食品を殺菌する方法は? ご家庭で簡単にできる方法も!

8月も終わりに近づいたとはいえ、まだまだ暑い日は続きます。新学期が始まるとお弁当作りが再開するご家庭も多いでしょう。また、食品を製造する会社も食中毒を起こさないように気が抜けない時期が続きます。

そこで今回は、食品を殺菌する方法をご紹介しましょう。工場でもご家庭でも規模が違うだけで、やることは変わりありません。また、食品だけでなくそれを扱う手を殺菌する方法をご説明します。食品を扱う仕事に従事している方や、お弁当を作っている方はぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。

  1. なぜ、食品は腐敗するのか?
  2. 家庭で食品を簡単に殺菌する方法は?
  3. 工場や飲食店で食品を殺菌する方法は?
  4. 殺菌以外で食中毒を防ぐ方法は?

1.なぜ、食品は腐敗するのか?

私たちの周辺には、目に見えないだけでたくさんの微生物や細菌がいます。生物は体の中に白血球をはじめとする抗体がいたり血液を循環させたりして老廃物を外に出していますから、腐敗することはありません。しかし、食品は抗体も循環機能もないのです。しかも、栄養をたっぷり含んでいます。ですから、食べ物に微生物や細菌がつくと繁殖して腐敗するのです。

しかも、食物を腐敗させる菌は繁殖しながら毒素を出します。この毒素を体内に摂取すると、食中毒が発生するのです。微生物や細菌が毒素を出す時間は、菌によって違います。中には摂取してから数日後に症状が出ることもあるでしょう。

医学の発達により、食中毒で死亡する人は少なくなりました。しかし、高齢者や子どもなど、消化器官が弱っていたり未発達だったりする場合は、症状が強く出て死に至ることもあります。

また、食品を扱う会社が食中毒を発生させてしまうと、会社の存続にかかわるでしょう。飲食店でもそれは同じです。ですから、調理器具や調理場を清潔にするのはもちろんのこと、食品を殺菌することも大切になります。

2.家庭で食品を簡単に殺菌する方法は?

では、家庭で食品を簡単に殺菌するにはどうしたらよいのでしょうか? この項では、その一例をご紹介します。

2-1.加熱

食品を最も簡単に殺菌する方法は、加熱です。100度以上の熱を通せば、食中毒の原因となる菌の多くが死滅するでしょう。ですから、お弁当など時間を置いて食べるものは、必ず加熱してから入れましょう。加熱できないものは夏場のお弁当には避けたほうがよいですね。

また、給食など大勢が一度に食べる食事を作る場合も、加熱した食材を使えば食中毒が発生する危険性が低下します。夕飯のあまりものを朝食に食べる場合も、電子レンジなどで加熱しましょう。ただし、カビの胞子は熱に強いのです。一度カビの胞子が食材につくと加熱しても、完全に死滅させるのは難しいでしょう。100度以上で加熱すればカビの胞子も死滅させられますが、家庭では難しいです。

2-2.アルコール除菌

アルコールにも殺菌作用があります。常温でお酒を置いておいても腐らないのは、アルコールに高い殺菌作用があるからです。食材をお酒にひたしておくだけでも、殺菌効果があるでしょう。

また、お弁当箱や食器をアルコールで拭くと殺菌できます。ちなみに、殺菌効果が高いアルコール濃度は70%です。ですから、殺菌目的でアルコールを使うのならば、専用のものを使いましょう。日本酒などをスプレーしてもべたべたするだけです。

お酢にも同様な効果があります。お弁当に梅干しを入れるのも、梅干しに含まれている酸に高い殺菌効果があるからです。

2-3.塩・砂糖を多用する

塩漬けや砂糖煮(ジャムなど)が、常温でも腐りにくいのは、塩や砂糖が細菌の繁殖を抑える効果があるからです。殺菌とは少し違いますが、覚えておくと冷蔵庫を整理する問いに便利でしょう。暑い時期のお弁当には、つくだになどの塩分濃度の高いものを入れておくと、腐りにくいです。

3.工場や飲食店で食品を殺菌する方法は?

大量の食品を扱う工場や飲食店で効率的に殺菌をするには、どのような方法があるのでしょうか? この項では、その一例をご紹介しましょう。

3-1.殺菌灯を使う

殺菌灯とは、紫外線を利用した殺菌方法です。空気中に漂う菌を死滅させたり、パッケージの上からも殺菌できたりするので導入している工場や飲食店も少なくありません。

また、調理器具や水に照射しても効果的です。ただし、紫外線は人体にとって有害。ですから、人が作業をしている上から照らし続けるというような使い方はできません。

3-2.オゾン

オゾンには、殺菌や脱臭、脱色力があります。ですから、建物内をオゾンで満たすことにより、殺菌効果が高まるもです。オゾンは人体に無害ですから、従業員が作業をしている最中でも使えます。ただし、オゾンを発生させる装置は導入費用がかかるので、導入が難しいところも多いでしょう。

3-3.アルコールや蒸気・煮沸

一般家庭でも行えるアルコールや煮沸による殺菌は、工場や飲食店でも盛んに行われています。また、蒸気を発生させて食品を蒸し上げることにより、殺菌する方法もあるのです。

3-4.工場や飲食店では、器具や建物、従業員の殺菌も大切

工場や飲食店など、たくさんの方が調理や製造にかかわるところは、調理をする場所や器具を殺菌することも大切です。ですから、アルコールや蒸気で建物全体を殺菌したりすることもあるでしょう。

また、手洗いを徹底して服装も改めます。食品工場の従業員が目だけを残して体全体を白い服で覆うのは、殺菌しやすく汚れが目立つからでもあるのです。しかし、小さい工場や飲食店などは、殺菌がなかなか徹底できないこともあります。食品の衛生さを保つためには、従業員の教育もしっかり行いましょう。

4.殺菌以外で食中毒を防ぐ方法は?

食中毒は夏に発生するものと思いがちですが、実は1年中発生します。夏と冬では繁殖しやすい菌が違うので、現れる症状も違うのです。ノロウィルスなど人が媒介する食中毒の菌もあります。食中毒の発生を防ぐには、調理器具や手をしっかり除菌しましょう。

また、ノロウィルスに感染してしまった場合は、完全に菌がなくなるまで調理を控えます。家族がノロウィルスに感染した場合は、必ず手袋をはめて漂白剤などを使って汚したものの始末をしましょう。

生肉を調理する場合は、調理器具を分けたほうがよいですね。生肉をさわった調理器具で生野菜を切ったりすると、そこから細菌が生野菜全体につく場合もあります。これからバーベキューなど屋外で調理をする方は、生肉用とそのほか用の調理器具を両方持っていくとよいでしょう。

おわりに

今回は食品を殺菌する方法をご紹介しました。

まとめると

  • 一番簡単な殺菌の方法は加熱である。
  • アルコールやお酢にも殺菌効果がある。
  • 工場や飲食店などはオゾンや殺菌灯などを使って調理場全体を殺菌することも多い。
  • 調理器具や手を徹底して除菌することも効果的。

ということです。

食中毒というと、おなかが痛くなって吐いたり下したりするというイメージがありますが、内臓全体に深いダメージを受けることも多いでしょう。万が一、食事をした後に具合が悪くなったらすぐに病院を受診してください。

特に、小さい子どもや高齢者はあっという間に脱水症状を起こす場合もあります。そのときに、食べたものが残っているなら持参してください。菌の特定が早まるのです。また、工場や飲食店は殺菌ができる器具の導入は積極的に行いましょう。食中毒が発生してからでは遅いのです。