工場のコスト削減のポイントややり方は?アイデアと共に解説

光熱費や原材料費が値上がり続ける現在、経営が厳しい工場も多いことでしょう。工場の利益を上げるには、売り上げをアップしたりコスト削減したりするなどの対応が必要です。そして、工場の現場で確実にコスト削減のほうでしょう。しかし、コスト削減をやみくもにおこなえば、作業効率が下がったり、従業員のやる気が失われたりします。今回は、工場の無駄を省くことにつながる本当のコスト削減のアイデアを紹介しましょう。コスト削減をしたいけれど、何から手を付けていいか分からない方は、ぜひ参考にしてください。

  1. コスト削減の必要性と重要性
  2. コストが膨張する原因と課題
  3. コスト削減を成功させるコツ
  4. 効果的なコスト削減の方法をご紹介

1.コスト削減の必要性と重要性

はじめに、コスト削減の重要性と必要性を解説します。なぜ、コスト削減が重要視されるのでしょうか?

1-1.光熱費や原材料の高騰

2022年ほろより、さまざまな要因で多くのものの値段が上がり始めました。特に顕著なのが、電気代やガス代といった光熱費です。普段と使用量が変わらないのに、格段に費用がかかるようになったというケースもあるでしょう。また、金属や重油などの原材料も同様です。金属から油まで、あらゆるものが値上がりし、製造コストの上昇を吸収するために、工場製品の値上げに踏み切ったところも多いでしょう。

1-2.ライバル業者の増加

現在はグローバル化が進んで、海外にライバル企業ができたといったケースも珍しくありません。人件費が安い海外では、同じ質の製品をもっと安価に製造している場合もあるでしょう。また、最新設備が整った工場ならば、さらに低価格で品質の良いものを製造できるいったケースもあります。外国の企業がライバルの場合、自社努力だけではどうにもならないケースもあるでしょう。しかし、だからといって手をこまねいているわけにはいきません。

2.コストが膨張する原因と課題

では、なぜコストが膨張するのでしょうか?ここでは、コストが膨張する原因や課題について解説します。

2-1.今までのやり方にこだわりすぎているため

技術は日々進歩しており、最新のやり方に切り替えたほうがコストがかからない場合も多いでしょう。例えば、資料などもデータ化して保存しておき、パソコンやスマホで見た方が費用がかかりません。しかし、すべて紙に印刷して従業員に配ったり保管しておいたりすれば、印刷費・紙代などがかかるだけでなく、保管場所も確保する必要があるでしょう。今までのやり方にこだわりすぎると、どうしてもコストがかさみがちです。

2-2.設備が古いため

蛍光灯よりLEDのほうが、光熱費は節約できます。設備も最新式のほうが省エネ仕様でしょう。しかし、設備を入れ替えるには費用がかかります。「設備は新しくしたいが、そのための資金がない」と悩んでいる工場も多いでしょう。

2-3.人件費の高騰

インフレが進むと、人件費も上げざるを得ません。しかし、日本は30年間ずっと人件費のアップが抑えられてきました。そのため、人件費が高騰すれば、設備投資に回す資金がなくなる懸念もあります。しかし、人件費を抑えれば、優秀な人材ほど他所に移ってしまうでしょう。人件費を削るのは最終手段です。

3.効果的なコスト削減の方法をご紹介

ここでは、効果的なコスト削減の方法を紹介します。コスト削減の方法に悩んでいる方は、参考にしてください。

3-1.削減できるコストの「見える化」をおこなう

コストには以下の4種類があります。

  1. 簡単に削減ができるもの
  2. 削減はできるが、結果が出るまで時間がかかるもの
  3. 削減はできるが、できれば避けたほうがよいもの
  4. 削減してはならないコスト

コスト削減するには、1と2をまずピックアップして全従業員が情報を共有しましょう。そして、1に分類されたものからコスト削減に取り組んでいきます。そうすれば、目先の費用に囚われることもありません。何をコスト削減するか明確になれば、やり方も見つけやすいはずです。

3-2.従業員に協力を求める

経営者が声高にコスト削減を叫んでもうまくいきません。従業員に協力を求めましょう。なお、従業員には係長や課長クラスの中間管理職も含まれます。上と下が一丸となってコスト削減のアイデアを出し合い、できることから実践していきましょう。例えば、作業を効率化して残業を極力減らせば、光熱費が節約できます。また、工程で無駄な部分がないか、見直してみるのも効果があるでしょう。

3-3.導入できるテクノロジーは積極的に導入する

事務作業は、iPasS(プラットフォーム一元化システム)などを利用すれば、半ば自動化が可能です。例えば、請求書処理なども自動化できる可能性があります。また、請求書や領収書を電子化すれば、郵送費・印刷代なども節約できるでしょう。1通あたりにかかる費用は少なくても、取引先が100件ほどあれば、毎月かかる費用はかなりのものになります。また、業務を効率化できれば、残業も減り、コスト削減が可能になるでしょう。

3-4.環境への配慮からコスト削減に取り組んでみる

エネルギー効率化や廃棄物削減をすれば、コスト削減と共に環境への負荷低減も期待できるでしょう。例えば、太陽光発電システムなどを利用すれば、光熱費の削減にもつながります。また、原材料のリサイクルが可能になれば、仕入れ費用なども削減できるでしょう。

3-5.サプライチェーンの最適化と協力関係の構築を考える

サプライチェーンとは、製品が完成して消費者の手に渡るまでの過程やコストを指します。例えば、工場で作ったものを、遠くまで納品しなければならない場合、それだけ運送費などもかかるでしょう。また、複数の問屋を通して最終的に消費者の手に渡る商品ならば、直接取引に切り替えることで、コスト削減が可能です。そのため、同業他社とも協力して、サプライチェーンの最適化ができるかどうか検討してみましょう。

4.コスト削減を成功させるコツ

最期に、コスト削減を成功させるコツを紹介します。コスト削減に取り組んでもなかなかうまくいかない場合は、参考にしてください。

4-1. 継続可能なものをチョイスする

コスト削減は、継続可能なものでなくてはなりません。そのため、いくら効果があっても単発のコスト削減ばかり実施しないように注意しましょう。1回10万円のコスト削減より、月々5000円の削減を1年、2年と続けていったほうが効果があります。

4-2.早急な結果を求めない

早急な結果を求めすぎると、うまくいきません。また、目標は高すぎないように注意しましょう。例えば、高すぎる経費削減のノルマを設定すると、そればかりに従業員が集中し、作業効率が落ちる可能性もあるでしょう。また、あまりコスト削減に熱心になりすぎると、離職率がアップするおそれもあります。

4-3.削減したコストは還元する

削減したコストは還元しましょう。例えば、設備投資に回したり従業員のボーナスなどに反映したりすることが必要です。節約節約ばかりでは、どうしてもやる気は続きません。節約すれば見返りがあることを示しましょう。そうすれば、次のコスト削減にもつながります。

まとめ

コスト削減は多くの工場に共通する課題ですが、何をどう削減すればよいのかは、千差万別です。まずはじっくりと腰を落ち着けて削れるコストを見つけましょう。また、早急に結果を求めすぎないことも重要です。厳しすぎるノルマは逆効果にしかなりません。