分散剤とはいったい何? 種類や効果についてご説明しましょう!


「分散剤」とは聞きなれない言葉ですが、私たちの身近にあるいろいろなものに使われているのです。分散剤がなければ、私たちの生活は随分不便なものになっていたと思います。では、分散剤とはいったいどのようなものなのでしょうか?

そこで今回は、分散剤の種類や原理をご紹介します。また、身近な製品の中で分散剤が使われているものも一緒にご紹介しましょう。興味がある方は、ぜひこの記事を読んでみてください。意外なあの中にも使われているかもしれません。

  1. 分散剤って何?
  2. 分散剤の種類は?
  3. 分散剤が活躍している製品は?
  4. 分散剤と健康との関係は?

1.分散剤って何?

まず始めに、分散剤とはいったいどのような効果があるのかということを、ご説明しましょう。決して目立つ効果ではありませんが、とても大切なものなのです。

1-1.分散剤とは?

分散剤とは、界面活性剤の一種です。界面活性剤とは、水と油のように本来ならば混じりあわないものを混じらせる性質をもった物質のこと。身近な例をあげると、マヨネーズや洗剤にも界面活性剤が使われています。分散剤とは、界面活性剤の中でも特に、細かい微粒子を液体の中に均一に分散させる役割があるのです。

1-2.なぜ、粒子を分散させる必要があるの?

液体の中に細かい粉を混ぜ合わせると、粉が溶けきらずに沈んでしまうことは多いでしょう。コーヒーや紅茶の中に砂糖を溶かすと、よくかき混ぜなければ底に沈んでしまいますね。また、液体の中に溶けているように思えても、細かな粒子ほど粒子同士がくっついて、均一に散らばりません。これでは、品質にばらつきが出てしまいます。

特に、たくさんの製品を一度に作る場合は、品質の偏りがあれば大変なことになるでしょう。ですから、分散剤を使って粒子をバラバラにする必要があるのです。

1-3.分散剤の原理は?

分散剤を入れると、粒子の表面に張りついて水となじみやすくするのです。これを「ぬれ」効果といいます。次に、粒子の表面に摩擦(まさつ)などを起こして粒子同士をバラバラにするのです。これを「微粒化」といいます。さらに、摩擦(まさつ)を起こした粒子の表面に静電気を発生させたり立体反発させたりして、粒子同士が再度くっつきあうのを防ぐのです。これを「分散安定化」といいます。

この3ステップをへて、分散剤は物質を分散させるのです。ちなみに、水中に分散した粒子は粒子同士がくっつこうとする力と、反発しようとする力が同時に発生します。この力の均衡を分散剤が取ることで、粒子が液体中に分散するのですね。

2.分散剤の種類は?

分散剤は、工業製品から食品までいろいろなものがあります。キッチンに常備している人も多いゼラチンも分散剤の一種なのです。

また、片くり粉などに代表されるデンプンも分散剤の効果があります。さらに、塗料や接着剤などに使われる工業用の分散剤の種類も多いのです。それぞれに特徴がありますので、用途によって使い分けましょう。

3.分散剤が活躍している製品は?

では、分散剤はどのような製品で使われているのでしょうか? この項では、分散剤の効果が存分に発揮されている製品をご紹介します。

3-1.インク

パソコンと共に家庭に普及した機器といえば、プリンターです。これのおかげで写真までご家庭でプリントできるようになりました。プリンターがきれいに印刷できるのは、インクのおかげです。このインクの発色を助けているのが分散剤。インクは3色~8色を混ぜ合わせて、無限の色を作り出します。このインクに分散剤が入っているため、インクの中に入っている粒子と液体が上手く混じりあうのです。

同じことが塗料にもいえます。ペンキをはじめとする塗料には、すべて分散剤が入っているのです。塗料同士が上手く混じりあうのも、分散剤の効果でしょう。

3-2.洗剤

洗剤は、分散剤が入っているために水の中にさっと溶けるのです。また、皮脂をはじめとする油汚れは界面活性剤のおかげで、衣類の表面からはがせます。洗剤は界面活性剤がなければ作れません。液体洗剤の中にも分散剤は使われているのです。

3-3.化粧品

化粧品は液体のものからパウダー状のものまでさまざまな種類があります。また、肌の微妙な色合いを出すために、いろいろな顔料が加えられているのです。これらの顔料を均等に伸びよく混ぜ合わせるには、分散剤の力が必要になります。化粧品の品質は年々向上していますが、分散剤の効果が年々向上しているせいでもあるのです。

3-4.食品

今は、混ぜ合わせるだけでいろいろな味付けができる「××の素(もと)」のような調味料がたくさん出ています。また、カップスープなどお湯をそそぐだけで完成するインスタント食品もたくさんあるでしょう。このような顆粒(かりゅう)の調味料がお湯にさっと溶けるのも、分散剤のおかげなのです。片くり粉なども水に溶いて使うのは、分散効果を十分に発揮させるため。粉のまま入れれば、固まってだまになってしまうでしょう。なお、食品は「分散剤」という言葉を使わずに乳化剤という表記を使っていることが多いのです。

4.分散剤と健康との関係は?

健康志向の高まりから、できるだけ化学物質を使わずに自然由来の成分を使いたいという方も増えています。そのような人にとって気になるのは分散剤と健康との関係でしょう。よく「界面活性剤入りのシャンプーなどを使うと頭皮がいたむ」といった意見も耳にします。「分散剤を使って健康に悪影響は出ないのか」と思う方もいるでしょう。しかし、分散剤の中には自然由来のものもたくさんあります。

ゼラチンやデンプンはもちろん、昔から接着剤として使われてきた「にかわ」も分散剤として使えるのです。これらはすべて天然素材になります。現在は、大量に分散剤を使うことも多いですから、化学合成したものを使ったり、よく似た成分の化学物質を使ったりこともあるでしょう。しかし、分散剤は添加物の中では最も安全なものです。

マヨネーズを作るときは油と酢を混ぜ合わせるために卵を界面活性剤(乳化剤)として使います。卵はれっきとした食品ですよね。分散剤という字面(じづら)が見慣れないため、何か得体のしれないものではないか?と警戒する人の気持ちもわかります。しかし、ここまでの記事を読んでいただければ分散剤を使っていても体に害がないと分っていただけるでしょう。安心して使ってください。

おわりに

今回は、分散剤の原理や種類についてご紹介しました。

まとめると

  • 分散剤は界面活性剤の一種である。
  • 液体の中の細かい粒子を均一に分散する効果がある。
  • 洗剤やインク、化粧品などいろいろなところで使われている。
  • デンプンやゼラチンも分散効果がある。

ということです。

こうして見ると、私たちが使っているいろいろな製品に分散剤が使われていることが分ります。製品の品質が向上しているということは、分散剤の性質も向上しているということです。また、分散剤の仕組みを知っていると料理にも役立ちます。味の粒子が均一に散らばっていれば、よりおいしく感じられるでしょう。

ゼラチンやデンプンには味の粒子を均一化する働きがあるのです。ですから、味にむらをつけたくない場合は、デンプン質のものと一緒に調理するだけで、味が食材にまんべんなくしみこむでしょう。なお、前述したように食品に分散剤が使われる場合は乳化剤と表記されることも多いです。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加