新薬開発など、研究分野でもホモジナイズ処理は注目されているのです。
4.高圧式ホモジナイザーなら三丸機械工業へ
ここでは、高圧式ホモジナイザーの専門メーカー・三丸機械工業のサービスを紹介します。
乳製品のホモジナイズ処理における専門知識
ホモジナイザーの専門メーカーである三丸機械工業は乳業会社を始め、多くの食品企業にホモジナイザーを提供しています。ホモジナイズ処理の成功事例にて紹介した森永乳業やヤクルト、雪印メグミルク、丸善食品工業など納入実績も豊富です。乳製品のホモジナイズ処理における専門知識を持っているので、使用用途や目的に合わせたホモジナイザーが提供できます。
顧客のニーズに合わせたカスタマイズ可能なホモジナイザー
三丸機械工業は、これまでの納入実績と専門知識を併せて、顧客のニーズに合わせたカスタマイズが可能なホモジナイザーの提供が可能です。取り扱っているホモジナイザーは一般的なタイプからラボ用、高圧式、三連手動式アセプティック、油圧二段式などさまざまな種類があります。幅広い種類を扱っているからこそ、顧客のニーズにぴったりなホモジナイザーが紹介できるので、ぜひ一度お問い合わせください。
技術相談やテスト機の貸し出しも可能
初めてホモジナイザーを使用する方にとっては、どのように使えばいいのか、どのような点に注意すればいいのかなど技術面での不安があると思います。その際は、ぜひ三丸機械工業の技術相談をご利用ください。技術相談ではホモジナイザーの専門スタッフが、どのような悩みや疑問に対しても分かりやすく丁寧に説明します。また、お試しとしてホモジナイザーが利用できるテスト機の貸し出しも可能です。実際に使えるかどうか、導入前に確かめたい方はぜひご利用ください。
5.乳製品のホモジナイズに関してよくある質問
乳製品のホモジナイズに関する質問を5つピックアップしてみました。
Q.乳製品以外にホモジナイズされるシーンとは?
A.ホモジナイズ処理は、乳製品の製造工程以外にもさまざまなシーンで使われています。たとえば、化粧品・医薬品の製造やケミカル・化学、研究開発などです。特に、乳製品などの食品製造や化粧品では、ホモジナイザーが生産ラインを支えています。物質を同じ大きさにそろえることで味や品質が向上し、肌になじみやすい化粧品が生まれるでしょう。幅広い分野で使用されているホモジナイザーは、さまざまな種類があります。
Q.ホモジナイザーの主な種類は?
A.主な種類としては、高圧式・超音波式・ノズル式・バルブ式・攪拌(かくはん)式の5つがあります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
- 高圧式:液体中の物質に高圧をかけて微粒化する方法。ほかの種類よりも微細化が可能で処理量が多いため、食品・化粧品・医薬品・研究分野などで使用されている
- 超音波式:超音波から発生した振動を液体中に与え、キャビテーションによって微粒化する方法。処理量は少なめだが、乳化能力に優れている
- ノズル式:高圧下で粒子をノズルに通過させて微粒化する方法。ノズルが詰まりやすいというデメリットがある
- バルブ式:高圧力をかけた液体をホモバルブに通し、粒子を微細化する方法
- 攪拌式:高速回転で攪拌しながら、液体中の物質を微粒化する方法。精度が不要な加工に適しており、本格的な入荷の前に使用されるケースが多い
Q.アセプティックホモジナイザー、ラボスケールホモジナイザーとは?
A.ホモジナイザーの種類を用途別に分けると、アセプティックホモジナイザーとラボスケールホモジナイザーの2種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
- アセプティックホモジナイザー:スチームバリアーによって雑菌侵入を防ぎ、内部を無菌状態にできる。化粧品・食品・医薬品を乳化する際に使われることが多い
- ラボスケールホモジナイザー:研究室向けのホモジナイザー。大量の液体を一度に扱えないため、少量のサンプルを扱うシーンに適している
Q.ホモジナイザーの導入方法は?
A.新品または中古品のホモジナイザーを購入するか、レンタルすることになります。ホモジナイザーの値段は、大きさや種類などによって数十万~数百万と多種多様です。大型になればなるほど、ホモジナイザーの値段も高額になるでしょう。いろいろな機械を試したい、1回だけ使用してみたい方は、レンタルまたはテスト機を利用するのがおすすめです。
Q.ホモジナイザーを導入する際の注意点は?
A.アフターフォローが充実している業者から、ホモジナイザーを導入することです。アフターフォローが整っている業者だと、導入後に何か技術的な問題が起きたとしてもすぐに対応してもらえます。また、製造から販売まで一貫して行っている業者かどうかも大切なポイントです。製造と販売を一貫して行っている業者なら、機器の調子が悪くなってもスピーディーなメンテナンスが行えます。
まとめ
いかがでしたか? ホモジナイズは、乳製品の製造において味や品質を決める重要な工程です。物質の中に存在している成分を均質化することで、安定した味と品質の乳製品を消費者へ提供できます。ホモジナイズを行うには、ホモジナイザーと呼ばれる専用機器が必要です。高圧式ホモジナイザーの専門メーカーである三丸機械工業では、技術相談やテスト機貸し出しも行っているのでぜひ一度お問い合わせください。