プラントの設備保全について知りたい! 老朽化などの対策方法は?
生産設備や大型機械などのプラントは、定期的な設備の安全点検などが必要です。プラント設備の保全を定期的に行うことで、老朽化やトラブルといった問題が回避できます。しかし、どのように保全を強化すべきか、対策を施せばいいのか悩んでしまうこともあるでしょう。
そこで、本記事ではプラント設備保全の方法とポイントを解説します。
- プラントの設備保全とは?
- プラントの設備保全の重要性は?
- プラントの設備保全のあり方
- 工場設備の導入ポイントを紹介
- プラントの設備保全に関してよくある質問
この記事を読むことで、プラント設備保全の重要性や工場設備の導入ポイントなどが分かります。気になっている方は要チェックです。
1.プラントの設備保全とは?
まずは、プラントの設備保全がどのような意味を持っているのか、現状と問題点を踏まえながらチェックしておきましょう。
1-1.プラントは1つ1つの設備で成り立っている
ものを生み出したり、解体したりなど、工場にはさまざまな種類の機械があります。たとえば、都市ゴミ焼却プラントの場合、ゴミをつかんで焼却炉に投げるクレーンやゴミを燃やす焼却炉・熱エネルギーを回収するボイラーなど、機械や設備は多種多様です。これらをまとめて「プラント」と呼び、それぞれの設備が役割を果たすことで、工場は大きな性能を発揮できます。つまり、プラントの性能を発揮するためには、設備を十分に生かすことが大切なのです。
1-2.日本のプラント設備は劣化が進んでいる
高度経済成長期とともに、機械も設備も発達してきました。しかし、その反面、当時建設された工場設備の老朽化が進んでいるのです。もちろん、定期的な点検やメンテナンスは行われていますが、老朽化による事故が増えています。また、作業員の高齢化・後継者不足・作業員別の技術格差など、人間側の問題も生じているのです。現在の日本におけるプラント設備の保全は、決して機械だけに問題があるわけではありません。
1-3.解決策は効率的な保全業務
作業員不足・高齢化など問題点を踏まえた上で、ベストな解決策は効率的な保安業務を行うことです。これからは今まで以上に、少人数でも十分かつ効率的な保安業務を行っていかなければなりません。たとえば、作業員への教育や指導・ルールの共有など、できることはたくさんあります。1人1人が設備保全に対する意識を高めておけば、助け合いながら保全業務を行うことができるでしょう。また、老朽化に伴う故障リスクに備え、新しい機械に買い替えることも検討すべきです。
2.プラントの設備保全の重要性は?
プラントの設備保全の重要性について、より具体的に解説します。
2-1.プラントを安全かつ安定に稼働できる
前述したとおり、必要なすべての機械と設備が十分に能力を発揮しているからこそ、プラントは安定して稼働できます。もし、どれか1つでも故障したり壊れたりしてしまえば、生産がストップし、稼働率がどんどん下がるのは間違いありません。プラントが安全かつ安定な稼働を維持し続けるためには、設備保全が必要不可欠です。
2-2.老朽化への対策ができる
プラントの設備保全を定期的に行うことで、老朽化への先まわり対策ができるようになります。設備保全は、事故やケガを防ぐために行うのが大きな目的です。異常がないか・部品が劣化していないかなど、定期的に検査する必要があります。いち早く異常を見つけることで、すぐ修繕できるというわけです。
また、老朽化によって、機械の稼働率が下がってしまいます。異常を早めに察知し修繕すれば、無駄な動きがなく、プラントの稼働率も上昇するでしょう。
2-3.設備を長持ちさせることができる
プラントで使用する設備や機械は、多くがとても高額で簡単には更新できないものです。特に、経営状況が苦しいときは、修繕だけでも大きな出費になるでしょう。しかし、設備保全をしなければ、故障が発生し、買い替えるしかなくなります。設備保全は設備の故障を減らすだけでなく、長持ちさせることができる唯一の方法です。
