ラボホモジナイザーが安定しない原因は? チェックポイントや対処法を解説

ラボホモジナイザーは、実験や研究において試料を均一に混合するための重要な機器です。しかし、時に正常に動作しない場合があります。そのため、安定性を維持するためには適切な取り扱いが必要です。

そこでこの記事では、ラボホモジナイザーが安定しない原因や対処法について詳しく解説します。この記事を読むことで、研究者や技術者の皆様が効率的かつ正確な実験を行うための情報を得ることができます。ぜひ最後まで目を通してみてください。

  1. ラボホモジナイザーが安定しないことによる問題点
  2. ラボホモジナイザーが安定しない状態について
  3. ラボホモジナイザーが安定しないときのチェックポイント
  4. ラボホモジナイザーが安定しないときの対処法
  5. ラボホモジナイザーに関するQ&A

1.ラボホモジナイザーが安定しないことによる問題点

なぜラボホモジナイザーが安定しないことが問題になるのか、具体的な理由について詳しく説明します。

1-1.原料の分散・乳化ができなくなる

そもそも、ホモジナイザーは原料を分散させたり、乳化させたりする機械です。ホモジナイザーが安定していないと、そもそもの効果を失ってしまうことになります。つまり、原料の分散や乳化ができなくなるというわけです。ホモジナイザーを使う意味がなくなってしまうので、常に安定している状態を保つことが必要になります。特に、ラボホモジナイザーは研究用の装置として使われる機械になるため、研究に使えなくなってしまうでしょう。

1-2.品質が不安定になる

ラボホモジナイザーが安定しないことで、研究用材料の品質が不安定になるのも大きな問題点です。ホモジナイザーを使うことで品質は安定します。異なる物質や成分を混ぜ合わせ、粒子を細分化してサイズを均一化させることがホモジナイザーの役割です。そのホモジナイザーが安定しなくなると、粒子のサイズもバラバラになってしまい、品質が不安定になります。ラボホモジナイザーで品質が不安定になると、研究結果も不透明なものになるでしょう。

1-3.故障の原因にもつながる

安定していないラボホモジナイザーは、ホモ圧が上がらなかったり、表示される圧力の数字がめちゃくちゃになったりする現象が見られます。この状態を放置し長く続いてしまうと、ラボホモジナイザーの故障につながるので注意が必要です。ラボホモジナイザーは卓上型のコンパクトサイズが多く、工場で使用するホモジナイザーよりも安価で購入できます。しかし、故障するたびにラボホモジナイザーを新しく購入するわけにはいきません。また、修理費用も高くなってしまうので安定しないラボホモジナイザーは早めに原因を調査する必要があります。

1-4.原料がムダになる

ラボホモジナイザーを使って、さまざまな原料を混ぜ合わせたり乳化させたりします。ラボホモジナイザーが安定していないと、貴重な原料がムダになってしまう恐れがあるので注意が必要です。研究に使われる貴重な原料や素材が、不安定なホモジナイザーによって失うことになります。研究用の素材や原料はかなり貴重なものが多く、高額な費用もかかっているでしょう。原料をムダづかいしないためにも、ラボホモジナイザーを安定させることが大切です。

2.ラボホモジナイザーが安定しない状態について

では、なぜラボホモジナイザーが安定しないのでしょうか。ここでは、安定しない主な原因をいくつか紹介します。

2-1.置き場所が不安定

そもそも、ラボホモジナイザーの置き場所が不安定になっているケースがあります。前述したように、ラボホモジナイザーは卓上型のコンパクトサイズがほとんどです。卓上型のホモジナイザーは、置き場所を安定させることが大切なポイントとなります。ラボホモジナイザーが傾いている状態では、圧力が均一にかからなくなったり原料がうまく混ざらなかったりしてしまうのです。また、置き場所が不安定な状態は、ラボホモジナイザーに衝撃を与える恐れがあります。

2-2.サビが発生している

ラボホモジナイザーの内部に、サビが発生している可能性もあります。サビが発生することでホモジナイザーが正常に稼働せず、不安定な状態になってしまうのです。ラボホモジナイザーはさまざまな液体や成分を使うことになるため、使用後はきちんと水で洗浄しキレイにしてください。特に、金属製のラボホモジナイザーはサビやすい傾向があります。水分がそのまま付着するとサビやすくなるため、使用後は水分を拭き取ってください。また、キレイに洗浄した後は1日かけて乾燥させるのもOKです。

