工場管理とはどんなことをするの? その内容をご紹介します!

「工場管理」というと工場で使う設備の管理というイメージがありますが、実際は製品の生産を合理的、かつ効率的に行うために豊富な経験と幅広い知識が必要とされます。特に衛生管理や安全管理は目立ちませんが、工場の生産を左右する大切なものでしょう。

そこで今回は、工場管理や、管理者の役割についてご紹介します。工場管理を的確に行えば、生産性がアップするだけでなく働きやすい職場になるでしょう。経営者だけでなく工場の衛生管理や安全管理を任された方は、ぜひ読んでみてくださいね。

  1. 工場管理とは?
  2. 工場における安全管理と衛生管理とは?
  3. 管理者の役割は?

1.工場管理とは?

この項では、工場管理とはいったいどのようなことを指すのかをご紹介します。おそらく皆様が思っているより「工場管理」の意味は幅広いでしょう。

1-1.そもそも工場とは?

工場とは、物を製造する場所のことです。そこで作られるものは、工業製品から食品まで多岐にわたるでしょう。そして、工場で製品を作ったらそれで終わりではありません。出荷して利益を上げなければならないのです。

また、製品を作るにも人と材料を集めなければなりません。このように、施設・機械・組織などを効率的に働かせるために、企業や経営者が行う施策(しさく)を工場管理と言います。ですから、材料を現地調達できて人件費が安い中国や東南アジアに工場を移転することも、工場管理のひとつと言えるでしょう。

1-2.経営者の立場で行う工場管理

経営者は、製造計画に基づいた生産管理を行います。たとえばAという品物を100個作りたい場合、どのような材料をどのくらいの予算で買い付け、どの程度の人員を作って作るのかを考えるのです。この生産管理次第で、工場は赤字にも黒字にもなるでしょう。いわば、工場の生命線を決める大切な管理です。

1-3.現場の従業員が行う工場管理とは?

現場の従業員が行う工場管理には、

  • 工程管理
  • 品質管理
  • 資材・運搬管理
  • 設備管理
  • 安全管理
  • 衛生管理

があります。

これはおおざっぱに言うと、経営者から「Aという製品を100個作りなさい」という指令が来た時に、従業員をどのように動かして、高品質の品物を作って出荷するかということです。どの製造過程にどのくらい従業員を配置するかによっても、生産数や品質も変わってくるでしょう。

また、材料の管理やできた品物の管理やさらに従業員の働き方や設備・職場環境の管理も入ってきます。ですから、それぞれに責任者がいて工場管理を行っている工場もたくさんあるのです。

1-4.工場管理がうまく行っていないとどうなるの?

工場管理は経営者の立場で行うものと、現場の従業員が行うもののバランスが大切です。たとえば、経営者の立場で行う工場管理ばかり優先させると、「生産性が第一で、従業員の安全や衛生管理は二の次」になりかねません。

また、従業員の立場で行う工場管理を優先させすぎると、長期的な工場経営の展望ができずに赤字になる可能性もあります。ですから、正しい工場管理とは現場の声と経営者の声をお互いに聞き合って、双方が納得する管理方法を決めることです。上からの通達を一方的に現場の従業員に押し付けるだけの管理方法は、長い目で見ればうまくいかないことが多いでしょう。

工場管理は経営者が行うものと現場の作業員が行うものがあるんですね。
はい。両方が機能していることが重要です。

2.工場における安全管理と衛生管理とは?

この項では、工場における安全管理と衛生管理の仕事についてご紹介します。この2つの管理がうまくいっていると、製品の品質管理もうまくいきやすいです。

2-1.安全管理とは?

安全管理とは、文字通り従業員が安全に製品を作れるように作業過程や作業環境、さらに原材料管理をすることです。
多くの工場では、作業手順がマニュアル化されているでしょう。しかし、作業を効率化するためにマニュアルを一部簡略化したり、マニュアルに書かれていない事を行う工場は少なくありません。

また、それが大事故につながった例もあります。さらに、効率を最優先しすぎると品質にも問題が出てくるでしょう。製品を作る機械や設備も定期点検をして、安全を確認することが大切です。

2-2.衛生管理とは?

工場における衛生管理は、食中毒防止だけでなく化粧品や医薬品、さらに衛生用品など肌に直接触れるものの衛生状態を管理します。特に全国へ食品を出荷している大規模な食品工場や化粧品工場の場合は、衛生管理を怠ると大変なことになるでしょう。食品工場では食品の安全性をチェックする検査として、長年最終製品の抜き取り検査を行ってきました。しかし現在では、食品の製造過程で微生物汚染が生じやすい個所をあらかじめ分析し、汚染が発生しやすい部分を重点的に管理するHACCP(ハサップ)と呼ばれる管理法も同時に行われています。

ちなみに、「衛生管理者」という国家資格がありますが、これは従業員の安全で健康に働けるように職場の環境を整える仕事を行う資格者です。食品工場で衛生管理を行う資格ではありません。

安全管理と衛生管理、どちらもおろそかになってはいけませんね。
はい。工場と作業員の両方を守るためにどちらも重要です。

3.管理者の役割は?

工場が大きくなるほど管理する物も多くなり、それぞれの管理責任者の数も増えていきます。では最後にこのような管理者の役割はどのようなものか、一例をご紹介しましょう。

3-1.安全衛生教育を行う

従業員の中には、自分が扱っているものの危険性や、衛生管理の大切さがわからない人もいます。ですから従業員の安全衛生教育は、管理者の大切な役割です。今は、パソコンで簡単に図や写真入りのわかりやすいマニュアルが作れます。ですから、マニュアルを作って「各自読んでおくように」で安全衛生教育を済ますことも可能です。しかし、それではいざ事故が起きた際に、管理者の責任が問われるかもしれません。定期的に時間を割いて、教育を行うことが大切です。

また、食品工場の場合は季節ごとに繁殖しやすい微生物が違います。面倒でも季節ごとに勉強会を開けば、事故を防止しやすいでしょう。

3-2.職場巡視をする

しかし、いくら口を酸っぱくして従業員に教育しても完璧にはいきません。そこで、管理者は定期的に職場巡視を行いましょう。できれば抜き打ちで行ったほうが、従業員の普段の仕事ぶりを確認できます。そこで危険な個所や作業を見つけたら、すぐに改善指示を出しましょう。

3-3.設備や機械のチェックをし、定期的に作業工程を見直す

設備や機械の老朽化は、工場管理に大きな影響が出ます。また、時間がたてば作業工程も変わってくるでしょう。現場の管理者は、このような改善事項を経営者側に伝えることも仕事のひとつです。さらに、大きな工場ならば定期的に各部門の管理責任者が集まって、業務報告や改善案を出し合うことも必要でしょう。

管理者は安全・衛生双方の管理指導者ですね。
はい。教育者でもあります。

おわりに

今回は工場管理についていろいろとご説明しました。

まとめると

  • 工場管理は生産管理や品質管理、安全管理など多岐にわたる
  • 経営者が行う工場管理と現場の従業員が行う工場管理がある
  • 工場管理がうまくいかなければ、高品質の製品は作れない

ということです。

一口に「工場管理」といっても、工場によって必要とされるものは違うでしょう。ですから、法律で定められている基準も抽象的です。その分管理者の技量が求められるでしょう。

特に、設備管理や精製管理、安全管理などは一見すると地味な業務です。しかし、これをおろそかにすれば品質が低下し、工場に対する信頼性は大きく損なわれてしまいます。今は、インターネットによって不祥事はあっという間に拡散されてしまうでしょう。高品質の製品を作るためにも、工場管理は的確に行わなければなりません。