3.プラントの設備保全のあり方
では、どうすればプラントの設備保全を徹底させることができるのでしょうか。ここでは、設備保全の概要と今後の目標などについて解説します。
3-1.設備保全
プラントの設備保全には、大きく分けて、事後保全・予防保全・予知保全の3つがあります。まずは、それぞれの特徴を具体的にチェックしていきましょう。
3-1-1.事後保全
事後保全とは、調子がおかしくなった機械を調べ原因を突き止め、故障を直すことです。機械の不調原因を突き止めることが1番大切なポイントとなります。主に、故障には「機械停止型故障」「機能低下型故障」の2つです。
- 機械停止型故障:機械が止まってしまうこと。突発的に起こるため、事前の点検や調査では発見しにくい点が特徴
- 機能低下型故障:性能が悪くなったり、機械の動きが悪くなったりする故障。事前に部品の劣化具合を調べることで、未然に防ぐことができる
3-1-2.予防保全
予防保全は、点検・修理・部品交換などを計画的に行うことです。定期的にチェックすることで、工場の機械を安心かつ安定して動かすことができます。また、部品交換目安の基準は、時間基準保全と状態基準保全の2つです。
- 時間基準保全:一定の期間、部品を使ったら取り替えること。完全に劣化する前に新しいものに変えるため、故障を防ぐことができる
- 状態基準保全:実際に、部品がどのくらい劣化しているのか調べてから交換すること。時間基準保全に比べて、機械が故障する可能性が高い
3-1-3.予知保全
機械が壊れるのを予知して保全することを、予知保全といいます。予知保全で大切なのは、点検のタイミングです。予知保全は「壊れそう」という兆候が出たときに、すぐ保全することで故障や事故を未然に防ぐことができます。データなどにより予知することで設備を止めずに、適切な修理ができるのです。
3-2.現場の状態・状況をデータ化する
後継者問題や高齢化による人員不足を補いながら設備保全を行う方法として、現場の状態・状況をデータ化するやり方が注目されるようになりました。センサーや画像・音声などの認識技術を十分に活用し、設備の状況・作業内容などをデータ化します。データに乱れがあったときに、設備を点検し保全業務につなげるのです。データ化すれば、人員不足に悩むことなく効率的な稼働ができるでしょう。
3-3.生産部門と保全の連携を高める
プラントの設備保全は、生産部門と保全部門の連携・意思疎通が重要なポイントでもあります。保全部門は、故障の原因を突き止め、対策を講じてから生産部門へ報告しなければなりません。そして、生産部門は再発の防止につなげるための機械4S(整理・整頓・清掃・清潔)に協力します。連携がうまくできているからこそ、設備保全が成り立ち、プラントが正常に稼働できるのです。せめて、月に1回は生産部門と保全部門の会議を設けたほうがいいでしょう。
3-4.保全関連の知識を身につける
機械の点検やメンテナンスだけでなく、それを扱う人の教育も必要なことです。たとえ、機械が優秀であっても、その機械に詳しい人が近くにいなければ十分な能力が発揮できません。機械保全者は、作業内容・性能・構造・動作をきちんと把握する必要があります。その教育を徹底させるのは、プラントの責任者など上にいる人たちの役割です。保全関連の知識を身につけさせるため、教育体制を整える必要があるでしょう。
4.工場設備の導入ポイントを紹介
プラントに必要不可欠な設備の導入ポイントを紹介します。
4-1.業者スタッフの知識量に注目
設備・機械を販売している業者を選ぶ際は、なるべく詳しく説明してくれるところを選びましょう。スタッフの対応は、業者の知識量と関係しています。何のために機械を使うのか、どのように扱うのか、具体的に説明してくれる業者なら安心して導入できるのです。ほかにも、押さえておきたいポイントをいくつかピックアップしました。
- 機械の利用分野が幅広いか
- スタッフの対応が丁寧でスピーディーか
- テスト機の貸し出しが可能か
