超音波ホモジナイザーとは? 用途や原理を理解して上手に使いこなそう!

一般の方にとって「超音波ホモジナイザー」は聞きなれない名前ですが、食品や医薬品・美容品などの製造に必要不可欠な機械で私たちの生活に関わっています。製造業界に携わっている方にとっては、とても重要な機械といえるでしょう。そんなホモジナイザーにもさまざまな種類があり、その中の1つが超音波ホモジナイザーです。超音波ホモジナイザーとは何なのか、その用途や原理を理解しておけば上手に使いこなすことができるでしょう。

そこで、本記事では、超音波ホモジナイザーについて詳しく説明します。

  1. 超音波ホモジナイザーとは?
  2. 超音波ホモジナイザーの用途は?
  3. 超音波ホモジナイザーの原理は?
  4. 超音波ホモジナイザーに関してよくある質問

この記事を読むことで、超音波ホモジナイザーの用途や原理が分かります。気になっている方はぜひ参考にしてください。

1.超音波ホモジナイザーとは?

まずは、超音波ホモジナイザーとは何なのか、基本情報をチェックしておきましょう。

1-1.液体中の粒子を均一化する

超音波ホモジナイザーについて説明する前に、ホモジナイザーとは何なのか説明しておきます。ホモジナイザーについて簡単に説明すると、液体中の液体を均一化するための機械です。たとえば、牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品を乳化・均一化する際は、このホモジナイザーが大活躍します。ホモジナイザーによって液体の粒子を均一化できれば、液体の安定性と機能性が向上し、より品質の高い乳製品が完成するというわけです。なお、液体中の粒子が小さければ小さいほど均一化ができ、品質が安定します。

1-2.ホモジナイザーはさまざまな種類がある

ホモジナイザーには、さまざまな種類があることをご存じでしょうか。主な種類としては、ラボスケール式・アセプティック式・高圧式・超音波式の4種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。

  • ラジスケール式:研究などで用いられるホモジナイザー。コンパクトサイズなため、卓上で使用できる。少量の液体を粉砕・分散させられるのが特徴
  • アセプティック式:無菌状態が作れるホモジナイザー。作動方式は油圧制御型で、スチームバリアーで雑菌の侵入を防ぐ
  • 高圧式:内部に高い圧力をかけるホモジナイザー。より精密な粉砕処理が可能
  • 超音波式:小音波振動を液体中に与えて作り出した微小な気泡によって、乳化・粉砕を促すことができる

1-3.高いエネルギーレベルが生成できる

さまざまな種類の中でも、超音波ホモジナイザーは高いエネルギーレベルが生成できます。高いエネルギーレベルが生成できると、物理的な衝撃よりも細胞粉砕や乳化分散を促すことができるのです。つまり、より品質が安定した製品を生み出すことができます。用途によって最適なホモジナイザーは異なりますが、今後さらに普及が進むといわれているのが超音波ホモジナイザーです。

1-4.コンパクトサイズが多い

超音波ホモジナイザーは、高圧式ホモジナイザーと比べるとコンパクトサイズが多い傾向があります。コンパクトサイズだからこそ、卓上などで気軽に使用できるのが大きな特徴です。少量の物質を乳化・均一化したい、研究用として使いたいと思っている方にとってはピッタリのホモジナイザーといえるでしょう。

1-5.メンテナンス性・ランニングコストに優れている

超音波ホモジナイザーの普及が期待されている理由として、メンテナンス性やランニングコストに優れている点があります。たとえば、細胞粉砕の際に使われるビーズ式細胞粉砕装置は、ビーズが入っている装置を回転させて細胞をぶつける仕組みです。物質の乳化や均一化に役立ちますが、異物が入ったりビーズをメンテナンスしたりするなどの手間がかかります。けれども、超音波はビーズなどのメディアが不要なタイプですので、メンテナンス性が抜群です。

1-6.専門業者で購入する

「超音波ホモジナイザーはどこで購入できるのか?」と疑問を抱いている方は多いでしょう。一般的に、超音波ホモジナイザーは専門業者で購入できます。業者によって扱っている製品が異なるため、ホームページ等で必ず確認してください。ちなみに、高圧式ホモジナイザーの専門業者である三丸機械工業では、さまざまな種類のホモジナイザーを扱っています。ホモジナイザーでお悩みの方は、ぜひ一度お問い合わせください。

2.超音波ホモジナイザーの用途は?