2-3.圧力が足りていない

圧力が足りていないことが原因で、ラボホモジナイザーが不安定になっている可能性があります。ホモジナイザーの原理は、高圧力とホモバルブの2つがポイントです。液体の中にある粒子に高圧力をかけ、ホモバルブで粉砕・分散・微粒化するからこそ、異なる物質や液体が均一化します。つまり、圧力が足りていないとラボホモジナイザーが不安定になるというわけです。

2-4.ホモバルブが摩耗・破損している

前述したように、ホモバルブが正常に稼働することで液体の中にある粒子が均一化します。圧力が足りていない状態だけでなく、ホモバルブの摩耗や破損が原因になっている可能性もあるでしょう。ホモバルブが摩耗もしくは破損している場合、新しいホモバルブへの交換が必要になります。新しいホモバルブに交換しても直らない場合は、ラボホモジナイザーの購入先に問い合わせて相談してください。

3.ラボホモジナイザーが安定しないときのチェックポイント

ラボホモジナイザーが安定しないときに、ぜひチェックしてもらいたいポイントを解説します。

3-1.置き場所や周辺環境

ラボホモジナイザーが安定しないときは、置き場所を再度確認してください。置き場所がナナメに傾いていないか、きちんと安定しているかをチェックしましょう。不安定な状態になっている場合は、置き場所を改めることも大切なポイントです。また、置き場所の周辺にも目を向けてください。たとえば、窓の近くや水場付近にラボホモジナイザーを置いていると、水分が付着してはサビの発生につながります。周辺環境を整えることも、ホモジナイザーを安定させるために必要なチェックポイントです。

3-2.流量・エアーの元栓・MV値

ラボホモジナイザーが安定しないときは、流量・エアーの元栓・MV値をチェックしてください。それぞれのチェック方法について詳しく説明します。

3-2-1.流量

まず、ラボホモジナイザーの分散清掃を行います。そして、水で運転テストを行い、流量をチェックしてください。吐出量が規定値の200cc(1分間あたり)以上であれば問題ありませんが、規定値以下になっている場合はエアーの元栓をチェックしましょう。

3-2-2.エアーの元栓

エアーの元栓をチェックする際は、エアーレギュレーターの圧力が0.6MPa以上になっているかをチェックしてください。

3-2-3.MV値

ラボホモジナイザーの操作画面には、ホモ圧調整の中にMV値が表示されています。MV値のメモリにある黄色のバーが振り切っている場合は、ラボホモジナイザーが不安定になっているサインです。一定のMV値で安定していれば問題ありませんが、なかなかMV値が上がらない場合は専門業者に問い合わせたほうがいいでしょう。MV値が安定しているのにラボホモジナイザーが不安定になっている場合は、ホモバルブが消耗している可能性があります。

3-3.ホモバルブが消耗しているか

ラボホモジナイザーのホモバルブは、自分でチェックできます。ラボホモジナイザーは簡易的なタイプが多いので、ネジを取り外すだけでホモバルブが目視できるはずです。ホモバルブのオスが消耗していないか、細部まで確認してください。また、ホモバルブのメスもチェックが必要です。ギザギザの山に傷や打痕(だこん)がある場合は、ホモバルブが消耗しているサインとなります。

4.ラボホモジナイザーが安定しないときの対処法

ここでは、ラボホモジナイザーが安定しないときの対処法を解説します。

4-1.ハンドバルブでエアー抜きをする

ラボホモジナイザーが不安定になっているときは、ハンドバルブでシリンダーのエアー抜きをします。ハンドポンプを手動で押すことでエアー抜きができるはずです。ハンドポンプを押す際に液体が出てくる状態は、エアー抜きがきちんと行われていることになります。エアー抜きをすることで流量が上がり、ラボホモジナイザーが安定するでしょう。それでも圧力が上がらない場合は、チャッキ弁を確認してください。チャッキ弁とは、逆上弁・逆流防止弁・チェックバルブとも呼ばれているもので、水など流体の逆流を防ぐ役割を担っています。

