工場トラブルの正しい対応策は? トラブル対策や設備の導入ポイント
工場では、設備・品質・安全などに関わるさまざまなトラブルが起こります。予想外のトラブルが起きたら、一体どのような対応をすればいいのか分かりませんよね。誤った対応をしてしまうと、逆に状況が悪化してしまう恐れがあります。最悪な場合、工場の生産ラインがストップし会社の経営に大打撃を与えたり、従業員の命を失ったりしかねません。そうならないためには、どのように対応すればいいのでしょうか。
本記事では、工場トラブルの正しい対応などについて解説します。
- よくある工場のトラブルは?
- 工場トラブルが起こってしまった場合の対応策
- 工場トラブルを起こさない対策は?
- 工場設備の導入で気をつけておきたいこと
- 工場のトラブル対応に関してよくある質問
この記事を読むことで、工場トラブルの対応策や工場設備を導入する際に気をつけておきたいことなどが分かります。気になっている方は、ぜひチェックしてください。
1.よくある工場のトラブルは?
まずは、工場でどのようなトラブルが起きやすいのか、具体的なトラブル内容をチェックしておきましょう。
1-1.工場で最も多い設備トラブル
工場トラブルで最も多いのが、設備の不具合や急な故障などの設備トラブルです。たとえば、稼働する製造装置が動かなくなったり、不良が発生して生産ラインが止まったりします。工場の稼働に、必要な設備が不具合を起こすとすべてがストップしてしまうのです。その結果、工場の稼働率が一気に下がり、会社の運営にも支障をきたすことになるでしょう。設備トラブルが起きた際には、原因を究明し適切な修理などを行なって、できる限り早急に正常稼働に戻すことが重要になります。
1-2.会社の存続に関わる品質トラブル
工場における品質トラブルは、製品の品質に関わることです。品質トラブルでよくあるのが、「商品に異物が入っていた」「味がおかしい」など、消費者からのクレームでしょう。不良品が出てしまったときは、再び不良品を出さないように品質管理を徹底することが大切です。特に、大量生産している工場は、品質トラブルが起きやすい傾向があり、対応を謝ると会社の信頼を大きく損ねることにもなり兼ねません。
1-3.人の命に関わる安全トラブル
さまざまな設備や機械を使用している工場は、安全対策が必要不可欠です。たとえば、安全作業のためのマニュアルが共有されていなかった結果、従業員が勝手に作業工程を省略してしまうことがあります。それが原因で事故が起こると、会社や上司が責任を問われることになるのです。安全トラブルはヒューマンエラーが原因になっていることが多いため、作業手順のマニュアル化が大切な要素となります。
1-4.トラブルが起きる原因はさまざま
工場でのトラブルは、どんなに注意しても起こり得るものです。主な原因は、注意不足などのヒューマンエラーですが、設備点検不足や品質管理の徹底不足などさまざまあります。一概に○○が原因とはいえないので、まずはなぜトラブルが起きたのか根源を把握することが大切なのです。また、トラブルを何とかしようと焦って行動した結果、かえって事態が悪化することもあるので対応には注意しなければなりません。
1-5.年々トラブルが増えている
工場のトラブルは、年々増えています。少子高齢化による人手不足が原因になっていることもありますが、現場の認識不足も大きな要因の1つです。そのため、現場の作業効率化・生産性向上などを踏まえて、ロボットなど生産設備の導入がすすんでいます。自動的に問題を発見してくれるERPパッケージ(統合基幹業務システム)も登場しているのです。
2.工場トラブルが起こってしまった場合の対応策
では、工場トラブルが起こってしまった場合、どのように対応すればいいのでしょうか。
2-1.最初にトラブルの原因を究明・特定する
まず1番にすべきことは、トラブルの原因を突き止めることです。前述したとおり、工場のトラブルはさまざまな種類があり、原因も異なります。なぜトラブルが起きたのか原因が特定されれば、行うべき修正処置も難なく実施できるでしょう。原因が判明しないまま修正処置を行うと、逆に状態が悪化してしまい製造ラインが再開するまで時間がかかってしまいます。
2-2.当該製品の特定・区分を行う
