工場が抱えている問題点を放置するリスク〜改善する方法について〜

工場が抱えている問題点をしっかりと把握し改善のための工夫を凝らすことで、さらに生産性がアップします。問題点を放置するほど工場が成り立たなくなり、経営にも悪影響を及ぼすでしょう。しかし、「どこに問題があるのか分からない」「どうすれば改善できるのか?」など、工場の問題点改善で悩んでいる方は多いでしょう。

そこで、本記事では、工場が抱えている問題点や放置するリスクなどについて解説します。

  1. 工場が抱えている問題点にはどんなものがある?
  2. 工場の問題点を洗い出す方法は?
  3. 工場の問題点を放置するリスク
  4. 工場の問題点を改善する方法
  5. 工場の問題点に関してよくある質問

この記事を読むことで、工場の問題点を洗い出し改善する方法が分かります。悩んでいる方はぜひチェックしてください。

1.工場が抱えている問題点にはどんなものがある?

最初に、工場が抱えている問題点の例をいくつか紹介します。

1-1.整理・整頓といった「5S」が実現できていない

よくある工場の問題点として、工場内にゴミや部品が散乱している・整理整頓がなされていないなどがあります。一般的に、5Sが悪いと表現されることが多いのですが、5Sは整理・整頓・清掃・清潔・しつけを表している経営管理手法のことです。5Sを意識していない工場や企業は、経営が順調に成り立たなくなるといわれています。きちんと整理整頓がされている工場では、設備のトラブルも少なく、仕事場の環境が整うことで従業員も安心して働くことができるでしょう。逆に、5Sが実現できていない工場では、さまざまなトラブルが発生しやすくなります。

1-2.不良が発生したびたび生産ラインが止まる

工場で最も多いトラブルは設備トラブルです。稼働する製造装置が動かなくなったり、不良が発生してたびたび生産ラインが止まったりしてしまいます。工場の生産ラインが止まってしまうと、その間利益を生み出すことができません。工場の稼働率が下がり、会社の運営にも大きな支障をきたすことになるでしょう。設備トラブルをどうすれば少なくできるのか・生産ラインを維持し続けることができるのかは、多くの工場での問題点・課題になっています。

1-3.品質維持と安全面における問題点

工場で抱えている問題の中には、品質維持と安全面における問題点もたくさんあります。製品の品質に関わるトラブルが発生すると、会社の信用を大きく失うことになるでしょう。「味がおかしい」「異物が入っていた」など消費者からのクレームが入ると、再び不良品を出さないように品質管理を徹底しなければなりません。また、工場にはたくさんの設備や機械があります。従業員が安全作業のマニュアルを把握していないと、設備トラブルだけでなく人命に関わる事故が起きてしまうでしょう。

2.工場の問題点を洗い出す方法は?

ここでは、工場の問題点を洗い出す方法とポイントを解説します。

2-1.考える力を身につけることが大切

工場の問題点を洗い出すためには、管理監督者が考える力を身につけなければなりません。現地に赴き、現物を見て、課題や問題点をいくつ発見できるかが大きなカギとなります。考える力を身につける方法はたくさんありますが、管理監督者を増やすことも方法の1つです。管理監督者数人のグループを作り、現場に行き、そこで改善すべき課題を見つけるといいでしょう。そして、見つけてきた課題を1人1人に発表させて、議論を重ねることが大切です。1人だけでは分からなかった部分まで視野を広げることができ、問題点の共有もできるでしょう。

2-2.従業員のカウセリングを行う

どこにどんな問題点があるのか、そこで実際に働いている従業員にしか分からないこともあります。管理監督者から見て問題ないと思っていたことでも、従業員にとっては大きな問題に感じているかもしれません。だからこそ、問題点を洗い出すために、従業員1人1人とのカウンセリングや相談を行うことも大切なポイントです。現在、従業員がどんなところに不満や不安を抱いているのか・働きづらさを感じているのか知ることで、問題提起につながるでしょう。そして、管理監督者や責任者は、その問題点を解決するために動くことが大切です。

2-3.予測する問題について考える

問題には、主に、見える問題・探す問題・予測する問題の3種類があります。見える問題は問題の状況が明確になっているもの、探す問題は不具合が発生していなくとも積極的に問題を見つけ出すことです。この2つの問題提起を行っている工場は多いのですが、予想する問題については意識づけがされていないのが現状といえるでしょう。予想する問題は、新規事業・新商品開発などでこれまでと違った仕事の進め方・成果に対してのリスクを予測することです。その予測する問題についても、しっかりと考えていかなければなりません。

3.工場の問題点を放置するリスク

それでは、工場の問題点を放置するとどんなリスクが生まれるのでしょうか。

3-1.工場が成り立たなくなる

工場の問題点を放置すると、予期せぬトラブルが次々と起きたり、人の命を奪うことになる事故が発生したりするなど、さまざまなトラブルを引き起こすきっかけとなります。その結果、生産ラインがストップし、工場や会社が成り立たなくなってしまうでしょう。従業員たちが路頭に迷うことにもなり兼ねません。問題を放置すればするほどリスクが大きくなり、避けられたことも避けられなくなってしまいます。問題が大きくなる前に、早く解決することが大切です。

3-2.職場環境が悪くなる

工場の問題点を放置することで、職場環境にもリスクが生まれます。問題が上がっているのに、なかなか改善してくれない上層部に対し、従業員たちの不満と不安が大きくなるでしょう。どのような仕事でも信頼関係はとても大切なものです。しかし、問題点を放置することが信頼関係の崩壊につながり、職場環境が悪くなってしまいます。共有すべき情報をお互いに伝えることもできなくなり、さらにヒューマンエラーが増えることになるでしょう。