ここでは、超音波ホモジナイザーの用途について解説します。

2-1.食品・乳製品加工業

超音波ホモジナイザーは、食品・乳製品加工業で使用されています。そもそも、ほかの種類よりも超音波ホモジナイザーは安定した均質溶液を作るおことができるため、さまざまな現場で銃砲されている機械です。中でも、水と油など混合しにくい物質を均一化させることが多い食品・乳製品加工業では、超音波ホモジナイザーが役立ちます。さまざまな物質の乳化・均質化に使用されており、加工食品をより新鮮に保つことができるのです。

2-2.化粧品

超音波ホモジナイザーは、化粧品の製造現場でも使用されています。クリームやローションなどの化粧品を製造する際は、物質の均質化が必要不可欠です。超音波ホモジナイザーは液体の分離を防ぐ作用を持っているため、長時間放置しても分離する心配はありません。液体を分離しにくく安定させることができると、化粧品の質もより安定します。高品質な化粧品を製造するために、超音波ホモジナイザーは必要不可欠な機械といえるでしょう。

2-3.研究・開発現場

超音波ホモジナイザーは、研究・開発現場でも大活躍しています。前述したように、超音波ホモジナイザーはコンパクトサイズが多いので、研究分野に最適な種類だといわれているほどです。製造業はもちろんのこと、微生物学や生物学といった研究分野で使われています。また、最近ではコロナウイルス感染症の拡大によって、超音波ホモジナイザーは細胞組織やウイルス破壊などにも利用されているのです。

2-4.医薬・製薬・バイオ

超音波ホモジナイザーは液体の分離を防ぐ作用だけでなく、液体と金属を均等に混合させる作用もあります。たとえば、ソフトカプセルなど医薬品を作るとき、金属の粉末と液状化した原料を混ぜ合わせなければなりません。ですが、金属は粉末になればなるほど均一に混ぜ合わせるのが難しく、大きな問題点となっています。そこで、役立つのが超音波ホモジナイザーです。液体と金属を均等に混ぜ合わせる作用が働き、その問題点を難なくクリアできるようになりました。このように、超音波ホモジナイザーは医療・製薬・バイオ分野でも活用できる機械です。

3.超音波ホモジナイザーの原理は?

ここでは、超音波ホモジナイザーの原理について解説します。

3-1.振動子・発振器・ホーンから構成されている

超音波ホモジナイザーはどのような構成で成り立っているのか、気になっている方は多いでしょう。物質の入荷と均質化を行うために使用される超音波機器は、ほとんどがホーンタイプです。ホーンタイプとは振動子・発振器・ホーンから構成されており、それぞれ以下のような特徴があります。

  • 振動子:強力な超音波振動を発生させる
  • 発振器:振動子を駆動するために必要な機器
  • ホーン:振動子から液体に超音波を放射させるもの

以上の構成で、一般的な超音波洗浄機よりも10倍以上強い超音波振動を放射することができるというわけです。

3-2.キャビテーションが大きなカギ

超音波でなぜ物質が乳化・均質化されるのでしょうか。その理由には、キャビテーションと呼ばれる微小な気泡が関係しています。超音波ホモジナイザーは、液体中に強直な超音波振動を与える機器です。この超音波振動によって生まれるのが、微小な気泡となります。微小な気泡は大きな衝撃力を持っており、物質を分散・乳化できるというわけです。

3-3.超音波が発生する仕組み

超音波が発生する仕組みとしては、発振器と振動子の2つの部品が関係しています。発振器から出力される信号によって、振動子内の振動素子が振動に変わり超音波が発生する仕組みです。実は、この振動子の先端にはチップ状のものがあり、1秒間に約2万回の微振動を行っています。液体中の密度が高い場所と低い場所をくり返し生成しながら音波が進んでおり、加圧と減圧がくり返されることでキャビテーションが発生するというわけです。超音波による衝撃波が大きくなるほど、液体中の粒子がより細かく分散され均質化が安定します。