設備・品質・安全トラブルが起きると、原因が特定されるまで製造ラインがストップします。そのため、当該製品の特定と区分を行い、出荷の保留をただちに実施しなければなりません。また、原因が判明しトラブルを解決できたときに、出荷を保留した製品の出荷可否を誰が決定するのか、判断と指示を行う人も明確にする必要があります。トラブル対応が迅速にできるか否かは、責任と権限を持つ人にかかっているといえるでしょう。
2-3.トラブル発生時の連絡経路をスムーズに
何よりもトラブルが発生したときは、迅速かつ正確に情報を報告することが大切です。トラブルを見つけた作業者→職場の責任者→製造課長・品質管理課長→工場長という流れで伝達するのが理想の連絡経路といえます。しかし、実際にトラブルが起きたときには、このとおりにうまく連絡できるとはいえません。そのことも考慮して、複数の連絡経路を策定するなど、さまざまな事態を想定した報告のルールを決めてください。
2-4.勝手に解決しようとするのはNG
工場のトラブルでやっていけないことは、自分勝手に判断して対処しようとすることです。たとえ、トラブルの原因が自分にあったとしても、まず、職場の責任者に伝えましょう。自分のミスを隠そうとするのはもってのほかです。迅速に解決できるよう、作業手順のマニュアルを従業員全員が共有しておくことが重要でしょう。
3.工場トラブルを起こさない対策は?
できれば、工場トラブルを起こさないようにすることが大切ですが、具体的な対策はどのようにすればいいのでしょうか。
3-1.トラブルに強い工場づくり
いつどこで何が起きるのか分からないので、常にあらゆるトラブルの発生を想定し、トラブルに強い工場づくりを行いましょう。何らかのトラブルが起こってから対応するというものが従来の稼働率確保のための方法でした。しかし、この方法では、人が認識できる現象が発生するまで対応できません。だからこそ、どんなトラブルが起きるのかを想定し、そのトラブルを防ぐための方法を考えることが大切です。実際に、さまざまなトラブルを想定した取り組みが、国内の製造工場で実施されています。
3-2.設備保全・メンテナンスの強化
工場トラブルの対策は、設備保全とメンテナンスの強化が必要不可欠です。ほとんどの工場で使用している機械は、定期的なメンテナンスを行わなければなりません。きちんとメンテナンスを行うことで、早い段階で不具合が察知できます。劣化しつつある部品を交換したり、故障前に買い替えたりできるのです。自社メンテナンスはもちろんのこと、機械の製造メーカーによるメンテナンスも必要でしょう。
3-3.従業員の教育・管理体制を徹底する
ヒューマンエラーで起こるトラブルは、従業員の教育と管理体制の強化で防ぐことができます。たとえば、機械・設備の正しい扱い方や注意点など、作業工程・手順について学ぶ時間が必要です。分からないところがあれば、すぐに質問できる環境も整えなければなりません。実際に、上司・部下・同僚間の意思疎通が取れていないような職場で、ヒューマンエラーが続出しています。より良い職場環境づくりもトラブルを減らすポイントといえるでしょう。
3-4.トラブルが起きるたびに再発防止へ働きかける
トラブルが少ない工場は、問題点が起きるたびに再発防止のために何かしらの行動を起こしています。「その問題はなぜ起きているのか」という1次原因を考え、「1次原因の背景にあるものは何か」と2次原因を見つけるのです。そして、原因の背景に潜んでいる根本の原因を突き止めます。なぜなぜ問答をすることで、再発防止につなげられることを覚えておきましょう。
4.工場設備の導入で気をつけておきたいこと
ここでは、工場設備の導入で気をつけておきたいことを説明します。
4-1.業者選びのポイント
安心して工場設備が使用できるか否かは、第一に設備の性能そのものを信頼できるかどうかですが、設備を設置する業者選びにかかっているといえます。いつどんなときにトラブルが起きても、迅速かつ正確に対応してくれる業者を選ばなければなりません。特に、業者選びの際は、以下のポイントに注目してください。
- 工場に導入する設備の仕様全般について詳しいか
- 無料相談や技術相談を受けつけているか
- 見積書の内容が細かく記載されているか
- 住所や電話番号がきちんと掲載されているか
- どのような質問にも丁寧かつ詳しく説明してくれるか
4-2.定期的なメンテナンスを行っているかチェック!
