撹拌機とはどんな機器? 種類や必要とされる場所は?
撹拌とは、物質をかき混ぜること。撹拌機とは物質を効率よくかき混ぜるための機械です。ご家庭にも、泡だて器やバーミックス、電動泡だて器などの撹拌機があります。
今回は、撹拌機を購入したい方向けに撹拌機の種類やメーカー、選び方のコツ、乳化機や均質機との違いをご紹介しましょう。
- 撹拌機とはどのような機器?
- 撹拌機の種類と使い方
- 各業界における撹拌機の使われ方
- 撹拌機を導入する際のポイント
- 撹拌機の中古市場
- 撹拌機についてよくある質問
撹拌機にはいろいろな用途があります。そのため、羽の種類や材質も多岐にわたるでしょう。ですから、この記事を読んで知識を仕入れてから選んでみてください。撹拌機の買い替えや購入を考えている方は、ぜひこの記事を読んでみましょう。
1.撹拌機とはどのような機器?
初めに、撹拌機の定義や構造、使われている場所などをご紹介しましょう。泡だて器のイメージが強いと、調理専用の器具ではないか?と思いがちですがそれ以外にもいろいろな場所で使われているのです。
1-1.撹拌機の仕組みや原理、構造
撹拌機は、固体と液体、固体と固体、固体と気体など数種類の異なる物質を混ぜ合わせるための機器です。最も身近な撹拌機といえば、泡だて器でしょう。手動ですが、はしやスプーンなどで混ぜ合わせるよりも、きれいに均等に混ざります。これを電動で行うのが、「電動泡だて器」です。手動の泡だて器よりも物質同士が早く、そして滑らかに混ざります。
また、ミキサーのように物質を粉砕しながら混ぜ合わせて液体状にするものも、撹拌機の一種です。このような撹拌機の原理や構造はとても単純。モーターに撹拌棒をつけて、電気の力で回転させるのです。撹拌棒には羽がついており、この羽の形状によって物質をどのように撹拌するのか選べます。ですから、撹拌棒が着脱可能な製品もたくさんあるのです。
小型撹拌機でも、大型のものでも原理や基本は同じ。どちらかといえば単純な機器ですので、一度購入すれば長く使えるでしょう。
1-2.撹拌機が必要とされる場所は?
撹拌機は、さまざまな分野で活躍しています。原理や構造をご説明するのに例に出した電動泡だて器は、調理現場ではなくてはならないものです。また、撹拌工程が必要な製造物は多く、医薬品、食品、化学物質などさまざまな製造工場で使われています。
さらに、モルタル専用の撹拌機、コーキング撹拌機などを見ればわかるように、建築現場でも撹拌機は大活躍しているのです。
1-3.乳化機などとの違い
さて、撹拌機とよく似た構造や役割を担っている機械に、乳化機や均質機があります。ふたつの機能を併せ持つ「ホモジナイザー」という製品名で製造、販売されていることも多く、職場で使っているというところも多いでしょう。乳化というのは水と油のように本来ならば混ざらないような物質同士を混ぜ合わせることです。
一例を挙げると、マヨネーズ。これは、酢(水分)と油を混ぜ合わせて卵を加えた調味料です。この場合は、卵が「乳化剤」といって混ぜ合わさった物質同士を結び付ける役割を担っています。均質化とは、混ぜ合わさった物質同士の成分をすべての場所で同じにすることをさすのです。たとえば、おはしで卵をかき混ぜてみましょう。数回かき混ぜただけでは、黄身と白身がしっかり混じり合ったところと、混じり合わないところが出てきます。
ここまではっきりしていなくても、ただ撹拌しただけでは、品質が均質化しないのです。そのため、超音波などを使い物質の粒子を均一化することで、より品質の高い製品を製造できます。つまり、乳化機や均質機は撹拌により高度な機能をプラスした製品なのです。
2.撹拌機の種類と使い方
この項では、撹拌機の種類と使い方についてご紹介します。撹拌機を必要としているところはたくさんある、と前述しましたがどのような使い方ができるのでしょうか?
2-1.羽の種類
撹拌機は、羽を変えることによって撹拌した物質を変化させることもできます。たとえば、固体を液体にすることもできますし、固体同士を液体化して混ぜ合わせることもできるでしょう。さらに、羽に刃をつければ、物質を切り刻みながら混ぜ合わせるということも可能です。つまり、物質をどうしたいのかによって羽を変えれば、一台の撹拌機でいろいろな使い方が可能になります。そのため、羽やそれを取りつける撹拌棒が交換可能な機種が多いのです。
2-2.撹拌棒の素材
撹拌棒は、複数の素材があります。ガラス、ステンレス、ポリエステル、鉄心など、挙げればきりがありません。これは、撹拌する物質の種類や強度によって最適な撹拌棒が違うためです。たとえば、モルタルやコーキングといった粘度の高い物質をかきませて均質化をはかる場合は、鉄心やステンレスなどの金属の撹拌棒が必要でしょう。
また、温度変化に弱い物質を撹拌するには、ガラスのような素材が最適です。このように、使う場所や素材によって撹拌棒を選びましょう。
2-3.機械の大きさ
撹拌機は持ち運びができる小型のものと、据え置きタイプの大型のものがあります。小型のものは持ち運びが可能な分、大量の物質を均一に混ぜるにはコツが必要です。ですから、少量のものを手早く混ぜ合わせたいというときに、小型の撹拌機を使いましょう。
一方、大型撹拌機は、大量の物質同士を一度に混ぜ合わすことが可能です。工場などで使われている撹拌機は据え置きタイプの大型のものが多いでしょう。量をこなせる反面、繊細な混ぜ方は苦手なので、化学薬品や医薬品を作っている工場などでは、わざと小型の撹拌機を何台も使って細かい作業をしているケースもあります。
2-4.撹拌機の動力計算とは?
