工場の安全対策について解説! 重要性や対策の方法は?
労働災害は、可能な限り防ぎたいものです。現在は、労働災害発の可能性が高い職場でも、技術の進歩によってより安全に働くことができるようになってきました。しかし、その一方で不注意やうっかりミスで労働災害が発生する事例は後をたちません。
そこで今回は、工場で行う安全対策を紹介します。
- 工場における安全対策の重要性
- 工場の安全対策の基本
- 工場の安全対策をより強化する方法
- 工場の安全対策に関するよくある質問
この記事を読めば、職場でできる安全対策だけでなく、労働者1人1人が気をつけなければならないことなどもよく分かるでしょう。工場で安全管理者に選任された人や、工場で働く人はぜひ読んでみてください。
1.工場における安全対策の重要性
はじめに、工場で起こる労働災害の種類や安全対策の重要性を紹介します。
1-1.工場で最も多い労働災害は転倒
工場での労働災害というと、機械に巻き込まれたり挟まれたりする事故をイメージする人も多いことでしょう。しかし、平成28年度に厚生労働省から発表された「事故の型別労働災害発生状況」によると、最も多い労働災害は転倒、次いで転落や墜落です。技術の進歩により、工場で使われる機械の安全性は高まっています。そのため、機械に巻き込まれたり挟まれたりする事故は、少なくなっているのです。その一方、人為的ミスや作業環境が原因の労働災害は、常に一定の割合で起こり続けています。
1-2.転倒・墜落などは人為的ミスで起こりやすい
転倒や墜落は、すべての職場で起こる可能性がある労働災害です。しかし、工場の場合、転倒した先に危険な機械があったり床がコンクリートだったりすることもあり、大事故に発展する可能性が高くなります。また、段差が多かったり高所で作業したりすることが多い工場の場合、安全に気をつけて作業をしても転倒や墜落のリスクは高いでしょう。さらに、作業環境が転倒や墜落のリスクをアップさせることもあります。たとえば、通路に余計なものが置いてあるだけで、転倒のリスクは高まるでしょう。加えて、工場の作業は、決まった手順で行うことが多いものです。人は慣れてくると、面倒な作業を省略したくなります。いくら安全基準を厳しくしても、それを運用する人が安全基準を守る対策を怠ると、人的要因による労働災害が発生しやすくなるでしょう。
1-3.工場は1つのミスが大きな災害に繋がりやすい
たとえば、工場では危険な薬品や刃物などを持って移動することも珍しくありません。そのときに転べば、ケガだけでなく死亡事故になる可能性もあります。
2.工場の安全対策の基本
この項では、工場の安全対策の基本を解説します。
2-1.定期的なメンテナンス
前述したように、現在、工場で使われている機械は安全性が高くなっています。しかし、使用しているうちに部品が劣化するなどして、安全性に問題が出ることもあるでしょう。毎日使っている機械やシステムは、定期的な点検やメンテナンスをすることが大切です。
2-2.作業しやすい環境を作る
工場では、スムーズに作業を行える環境を作ることが大切です。たとえば、転倒や墜落を避けるためにものの置き方や収納場所を工夫するだけでも、労働災害を減らすことができます。
2-3.ストレスをためない作業環境作り
ストレスはミスの引き金になります。たとえば、安全基準を守っていては達成できないノルマが課せられていたり、作業環境が快適でなかったりすれば、人的ミスから労働災害が発生する可能性が高まるでしょう。工場で働く従業員がストレスなく働ける環境を作ることも大切です。
3.工場の安全対策をより強化する方法
この項では、工場の安全対策をより強化するために有効な方法を紹介します。
3-1.安全教育の徹底
前述したように、安全対策を守って行う作業は時間がかかることもあります。しかし、だからといって安全対策をおろそかにして作業効率を上げようとすると、労働災害が起こるリスクは高まるでしょう。ですから、作業の危険性や安全対策の方法に加えて、なぜ、安全対策が必要なのか、その理由を教育することが大切です。また、労働者だけでなく経営者にも安全教育を行うことが望ましいでしょう。
3-2.清掃と整理整頓の徹底
清掃と整理整頓は、労働災害を防ぐうえでも大切です。少なくとも、従業員全員が作業する場所は、掃除と整理整頓を徹底しましょう。また、整理整頓や清掃は行われているか、廊下を走らないなど、個人が注意して守らなければならないことをチェックリスト化し、目立つところに貼っておくのもおすすめです。
3-3.定期的な見回り
職場の安全対策は安全管理者や安全衛生推進者などが、責任を持つことになっています。それに加え、衛生管理者も協力して、週に1度の職場巡視の際、安全対策が守られているか、作業環境が適切かどうかをチェックすることが大切です。また、安全衛生委員会が設置されている工場の場合、委員会で安全対策の不備や問題点を話し合うことも必要になります。
4.工場の安全対策に関するよくある質問
この項では、工場の安全対策に関するよくある質問を紹介します。
Q.たとえば、従業員が故意に安全対策を怠った場合、労災に認定されないのでしょうか?
A.はい。一般的には認定されませんが、たとえば暗黙の了解によって従業員全員が安全対策を怠っており、それを会社も黙認していた場合は労災に認定され、工場の責任が問われることもあるでしょう。
Q.安全教育は、どのくらいの頻度で行えばいいですか?
A.入社したときはもちろんのこと、半年に1度くらいは安全対策の重要性を再認識するためにも、教育を行うのが理想でしょう
Q.工場が古い場合、リフォームなども安全対策になりますか?
A.はい。もちろんです。たとえば、足場をフラットにするだけでも事故のリスクを減らすことができます。
Q.安全対策のマニュアルが欲しいのですが、どこかにひな形はあるでしょうか?
A.厚生労働省や、各都道府県にある労務局のサイトをチェックしてみてください。使えるひな形が公開されている可能性があります。
Q.労働災害が起きた際、工場が操業停止になることはあるでしょうか?
A.はい。労働災害の規模や経営者の責任が大きければ操業停止になることもあります。ですから、安全対策は重要です。
まとめ
今回は、工場における安全対策の重要性や方法などを紹介しました。オートメーション化された工場では、人が機械に触れる場所も限られています。しかし、人為的ミスは気のゆるみやストレス・慣れなどでたやすく増加するでしょう。ですから、定期的な安全教育や作業環境の整備が大切です。