- 無料相談・技術相談を受けつけているか
- 見積書の内容が細かく記載されているか
- 口コミ・評判がいいか
4-2.メンテナンス・保全に努めているか
工場設備を導入する際は、メンテナンス・保全にも注目してください。優良業者は、どのくらいでメンテナンスすればいいのか、保全設備に関する内容を一から教えてくれます。導入後も、定期的なメンテナンス・点検を行ってくれるところもあるのです。高圧式ホモジナイザーの専門メーカーである三丸機械工業株式会社では、24時間技術相談を受けつけています。どのような質問でも丁寧にお答えいたしますので、ぜひ1度ご相談ください。
4-3.テスト機の貸し出しを利用しよう
「購入前にお試しで使ってみたい」という方は、販売メーカーのテスト機貸し出しを利用してください。導入したい機械を実際に利用できるため、使用するプラントに適している機械がどうか・どのように動くのか・扱いやすいのかなど導入前に試すことができます。三丸機械工業株式会社では、テスト機の貸し出しのほか、サンプルテストも可能です。サンプル試料をお送りいただくと、乳化または分散のテストを実施し、評価データとともに返却いたします。ぜひ1度、ご相談ください。
5.プラントの設備保全に関してよくある質問
プラントの設備保全に関する質問を5つピックアップしてみました。
Q.老朽化した機械を使い続けるとどうなるの?
A.稼働中に故障し、近くにいた人やその機械を使っていた人が大ケガをする恐れがあります。過去、中途半端な設備保全によって、命を落とした事故もありました。火を扱っている場所では、爆発や火災が起きることもあるでしょう。プラントだけでなく、周辺地域にまで影響を及ぼしかねないので、老朽化した機械は無理に使わないでください。
Q.予知保全と予防保全の違いは?
A.予防保全は、メーカーや経験から「ここまで使えば故障する」と予想し、あらかじめ部品交換をするなど保全を行います。一方、予知保全は、「もう壊れそう!」という兆候が顕著に現れた段階で保全するのです。つまり、予防保全と予知保全の大きな違いは、保全を行うタイミングといえるでしょう。
Q.TPMとは?
A.全員参加の生産保全を略称したものです。安定かつ安全な設備を稼働し続けるためには、そこで働いている全員の協力が必要となります。生産部門はもちろん、開発・営業・管理などあらゆる部門が設備保全に対する意識を高めるのです。たとえ、直接機械を扱うことがなくても、当事者の意識を持つことが生産保全につながります。
Q.事後保全の具体的な問題点は?
A.事故が突然発生する可能性があることです。前述した予知保全や予防保全がまったくできていないと、突然の故障が起こり原因を突き止めるまで時間がかかるでしょう。その間、機械は稼働せず停止時間が長くなるほど不利益となります。また、異常状態のまま使用すると修繕費が高くなるだけでなく、安全性が脅かされることになるでしょう。被害を小さくするためには、事後保全よりも予知保全・予防保全に力を入れたほうがいいといわれています。
Q.PDCAサイクルって何?
A.設備保全などを計画的に進めるための手法です。
- 計画(Plan)
- 保全作業(Do)
- 保全履歴管理・解析評価(Check)
- 対策実施(Action)
上記の流れを徹底することで、プラント設備保全がスムーズに実行できます。たとえ、問題点が起きてもPDCAサイクルが整っていれば、効果的な解決策だけを実行でき、時間の節約にもつながるのです。多数の解決策からコストが抑えられる方法を選択したいときなどにも、PDCAサイクルが役立つでしょう。
まとめ
プラントの設備保全は、現場を安定かつ安心して稼働し続けるために必要なことです。設備・機械を定期的にメンテナンス・点検し、問題があればすぐに解決してください。特に、日本では、機械の老朽化が進んでおり保全の重要性が高まっています。老朽化した機械は無理に使わず、新しい設備への買い替えを検討したほうがいいでしょう。新しい設備を導入する際は、知識が豊富な業者へ相談してくださいね。