撹拌機には、それぞれ出せる力が違います。動力が大きいほど撹拌する力は強くなるため、たとえば鉱石のような硬い物質でも簡単に混ぜ合わせることが可能です。ただし、少しややこしいですが、撹拌機の撹拌動力はモーターの出力とイコールではありません。
羽や撹拌棒の種類、さらに羽の形によっても撹拌動力が変わってきます。これを出す計算式もありますが、あらかじめメーカーが測定して説明書に記載している製品もあるのです。ですから、撹拌動力も考えながら撹拌機を選ぶことも大切でしょう。
3.各業界における撹拌機の使われ方
この項では、いろいろな職場で撹拌機がどのように使われているのか、具体的にご紹介しましょう。
知っていると撹拌機ができることがより深く理解できるでしょう。
3-1.食品業界
食品業界での撹拌機の使われ方は、ご家庭とほぼ同じです。食材同士を混ぜ合わることで、異なる味、食感を作りだします。また、ご家庭では手でこねることの多いパンやうどん、そばなどの麺類、さらにギョウザなどの皮も撹拌機で作られるのです。
3-2.化学薬品や化粧品業界
化学薬品や化粧品は、複数の物質を混ぜ合わせて製品を作ることが一般的です。単なる撹拌機も使われますが、より機能をプラスしたホモジナイザーが使われることも多いでしょう。
また、固体と液体など、異なる形状の物質同士を混ぜ合わせることも珍しくありません。そのため、食品業界よりもより繊細で精密な動きができる撹拌機に需要があります。
3-3.医学業界
医学の世界でも、撹拌機は大活躍しています。たとえば、血液の凝固防止。血液は人体から離れるとそのまま固まってしまいます。しかし、撹拌し続ければ凝固を防いだり、逆に成分を分離したりできるのです。そのため、用途に合わせて複数の撹拌機が使われます。
4.撹拌機を導入する際のポイント
この項では、撹拌機を購入したり買い替えたりする際に、注意するべきポイントをご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
4-1.メーカーを選定する方法
撹拌機はいろいろなメーカーから発売されています。インターネットを少し検索するだけで、たくさんのメーカーがヒットするでしょう。ですから、「どこで使うか」ということを考えて、メーカーを選んでください。メーカーも、ターゲットとする業界を絞って製品を作っています。そのため、まずは撹拌機を必要としている職種向けの製品を作っているメーカーを絞るところから始めましょう。
4-2.アフターケアやメンテナンスについて
撹拌機の構造や原理は決して複雑ではありません。しかし、化粧品や医薬品などを作るための撹拌機や、医療品としての撹拌機は精密機器扱いとなり、定期的なメンテナンスが必要になります。どのメーカーも一定のアフターフォローがありますが、精密な動きをする撹拌機が必要な職種ほど手厚いメーカーを選びましょう。
また、保証期間が長かったり一定のかけ金をかけることで、保証期間が延びる仕組みになっていたりする製品もあります。
4-3.省エネ対策について
撹拌機は、電気を動力源として動かします。ですから、新しい製品ほど省エネタイプになっているでしょう。撹拌機は単純なものほど長持ちします。中には20年以上持つものもあるでしょう。しかし、省エネという点から見るとある程度年数がたったものは買い替えた方が得なこともあります。
5.撹拌機の中古市場
工場で使われる機器は、高価な分中古市場も活発です。撹拌機も状態がよいものであれば中古として引き取ってもらえるでしょう。前述したように、撹拌機は長期間使い続けることができる機器です。ですから、工場によっては「古くてもこれでないと」という機器があることもあるでしょう。そんな機器が不調になると、メーカーでは直せないということもあります。そんなときも中古市場は便利です。
また、高価な撹拌機も中古ですと手が出やすいというケースも少なくありません。ですから、新品と同じように中古市場にも目を向けてみましょう。
6.撹拌機についてよくある質問
Q.撹拌機はどこで購入できるの?
A.工場向け機器を扱っているメーカー、小型の撹拌機ならばホームセンターでも売っているでしょう。また、撹拌棒はインターネット通販でも購入できます。
Q.撹拌機であればどんな物質でも混ぜ合わせられる?
A.羽と撹拌棒によります。固体同士を混ぜ合わせる場合はそれなりの強度が必要です。
Q.撹拌機の寿命はどのくらい?
A.使い方によります。10年以上持つものもありますが、モーターがダメになれば寿命を迎えるものが多いでしょう。
Q.買い替えと修理、どっちがお得?
A.撹拌機の値段は商品によって幅があります。ですから、高価な品物ほど修理ができないかどうか打診してみましょう。安価なものは買い替えた方がお得というケースも少なくありません。
Q.撹拌機を長持ちさせる方法は?
A.撹拌機を使ったら、物質がこびりついたままにしないように清掃をきちんと行いましょう。また、羽と撹拌棒の強度をよく確かめて、硬すぎるものなどを無理に混ぜ合わせないようにしてください。
まとめ
今回は撹拌機の原理や構造、さらに使われている業界や選び方についてご紹介しました。工場によっては、新しい機器を購入するまで悩むことも多いでしょう。しかし、撹拌機の調子が悪ければ製品の品質にも影響が出ます。決断すべきときは迷わずに購入してください。その方が作業効率なども上がりますし、品質も向上する可能性が高いでしょう。