食品工場の監査とは?有効性や必要性・注意点を解説

工場の監査とは、工場でどのような工程で製造が行われ、製造されたものが管理されるかを把握することです。自社でやることもあれば、取引先や第三者機関が行うこともあります。

特に、食品工場は安全な食品を提供するために徹底した品質管理や、厳しい衛生管理が必要です。

今回は、食品工場の監査の必要性や内容、注意点などを紹介します。

  1. 食品工場の監査の内容や必要性
  2. 食品工場の監査の種類を解説
  3. 食品工場の監査で気を付けるポイント
  4. 食品工場の監査に関するよくある質問

この記事を読めば、監査の重要性や有効性がよく分かります。食品工場に勤めている方や、これから監査に臨むという方は、ぜひこの記事を読んで参考にしてください。

1.食品工場の監査の内容や必要性

はじめに、食品工場で行われる監査の内容やその必要性を解説します。監査を行うとどのような利点があるのでしょうか?

1-1.食品工場は高い安全性が求められる

食品工場では、毎日大量に食品が製造されて全国に出荷されていきます。工場で作られる食品の多くが加工食品や冷凍食品で、温める程度で消費者の口に入るものが大半です。だからこそ、高い安全性が求められます。もし、製造過程で異物や細菌の混入が起こったり規格外の製品が気づかれずに出荷されたりしたら、大事故に繋がることでしょう。しかし、毎日同じ作業をしていると、どうしても「慣れ」が生じて製品の管理や製造がいいかげんになることもあります。それを防ぐために、製品管理や製造過程をチェックする「監査」が必要なのです。

1-2.事故を事前に防ぐためにも監査は有効

食品工場で一度事故が起これば、被害者が多く出るだけでなく信頼も失ってしまいます。一度失った信頼を取り戻すには長い年月がかかり、場合によっては工場の存続が難しくなるかもしれません。ですから、事故は起こる前に防ぐことが重要です。そのためには、外部からの監査がとても有効に作用することもあるでしょう。

2.食品工場の監査の種類を解説

ここでは、食品工場で行われる監査の種類を説明します。状況や必要性に応じて適切な方法で監査を行うことが大切です。

2-1.内部監査

内部監査とは、工場に勤める人員で構成された「監査員」が行う監査のことです。内部監査では、主に「マニュアル」や「業務規定」どおりに作業が行われているか、作業工程がISOの要件を満たしているかなどをチェックします。短時間で必要な事項をチェックできる反面、チェック内容がなあなあになってしまう可能性もあるので、他の監査方法と組み合わせて行いましょう。

2-2.第二者監査

第二者監査とは、取引先や委託先・親会社など自社と繋がりのある会社の従業員で構成された監査員が監査を行います。取引先が要求しているレベルをクリアしているかなどを監査するのが主な目的です。内部監査に比べると外部の目が入る分公平性が高くなります。

2-3.第三者監査

第三者監査とは、ISOの監査員など工場と利害関係にない第三者機関による監査です。食品安全に関する国際規格の取得や資格の更新などを行う際に行わることが多いでしょう。利害関係のない第三者が行うことで、隠されていた不正などが暴かれることもあります。その一方で、専門的な知識を持たない監査員が行わないと、形骸化したものになるでしょう。

3.食品工場の監査で気を付けるポイント

最後に、食品工場の監査で気を付けるべきポイントを解説します。ぜひ、参考にしてください。

3-1.チェックポイントを網羅しているか

食品工場の監査は、「工場の入室管理」「作業工程の確認」「工場内の清潔感」など、半ばマニュアル化されたチェックポイントがあります。これらを網羅していなければ、監査の意味がありません。特に、内部監査は時間がなかったり仕事が忙しかったりすると「なあなあ」になりがちなので注意が必要です。

3-2.第三者監査は予算を定めておく

第三者監査は有料で依頼することもあります。「予算不足」「時間がない」などの理由で第三者監査が長いこと行われないと、監査が形骸化することもあるでしょう。監査を定期的に行うためには、予算を先取りしておくことも重要です。

3-3.第二者監査は公平性を保つ

第二者監査は工場と利害関係を持つ部署が監査を行います。内部監査よりも公平性が保てると思われがちですが、利害関係が一致すると、隠蔽などが行われる可能性もあるでしょう。第二者監査も内部監査と同様公平性を保つことが重要です。

4.食品工場の監査に関するよくある質問

ここでは、食品工場の監査に関するよくある質問を紹介します。

Q.食品工場の監査はどのくらいの割合でやればいいですか?
A.明確な決まりはありませんが、内部監査は半年~1年に1度、二者監査は1年に1度程度の割合で行うのが一般的でしょう。

Q.抜き打ち監査の方が有効ですか?
A.監査が行うことが事前に分かっていると、不正の隠蔽などが行われることもあるでしょう。しかし、食品工場は不用意に外部の人が入れない構造になっていることもあります。抜き打ち監査を行うなら、工場の操業に影響が出ない範囲で行いましょう。

Q.第三者監査を監査する専門の機関に依頼できますか?
A.はい。一般社団法人日本食品検査など食品工場の事故を防ぐために監査を行っているところもあります。依頼するのも一つの方法です。

Q.食品工場の監査は内部監査だけでは不十分でしょうか?
A.形骸化しないようにチェックする期間があれば、一定の効果はあります。

Q.食品工場の監査をしないと罰則はあるでしょうか?
A.取得している国際規格などによっては、監査を受けないと資格を剥奪されるなどペナルティーがあります。確認してください。

まとめ

今回は、食品工場の監査の有効性や必要性、種類などを解説しました。食品工場は工場の中でも特に高い安全性と品質管理が求められます。監査は「面倒臭いもの」ではなく「事故を防ぐために必要なこと」と考えて、定期的にしっかりと受けることが重要です。