3-4.連続処理の仕組み

超音波ホモジナイザーは、連続処理も可能です。連続的な処理を行いたいときは、超音波ホモジナイザーが大いに役立つでしょう。なお、超音波ホモジナイザーで連続処理を行う際は、ホルダー内を一定流量で通過させることになります。ホルダー(容器)と振動子を多段化しておけば、処理量を増やし連続処理が可能です。超音波ホモジナイザーは物質の分散が短時間で行えるため、少ないパワーで大量処理ができるのも大きな特徴といえるでしょう。

3-5.まずはレンタルで試してみよう!

実際に、超音波ホモジナイザーを使ってみると、その仕組みが理解できるはずです。専用業者の中には、レンタルサービスを行っているところもあるのでぜひ利用してみてください。一定期間、超音波ホモジナイザーをお試して使うことができるため、自分が求めている作用を難なく行えるか確認できます。なお、専用業者を選ぶ際は、できるだけ技術相談ができるところを選びましょう。技術相談が可能な業者に依頼すれば、どのような悩みや質問にも丁寧かつ分かりやすく説明してくれるので安心です。

4.超音波ホモジナイザーに関してよくある質問

超音波ホモジナイザーに関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.物理的な衝撃力とどのような違いがあるのか?
A.超音波ホモジナイザーは粒子等をぶつけ合うことで乳化・均質化しています。そのため、高圧式ホモジナイザーといった物理的な衝撃力よりも、最終段階において物質を安定させることができるのです。よって、粒度分布系の前処理や分散時の最終工程で多く使用されています。最後の仕上げとしては、まさに最適のホモジナイザーといえるでしょう。

Q.どんな分散・乳化機があるのか?
A.主に、以下のような分散・乳化機があります。

  • 大量処理用:通液ホルダーが装備されているタイプ。連続・循環処理、インライン連続処理まで幅広く対応しているのが特徴
  • 研究・実験用:ビーカーを使ったバッチ用の装置。ラボジャッキでビーカーが上下でき、最適な処理位置に調節可能
  • 少量・実験用:ハンディータイプなため、少量の処理に最適

Q.超音波ホモジナイザーの使い方は?
A.分散・乳化させたい液体中に振動子を入れ、スイッチを押すだけでOKです。超音波ホモジナイザーは、液体を入れる器に制限がないため、試験管やビーカーなどでも使用できます。だからこそ、研究・開発分野で活用されているのです。また、振動子を付け替えることもできます。さらに、超音波ホモジナイザーは10万円代から購入可能です。高機能タイプになればなるほど高額になります。

Q.超音波ホモジナイザーのメンテナンス方法は?
A.前述したように、液体中に振動子を入れることになるため、超音波ホモジナイザーを使用した後は振動子をキレイに洗わなければなりません。溶液が付着したまま使用すると、ほかの溶液と混ざってしまう恐れがあります。また、振動子は金属製ですので、キレイに洗った後は水分をしっかりと拭き取ることが大切です。きちんとメンテナンスを行い、長く使い続けられるようにしましょう。

Q.業者選びで注意しておきたいポイントは?
A.アフターフォローが充実しているかを確認してください。アフターフォローが手厚い業者に依頼すれば、どのようなトラブルが起きたとしてもすぐに対応してくれます。使い方やメンテナンス方法まで分かりやすく説明してくれる業者なら、初めて超音波ホモジナイザーを使う方でも安心できるでしょう。

まとめ

いかがでしたか? 超音波ホモジナイザーは、物理的な衝撃力よりもエネルギーが高く、より安定した品質を生み出すことができます。食品・化粧品などの製造現場のほか、研究・開発分野でも多く使用されているホモジナイザーです。コンパクトサイズも多く、使い方も簡単ですので、初めてホモジナイザーを使う方にもピッタリな種類といえるでしょう。ホモジナイザーを取り扱っている三丸機械工業では、レンタルサービスやアフターフォローも充実しています。無料相談も受け付けていますので、ぜひ一度お問い合わせください。