3-3.設備トラブルが多発する

設備トラブルが増えるのも、問題点を放置することで生まれる大きなリスクです。工場によって生産している商品は異なりますが、設備や機材を使っているところがほとんどでしょう。5Sが整備されていない・実現できていない工場は設備メンテナンスも怠っているため、すぐにトラブルが発生してしまいます。問題点を放置すると、設備や機械の操作を誤り、大きな事故につながる恐れもあるので注意しなければなりません。

4.工場の問題点を改善する方法

ここでは、工場の問題点を改善する方法について解説します。

4-1.問題点を改善するために何をすべきか話し合う

前述したように、工場にはさまざまな問題が隠れているのでしっかりと問題点を洗い出し、どうすれば解決できるのか話し合うことが大切です。管理監督者や責任者だけで話し合ってしまいがちですが、従業員の代表者を交えることも大切なポイントとなります。現場で働いている人を交えて話し合ったほうが、よりベストな改善策が出てくるはずです。また、問題点解決のための話し合いで取り決めたことを、全員がきちんと意識し守る姿勢も必要となります。常に、問題意識を持つことが問題点改善につながるというわけです。

4-2.従業員の教育体制を徹底する

問題点を改善するためには、従業員と管理監督者や責任者との意思疎通が必要となります。コミュニケーションを増やすのはもちろん、従業員の教育や管理体制を徹底することも大切なポイントです。特に、ヒューマンエラーで起こるトラブルは、従業員に対する教育の不十分さが原因になっています。機械や設備の正しい扱い方・注意点・作業工程・手順など、学ぶ時間を確保してください。分からないことがあれば質問できる環境を整えると、従業員も質問しやすくなります。また、分からないところはすすんで質問し解決するという従業員の姿勢も大切です。そうして、より良い職場環境が整っていきます。

4-3.設備保全・メンテナンスを強化する

工場は設備や機械がしっかり稼働しなければ成り立ちません。従業員にとっても、安心して作業できる環境でなければ、不安でいっぱいになり、設備トラブルを起こしてしまうことになります。だからこそ、設備保全やメンテナンスを強化することも問題点の改善につながるでしょう。また、定期的なメンテナンスを行うことで故障のリスクも減少します。早い段階で不具合の察知ができるため、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

4-4.問題点が上がるたびに再発防止へ働きかける

どれだけ対策を講じていても問題やトラブルが発生することもあります。予期せぬ問題が起きたとしても焦らずに、スピーディーかつ的確に再発防止へ働きかけることも大切なポイントです。トラブルが少なくても、どんな問題点が起きやすいのか・どうすれば未然に防ぐことができるのか考えなければなりません。その問題はなぜ起きているのか1次原因を考え、1次原因の背景にあるものを探す2次原因を見つけましょう。原因の背景にある根本的な原因を見つけることで、再発防止につながります。

5.工場の問題点に関してよくある質問

工場の問題点に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.5Sの定義は?
A.具体的な定義は決まっていませんが、経営コンサルタントの高原昭男さんは以下のように記しています。

  • 整理:必要なものと不要なものを分け、不要なものを捨てる
  • 整頓:必要なものがすぐ取り出せるように、置き場所・置き方を決めて表示する
  • 清掃:掃除をしてゴミや汚れのないきれいな状態にする・細部まで点検する
  • 清潔・整理・整頓・清掃を徹底して実行し、汚れのないきれいな状態を維持する
  • しつけ:決められたことを決められたとおりに実行できるよう習慣づける

Q.問題改善のために注目すべき要所は?
A.金になる仕事をしているかです。金になる仕事とは、顧客が認めてくれる加工や検査の時間を指しています。たとえば、従業員がほかの人としゃべったり、加工するワークがなく手持ちぶさたになったりしていると、利益が生まれない時間を過ごしていることになるのです。お金をもらえない行動が多い工場ほど、問題点がたくさんあります。

Q.製造業が抱える課題は?
A.技術力への負担と導入コストへの懸念、人材確保の困難です。日本の製造業が衰退しているのが現状で、その原因はIT活用が遅れている点にあります。さらに、人材不足に陥っている工場も増えているのです。だからこそ、今後は人材活用の制度的な工夫・ロボットやIoT機器の導入・労働生産性の向上に向けた取り組みが必要になるでしょう。

Q.なぜ問題を見つけることが重要なのか?
A.問題を見つけると、現状とあるべき姿のギャップを知ることができるからです。主な問題は、見える問題・探す問題・予測する問題があると説明しましたが、見える問題の背景には潜在的な原因が必ず隠れています。そして、探す問題と予測する問題には、挑戦する意識が改善へ活動レベルを高めることができるのです。問題に対する改善は、グラフや図表を活用して視覚的に把握したり、共有化したりするなどの工夫が必要となります。

Q.設備を導入する際の注意点は?
A.工場設備や機器を販売している業者の中には、不正を働く悪徳業者が存在しているので、業者選びに注意する必要があります。どんな機械に長(た)けているのか・メンテナンスをしっかりと行ってくれるか・無料相談を受けつけているのかなどチェックしてください。たとえば、高圧式ホモジナイザーの専門メーカーである三丸機械工業では、定期的なメンテナンスはもちろん技術相談も受けつけています。複数の業者を比較し、信用できる業者から設備や機械を導入しましょう。

まとめ

なかなか思うような利益が出ないなど、工場が抱えている問題点はさまざまです。問題点を解決するにはなぜ問題が出ているのか、真剣に考え対策を講じる必要があります。結果が出るまで時間はかかるかもしれませんが、必ず成果が現れるときはやってくるでしょう。大切なのは、常に問題意識を持つことです。その意識を持つことで、ちょっとした問題にもすぐ気づくようになり本質的な問題に目がつくようになるでしょう。