優良業者の多くは、技術相談や定期的なメンテナンスを実施しています。定期的なメンテナンスを行っている業者なら、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。たとえ、急なトラブルが起きたとしても、すぐに対応してくれるかもチェックしてください。メンテナンスの有無は、業者選びにとって必要不可欠なポイントです。
4-3.展示会へ行こう!
工場に合った設備を選びたい方や、実際に製造メーカーの話を聞きたい方は、展示会へ出かけてみてください。展示会では、工場設備を間近で見られる絶好の機会です。具体的な大きさや、設備のシステム、稼働中の様子などが確認できます。製造メーカーの人から直接話も聞くことができるので、設備を導入する際に気をつけておきたいことを具体的に把握することができるでしょう。
5.工場のトラブル対応に関してよくある質問
工事のトラブル対応に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
Q.ヒヤリ・ハットはどういう意味か?
A.重大な災害や事故には至りませんが、その一歩手前の事例の発見をヒヤリ・ハットといいます。いわゆる、突発的な事象やミスにヒヤリとしたり、ハッとしたりすることです。たとえば、工場敷地内で車やフォークリフトを運転していたときに、人にぶつかりそうになったなどがあります。ヒヤリ・ハットは人の命を奪う一歩手前になることもあるため、自分のこととして意識を高めることが大切です。
Q.予知を生かしたトラブル防止策は?
A.危険予知を行う訓練のKYTがあります。さまざまな訓練の方法がありますが、代表的なのはイラストを用いた方法です。たとえば、作業の場面が描かれたイラストを見て、従業員同士でどのようなリスクが潜んでいるのか考えましょう。実際に、目の前で作業を観察し行うこともあります。思いつく限りの意見を出し合い、重要度の高いものを絞り込んでいくことが危険予知につながるのです。
Q.従業員に対する具体的な対策は?
A.教育も大切ですが、作業員のストレスを取り除いてあげることも重要です。近年は、ストレスによる事故が増えてきていることもあり、心理カウンセラーを設置しているところもあります。ストレスが蓄積していると苛立ちやすくなり、作業が乱雑になってしまうのです。気づいたら上司に相談できる環境にすることも大切な対策なポイントとなります。
Q.トラブルが起きにくい環境づくりのポイントは?
A.組織全体で行う整理・整頓・清掃・清潔・しつけの5Sがポイントです。安全を心がけて働いていても、工場にゴミや道具が落ちていたり、材料が散らばっていたりすることがあります。それでは、フォークリフトで移動できなくなり、転んでケガをする恐れがあるのです。そのため、定期的に整理整頓を行い、作業員に習慣づける工夫が必要でしょう。
Q.工場設備についての相談先はどこがいいのか?
A.1番理想なのは、その機械の製造メーカーに相談することです。製造メーカーは知識が豊富なので、ベストな答えをしてくれるでしょう。製造メーカーにメンテナンスを依頼することもできます。たとえば、高圧式ホモジナイザーの専門メーカー・三丸機械工業は技術相談が可能です。どのような内容でも相談を受けつけているので、安心して使用できます。
まとめ
工場では、設備・品質・安全トラブルなどさまざまな問題が起こる可能性があります。長年稼働し続けてきた工場ならば、1回もトラブルが起きたことがないというところはありません。トラブルが発生したときは、なぜ起きたのか原因を突き止める必要があります。原因がハッキリすれば、正しい処置や対応もできるでしょう。また、再発防止のために自分たちでできることを行うことも大切です。今現在、工場でどのようなトラブルが起きやすいのか「予知」を行い、そのトラブルを防ぐ対応策を全員で考えていきましょう。