タンパク質抽出を解説! ホモジナイザーを用いる方法やメリットも紹介
生物工学を学んでいたり、薬学・食品の分野で仕事をしていたりすると、タンパク質の抽出をよく行います。タンパク質の抽出にはいろいろな方法があり、目的に沿った方法を行わないとせっかくタンパク質を抽出しても、使えなくなることもあるでしょう。そのため「タンパク質の抽出方法を詳しく知りたい」と思っている人もいると思います。
今回は、タンパク質抽出方法を紹介しましょう。
- タンパク質抽出とは何か?
- 主なタンパク質抽出方法
- 強力なタンパク質抽出法
- ホモジナイザーの導入方法
- タンパク質抽出に関するよくある質問
この記事を読めば、タンパク質抽出に必要な機器も分かります。興味がある人は、ぜひ読んでみてくださいね。
1.タンパク質抽出とは何か?
タンパク質抽出とは、動物や植物の細胞からタンパク質を抽出することです。生物工学や医学・製薬・薬学の実験などでよく行われます。抽出したたんぱく質をさらに分解することにより、DNAを抽出することも可能です。そのため、DNAに関する実験の最初の行程として、タンパク質抽出が行われることもあります。
また、タンパク質は熱によって変質する性質があるため、実験の目的別に抽出方法が異なることも珍しくありません。
2.主なタンパク質抽出方法
この項では、タンパク質抽出方法を紹介します。
2-1.浸透圧ショック法
タンパク質を含んでいる細胞を減菌水など浸透圧の低い溶液につけ、浸透圧を利用してタンパク質を取り出す方法です。水分解酵素がタンパク質に混入することを抑えることができますが、タンパク質の回収率はあまりよくありません。
2-2.凍結融解法(とうけつゆうかいほう)
タンパク質を含んでいる細胞を液体窒素で急速冷凍し、解凍するショックでタンパク質を抽出する方法です。凍結して解答するだけなので、非常に簡単に行えます。その一方で、タンパク質は不活性化するので活性化が必要ないときにしか行えません。
2-3.界面活性剤の使用
界面活性剤を使用することで、タンパク質を抽出する方法です。水と親和性が低いタンパク質を溶解させる際に用います。非イオン性や両イオン性界面活性剤が用いられることが多いでしょう。
2-4.酵素消化法
酵素を用いることにより、タンパク質を抽出する方法です。今までご紹介したような方法ではタンパク質が抽出しにくい細胞からタンパク質を抽出することができます。効率的にタンパク質を抽出することが可能です。
3.強力なタンパク質抽出法
この項では、生体の組織や細胞壁を持つ植物細胞からタンパク質を抽出する、より強力な方法を紹介します。
3-1.超音波処理
超音波の持つ物体をハサミ切る作用(せんだん力)を利用して細胞を破壊し、タンパク質を抽出する方法です。抽出中に泡と熱が発生するため、水中で短時間に作業を行います。ですから、一度に大量のタンパク質を抽出することはできません。
3-2.フレンチプレス
細胞が混じった液体を高圧下で強制的に小穴から押し出すことにより、細胞壁を破壊してタンパク質を抽出する方法です。あらかじめフレンチプレス機を冷却しておくことにより、熱を発生させずに細胞壁を壊すことができます。細菌や酵母など細胞壁を持つ細胞からタンパク質を抽出する際にフレンチプレスを使うことが多いでしょう。
3-3.乳鉢で砕く
液体窒素で急速凍結させた細胞や微生物を、乳鉢で砕くことでタンパク質を抽出する方法です。手軽にできる方法ですが、うまく抽出するには技術が必要なため、行える人は限られています。
3-4.ホモジナイザーを利用する
ホモジナイザーを利用して細胞を砕いてタンパク質を抽出する方法です。ホモジナイザーは手動で操作するものから、モーター付きのものまでいろいろな種類があり、モーター付きのものは大容量の抽出ができます。ミトコンドリアや核など細胞小器官を壊さずにタンパク質を抽出できるのも特徴です。
4.ホモジナイザーの導入方法
この項では、ホモジナイザーの導入方法を紹介します。
4-1.ホモジナイザーを必要としている場所
ホモジナイザーは、物質内の粒子を砕くことにより物質を均一化する機械です。タンパク質の抽出は、粒子を砕く機能を利用して行っています。物質を均一化することにより、より高品質な製品を製造することが可能です。ですから、研究室だけでなく、食品・医薬品・化粧品などを製造する会社でも使われています。
4-2.ホモジナイザーの種類
ホモジナイザーには、以下のような種類があります。
- 高圧式ホモジナイザー:混ぜ合わせた物質同士を容器の中に入れ、高圧をかけて狭い隙間から広い場所へ押し出すことでホモジナイズ処理を行う
- 超音波ホモジナイザー:超音波を発生する端子を物質の中に入れ、振動を発生させて物質のホモジナイズ処理を行う
- ダウンス型ホモジナイザー:手動式ホモジナイザー。主に実験などで用いる。
三丸機械工業で扱っているのは、高圧式ホモジナイザーです。ラボ用の卓上サイズから工場ラインに組み込める大型サイズまで種類豊富に取り扱っています。
4-3.ホモジナイザーの導入方法
ホモジナイザーを導入するには、新品で購入、中古で購入、レンタルという3つの方法があります。ダウンス型ホモジナイザー以外は、中古市場も活発です。しかし、毎日ホモジナイザーを利用して大容量の物質をホモジナイズ処理する場合は、新品のほうが長く使えるでしょう。また、使い心地を試してから購入方法を決めたいという場合は、レンタルもおすすめです。
4-4.三丸機械工業からホモジナイザーを購入するメリット
前述したように、三丸機械工業では豊富な種類の高圧式ホモジナイザーを取り扱っています。また、当社より導入したホモジナイザーは適切なメンテナンスによって30~40年使用することが可能です。もちろん、メンテナンスはいつでもお申込みいただけます。緊急時にも対処可能です。
さらに、当社はお客様の元にテスト機を貸し出して、実際に製品をホモジナイズ処理してもらうことで使い心地を試してもらうこともできます。反対に、こちらでサンプルをお預かりしテストすることも可能です。心行くまでテストしていただき、納得の上、ご購入できます。
5.タンパク質抽出に関するよくある質問
この項では、タンパク質抽出に関するよくある質問を紹介します。
Q.一般的な抽出方法では、タンパク質が変質する可能性は低いのですか?
A.強い摩擦力をかけない分低いのですが、その代わり、一度に抽出できる量には限りがあります。
Q.高圧式ホモジナイザーでタンパク質を抽出する場合、熱は発生しないのですか?
A.細胞を液体の中に入れて液体と共に均一化することにより、熱の発生を防ぎます。
Q.大容量でタンパク質を抽出したい場合は、ホモジナイザーを使うのが一番ですか?
A.はい。そのとおりです。
Q.小型の高圧式ホモジナイザーはありますか?
A.三丸機械工業で取り扱っているので、ぜひ利用してみてください。
Q.ダウンス型ホモジナイザーに中古品はありませんか?
A.はい。数万円のものでほぼ消耗品ですから、中古はありません。
まとめ
今回はタンパク質抽出の方法を紹介しました。高圧式ホモジナイザーを利用することにより、大容量のタンパク質を効率的に抽出することが可能です。超音波式ホモジナイザーと使い分けることにより、より実験の幅が広がります。