4-2.エアーレギュレーターを調整する

ラボホモジナイザーのエアーレギュレーターを調整することで、安定することもあります。エアーレギュレーターの調整は、エアーの元栓下にある部分をまわすだけでOKです。まわしながらエアーレギュレーターを調整し、圧力を0.5~0.6MPa以内にしてください。圧力が0.5〜0.6MPa以内なら問題ありませんが。エアーレギュレーターを調整しても0.5MPa以下もしくは0.6MPa以上になる場合は、ホモジナイザーの専門業者に問い合わせたほうがいいでしょう。

4-3.購入先の業者に相談する

自分でいくつか対処法を試してみてもラボホモジナイザーが直らない場合は、購入先の業者に相談してください。専門業者なら、ほかにも対処法を知っているはずです。また、問題が起きているラボホモジナイザーを無料で点検してくれる可能性もあります。点検結果によっては、修理が必要になったり新しいラボホモジナイザーへの買い換えが必要になったりすることがあるでしょう。まずは、購入先の業者にラボホモジナイザーを見てもらうことが大切です。

4-4.ラボホモジナイザーの相談なら三丸機械工業へ

ラボホモジナイザーの技術問題や不具合でお悩みの方は、ぜひ三丸機械工業へご相談ください。高圧式ホモジナイザーの専門メーカーである三丸機械工業では、ラボホモジナイザーも取り扱っています。ラボホモジナイザーの選び方はもちろん、問い合わせも無料です。また、技術相談も受け付けています。ラボホモジナイザーについて、専門スタッフがお答えするのでどのような疑問も気軽にお問い合わせください。

5.ラボホモジナイザーに関するQ&A

ラボホモジナイザーに関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.ラボ機とライン機の違いは?
A.研究用として使われることが多いラボ機は、少量の原料を分散させたり乳化させたりするときに便利です。少量のサンプルを使う際には、ライン機よりもラボ機を使用したほうがいいでしょう。また、ボタン1つで全自動サンプリングができるなど、女性にも扱いやすい特徴があります。一方、ライン機は処理能力が高く、大規模なプラントでも安定した生産が可能です。処理量やサイズなどから、適切な装置を製作し機器が構成されます。

Q.定期的なメンテナンスは必要か?
A.ラボホモジナイザーを安定させるためには、定期的なメンテナンスが必要になります。前述したように、使用後はキレイに洗浄し水分を拭き取ることが大切です。自分でできるメンテナンスはもちろんのこと、専門業者による定期的なチェックも必要になります。一般の人では気づけない劣化や異常を専門業者なら見逃さずに、すぐ対応してくれるでしょう。ラボホモジナイザーの異常には早めに気づけたほうが、故障を未然に防ぐことができます。

Q.保管時の注意点は?
A.ラボホモジナイザーを保管する際は、置き場所だけでなく周辺の掃除も必要になります。ラボホモジナイザーをキレイにしていても、周辺にたくさんのものが散らかっていたりホコリがたまったりしていると、ホモジナイザーの故障につながるからです。特に、ラボホモジナイザーを使っていない期間が長くなるほどホコリが蓄積するので、定期的に掃除をしたりメンテナンスをしたりしてください。

Q.安定した状態を維持するコツは?
A.ラボホモジナイザーを安定させるためには、接続部のクリーニングも重要になります。ラボホモジナイザーの種類によって異なりますが、エタノールやエアダスターを使って接続部をキレイにしましょう。コンパクトサイズのラボホモジナイザーでも、小さなホコリや汚れが原因で不具合を起こす可能性があります。こまめにクリーニングを行うことが、ラボホモジナイザーを安定させるポイントです。

Q.専門メーカー選びで押さえるべきポイントは?
A.ラボホモジナイザーの専門メーカー選びで悩んだときは、技術相談を受け付けているかどうかに注目してください。技術相談を受け付けている専門メーカーは、どのような不具合でも迅速に対応します。また、定期的なメンテナンスや点検を行っているかもチェックしておきたいポイントです。スタッフの対応がいい専門メーカーほど、そのときの状況に合わせて迅速に対応してくれるでしょう。

まとめ

ラボホモジナイザーが安定しない原因や対処法について解説しました。正常に動作しないことが研究や実験の進行を遅らせる原因となります。もし、トラブルが発生した場合は、三丸機械工業のような専門的な業者に相談することもできます。三丸機械工業では、ホモジナイザーの販売やメンテナンスなどを行っていますので、安心して利用してみてください。