工場における役割分担の重要性とは?改善方法と共に解説

工場を円滑かつ問題なく運用していくには、各自に割り当てられた役割をしっかりとこなしていくことが大切です。

しかし、工場によっては、役割が分担されているものの有名無実化しており、気づいた人が気づいた仕事をしているケースもあるでしょう。これでは、不測の事態が起こった際に対処できません。

今回は、工場における役割分担の重要性と役割分担がうまくいっていない場合の対処法を紹介します。

  1. 工場における役割分担の重要性
  2. 役割分担の具体例とは?
  3. 役割分担とチームワークの関係性
  4. 役割分担の改善方法とは?

1.工場における役割分担の重要性

はじめに、工場でなぜ役割分担が重要なのか、理由を解説します。工場は基本的に製品を製造する現場ですが、工場の規模や種類によって製造以外にもさまざまな役割があるのです。

1-1.工場の役割にはどのようなものがあるのか?

工場は、大きく分けると以下のような役割があります。

  • 工場全体の仕事を管理して統括する管理職
  • 製造管理・品質管理・人事管理・安全管理などの各部門の管理者
  • 製造・品質維持・総務・人事など各部署で働く人々

工場自体の役割や目的は、製品の製造ですから、製造の役割を担う方がまず必要です。高品質の製品を安定して製造し続けるには、品質を管理する役割、安全を維持する役割を担う方が必要になります。そして、それぞれの役割を担う方を統括する管理者、さらに管理者たちを統括する総括管理者が必要です。

1-2.役割を分担する必要性

たとえば、製造を行っているうちに、品質を向上させてそれを維持する必要が出てきたとします。2つの仕事を1人が行うと、いままで100%の力を注いでいた製造の仕事に50%の力しか注げなくなって、生産性が下がりがちです。仕事が増えるほど1つの仕事に注げるリソースは少なくなるため、品質管理を専門に行う方が必要になります。また、従業員の役割を定めず「手の空いている方がすればいい」「気づいた人がやればいい」といった姿勢では、結局誰もやらずに仕事が放っておかれがちです。それに加えて、仕事をいくつも抱え込んで忙しい従業員や、どんな仕事をしていいか自分でもわからず手持無沙汰となる従業員が発生するケースもあるでしょう。役割を分担すれば、自分が最低限やるべき仕事が明確になり、放置される仕事もなくなります。

1-3.役割を分担すれば仕事も円滑に進む

役割分担を行えば、誰が、どのくらいの仕事を抱えているか明確になります。たとえば、生産部門で仕事がたくさん発生している場合、その役割を担っている従業員や品質管理の従業員が忙しくなっているでしょう。そのほかの仕事を担っている方に余裕がある場合は、一時的に人員を動かして増員もできます。誰が何をやっているかわからなければ、現在、仕事がどこまでできているのかもわかりません。役割分担がしっかりしていれば、仕事も円滑に進みます。

2.役割分担の具体例とは?

ここでは、役割分担の具体例を解説します。どうやって割り振っていいか、どこまでの仕事を担うのか知りたい方は参考にしてください。

2-1.各部門の従業員

生産や品質管理、仕入などの各部門の従業員は、それぞれの部門に与えられた仕事を行います。生産部門ならば、ラインについて製品を組み立てる、品質管理ならラインでできあがった製品に不良がないか検品する、などです。営業部門は、お得意様を回って注文を取ったり、要望を聞いてきたりして現場に伝えます。従業員が多い工場ほど各部門の独立性が高くなる傾向です。

2-2.各部門の管理者

各部門の管理者は、従業員を統括する役目を担います。たとえば、生産部門が忙しければ人員を増やしたり、逆に余裕がある場合はパートやアルバイトに休んでもらったりといったことも仕事です。予定どおりに予定の数を高品質で製造し、顧客の手元に届くまでのそれぞれの過程の責任を負います。

2-3.総合管理者

工場長などの総合管理者は、工場におけるすべての仕事を管理して責任を負います。責任は多岐にわたり、工場で事故があった場合は最終的には総合管理者の責任となるでしょう。また、仕事の状態を随時チェックしながら、管理者を統括していくのも仕事です。

3.役割分担とチームワークの関係性

ここでは、役割分担がしっかりしているとチームワークが向上する理由について解説します。役割分担をしっかり行うと、なぜチームワークが生まれるのでしょうか?

3-1.役割分担を行うと同じ仕事をする人と連帯感が生まれる

役割分担を行うと、同じ役割を担っている者どうして連帯感が生まれます。工場の仕事は複数人で協力して行うものも多いですが、誰が何の仕事をしているかわからなければ、協力も仰げません。各従業員の役割が明確になれば、協力もしやすく「仕事仲間」といった気持ちも生まれやすいでしょう。

3-2.チームワークが向上するメリット

チームワークが向上すれば、仕事の生産性があがります。従業員同士が協力しやすい体制ができていれば、報告・連絡・相談もスムーズです。問題が起こっても小さいうちに報告され、解決できます。また、より効率の良い仕事のやり方が開発されれば、短時間で共有もされるでしょう。このほか、人間関係が円滑なら気持ちよく働ける環境も整います。

3-3.チームワークを向上させる方法

チームワークを向上させるには、失敗を連帯責任にしたり従業員同士を競争させたりしないことです。従業員同士が協力し合える体制を管理者が造らなければなりません。そのためには、チーム全体の目標を設定し、それを共有しましょう。また、失敗を過度に責めずに再発防止に取り組むことも重要です。

4.役割分担の改善方法とは?

最後に、役割分担が今一つ仕事の役割分担がうまくいっていない方向けに、役割分担の改善方法を紹介します。ぜひ、参考にしてください。

4-1.役割を明確にしたうえで改めて分担する

役割分担がうまくいっていない工場は、そもそもどんな役割があり誰がその役割を担っているかわかりにくいケースもあります。ですから、果たすべき役割と仕事をもう一度明確にしたうえで、配分しましょう。同じ製造でも、いくつか過程がある場合は家庭ごとに役割を分担します。

4-2.手の空いた人がやればいいをなくす

自分の役割を完ぺきにこなせるように、従業員を指導します。手が空いている人がやればいい、は厳禁です。うまくいくためには、業務をタスク化して、やるべきことを具体的に指示しましょう。まずはやるべきことを自分でやれるようにするまで徹底します。そのうえで、効率よくやる方法、協力してやる方法などをレクチャーしていきましょう。

まとめ

役割分担は各人が「この役割は自分の仕事であり、絶対やらないといけない」といった自覚を持つことが大切です。あいまいな業務を作らない、手の空いている人がやればいいといった空気を作らないようにしましょう。どんなに少人数でも役割分担は重要です。