乳化剤に使われる化学物質の種類は?特徴とともにご紹介!


私たちは、毎日何らかの加工食品を口にしています。加工食品にはいろいろな添加物が使われていますが、今回は乳化剤として使われている化学物質についてご紹介しましょう。乳化剤や化学物質というと、いかにも体に悪そうなイメージがあります。

しかし、化学物質とはいえ、食品に添加されているものは厳しい審査をクリアして問題がないものばかりなのです。ですから、いったいどのようなものが乳化剤として利用しているかが分かれば安心できます。興味がある方はぜひこの記事を読んでみてください。

  1. 乳化剤の働きと役割は?
  2. 乳化剤として使われている化学物質の種類は?
  3. 乳化剤と健康の関係

1.乳化剤の働きと役割は?

乳化剤とは、油と水を混ぜ合わせる働きのある物質です。油と水は本来混じり合いません。ラーメンのスープには、油の球がたくさん浮かんでいます。これは、水分(スープ)と調味油が混じり合わないので起こる現象です。しかし、水分と油はよくかき混ぜれば一時的に混じり合います。これを「乳化」というのです。

サラダにかけるドレッシングの主原料は油とお酢。ですから、使う前によく振って混ぜる必要があるのです。しかし、撹拌(かくはん)による乳化は、時間がたてば元に戻ってしまいます。ですから、乳化剤を使って水と油が混じり合った状態を安定させるのです。ちなみに、食物にも乳化剤の効果があるものもあります。そのひとつが卵。油とお酢は混じり合いませんが、そこに卵を加えるとクリーム状になって固まります。これが皆様おなじみの調味料、マヨネーズです。

乳化剤はこのほかにも、舌触りを滑らかにしたり異なる物質同士をより混ざりやすくしたりする作用があります。ですから、加工食品には使われていることが多いのですね。

2.乳化剤として使われている化学物質の種類は?

では、乳化剤として使われている化学物質にはどのような種類があるのでしょうか? この項で、その一例をご紹介します。

2-1.グリセリン脂肪酸エステル

食品用の乳化剤として最も使われている化学物質のひとつです。グリセリンが持っている3つのヒドロキシ基のうちの1~2個が脂肪酸エステルと結合したもので、天然の油脂にも含まれています。つまり、化学物質とはいっても天然由来なのです。グリセリン脂肪酸エステルは19世紀には合成が成功され、1930年代にはマーガリンの添加剤として使われるようになりました。日本で消費されるようになったのは、1950年代からのこと。

乳化のほかにも、パンが固くなるのを防いだり低温では起泡、高温になると消泡の効果も発揮したりします。ですから、マーガリンやクリーム類、パンなど幅広い食材に使われているのです。まさに乳化剤の代表格といえるでしょう。

2-2.ショ糖脂肪酸エステル

水と結びつきやすいショ糖と油と結びつきやすい脂肪酸との化合物です。シュガーエステルともいわれています。乳化したものを安定にたもつ力が強いため、マーガリンやショートニング、さらにアイスクリームなどに使われているのです。さらに、チョコレートの中の成分が結晶化するのを予防するためにも使われています。かつてはショ糖の一種に分類されていましたが、現在は乳化剤として分類されているのです。

2-3.ステアロイル乳酸カルシウム

高級脂肪酸であるステアリン酸と、エステル化学反応物のカルシウム塩の化合物です。自然界には存在しない新しい化合物ですが、その原料はすべて天然のもの。時間とともに分解して、また天然の物質に戻ります。豆腐をつくるにがりや中華めんに使われるかんすい、さらにハムやソーセージをうまくまとめる決着剤に代わるものとして使われているのです。

さらに、でんぷんの老化を防ぐ作用もあるので小麦を使った製品の保存料としても使われています。同じような働きをするものに、ナトリウム塩のステアロイル乳酸ナトリウムがありますが、日本では使用が認められていません。

2-4.ステアリン酸カルシウム

こちらも高級脂肪酸であるステアリン酸とカルシウムの混合物です。健康食品やサプリメントに含まれることが多く、有名なところでは青汁にも含まれています。

また、錠剤などの医薬品にも薬を溶けやすくするために添加されているのです。体内に入っても吸収せずに排出されてしまいます。

2-5.ソルビタン脂肪酸エステル

糖類の一種であるソルビトールと、食用油脂を分解した脂肪酸をエステル化したものの化合物です。ほかの乳化剤と組み合わせて使うことが多く、クリーム類を使った食品の滑らかさの向上に使われています。

2-6.プロピレングリコール脂肪酸エステル

食品に使われている乳化剤の中では、最も単純な構造を持つものです。油脂を含んだ食品に使うと起泡性がよいので、ホットケーキミックスなどにも加えられています。また、単独での乳化力はほとんどなく、ほかの乳化剤の性質を改良する効果があるため、ふたつ以上の乳化剤と組み合わせて使われることがほとんどです。

3.乳化剤と健康の関係

現在、日本で使われている乳化剤の成分はほとんどが天然由来のものです。化学物質というといかにも人工的なものといったイメージがありますが、実際は違います。ですから、添加物といっても体に悪いものはありません。しかし、「添加物」というだけで「できる限り取らないようにした方がよい」という意見もあります。

また、乳化剤をできるだけ使わない食品を探しているという方もいるでしょう。しかし、乳化剤は保存料や着色料とは違います。乳化剤の目的は油と水を混ぜ合わせたり、より滑らかな舌触りや程よい泡立ちなどを食品に与えたりするために使われているのです。

皆さんは市販品の方が手作り品よりもおいしく感じた、という経験はありませんか? それが、乳化剤の効果なのです。たとえば、アイスクリームを手作りする場合、途中で何度もかき混ぜなければなりません。それを怠ったり、うまくできなかったりすると舌触りがもそもそとした、固いものができるでしょう。そうなるのを防いでくれるのが、乳化剤なのです。ですから、おまんじゅうやケーキをふっくらと仕上げるために重曹などをいれるのと同じでしょう。

また、食品に使われている乳化剤はほんのわずかです。ですから、「乳化剤のせいで健康に悪影響が出た」ということはこれまでもありませんでしたし、これからもないでしょう。

おわりに

今回は乳化剤として使われる化学物質の種類や性質をご紹介しました。難しい名前のものが多いですが、ほとんどが油脂由来のものであると覚えておけばよいでしょう。乳化剤は油と水を混ぜ合わせるだけでなく、物体同士を均一に混ぜ合わせたり劣化を防いだりする効果もあります。ですから、乳化剤だけではなく安定剤や保存料として使われることもあるでしょう。保存料や安定剤というと体に悪そうなイメージがありますが、由来を聞くと安心できますね。

今は、保存料が体に悪いというイメージが膨らみ過ぎて、天然由来の添加物すら入っていないものを選ぶという方もいるでしょう。それ自体は問題ありません。しかし、何も添加されていない食べ物はできあがりの状態がまちまちですし、劣化も早いのです。ですから、時と場合によっては適さないこともあるでしょう。状況を考えて、無添加のものか日持ちや味がよいものを選ぶのか決めてください。


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