食品工場の清掃方法とは?どのような点に注意して行うべき?
食品工場で、製造と同じくらい大切なのが清掃です。
清掃をおろそかにすれば、製品に不備が出るばかりでなく、食中毒などの問題も発生しやすくなるでしょう。
そこで、今回は工場の清掃方法やその重要性、注意点などをご紹介します。
清掃は、ただ見えている箇所をほうきではいたりぞうきんで拭いたりすればよいというわけではありません。
掃除をしやすい職場作りからする必要があります。
食品工場に勤務している方や工場管理者の方は、ぜひこの記事を読んでみてください。
- なぜ、清掃が大切なのか?
- 掃除を効率的に行う方法
- 業者に頼んだ方がよい掃除とは?
- おわりに
1.なぜ、清掃が大切なのか?
食品工場に限らず、工場を安全に衛生的に稼働させていくためには、清掃は欠かせないでしょう。
この清掃とは単にほうきやちりとりでゴミを集めたり、ぞうきんで拭き掃除をしたりすることだけではありません。
職場の管理の基盤として5S活動というものがあります。
「清掃」「清潔」「整理」「整頓」「しつけ」の頭文字がすべてSなことから名づけられました。
食品工場の清掃とは、この5S活動と同じです。
整理整頓ができていなければ、清掃が行き届きません。
清掃が行き届かなくては、清潔さをたもてないでしょう。
そして、整理整頓をするには、従業員の教育(しつけ)が必要です。
また、清掃は単に工場を清潔にたもつことだけが目的ではありません。
食品工場は、皆様が思っている以上に危険なものがたくさんあります。
たとえば、食品を切る包丁やカッターや熱湯。
さらに食用油なども扱い方を間違えれば危険です。
これらが乱雑に放置されていればどうなるでしょうか?
従業員がケガをするリスクも高くなります。
また、食品の管理が悪いと繁殖するのは病原菌やウィルスだけではありません。
ゴキブリに代表される害虫や害獣も繁殖します。
害虫や害獣は自分で動き回れる分、食品に混入するリスクはより高くなるでしょう。
どんなに高気密な工場でも害虫や害獣の侵入を完全には防げません。
ですから、掃除をおろそかにすると目に見える場所以外は汚れ放題になり、労働災害や食品への異物混入、さらに食中毒の発生のリスクまで高まるでしょう。
2.掃除を効率的に行う方法
食品工場での掃除の大切さは、前項でお分かりいただけたと思います。
しかし、工場の掃除ばかりに時間をかけるわけにはいかないでしょう。
そこで、この項では効率よく掃除を行う方法をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
2-1.ものの置き場所を決める
掃除の基本は整理整頓です。ですから、職場で整理整頓の基準を統一しましょう。
難しいことはありません。ものの置き場所を決めるだけでよいのです。
どこに何を置くのかさえ決めておけば、使った後はそこへ戻すだけで整理整頓が完了します。
2-2.掃除用具は作業場ごとにそろえる
掃除をするには、掃除用具が必要です。
しかし、すべての場所を同じ掃除用具で掃除をしてはいけません。
たとえば、作業台と床では掃除用具を分けなければかえって汚れを広げてしまうでしょう。
そのため、掃除用具は作業場ごとにそろえましょう。
また、間違えないように区別しやすくしておくことが大切です。
たとえば、バケツやぞうきんの色を変えたり、洗剤を色違いの容器に入れておいたりすれば、間違えることはないでしょう。
2-3.掃除の手順はマニュアル化する
掃除の手順はマニュアル化しましょう。
どこをどのように掃除するのかを従業員全員が知っていれば、掃除を効率的に進められます。
また、掃除は一斉に行うようにするとよいでしょう。
どうしても行えないという場合は、作業場ごとに行うようにします。
ひとりでは時間のかかる場所も、皆で一斉に行えば早く終わるでしょう。
2-4.すぐに手に取れる場所に掃除用具を置いておく
更衣室から作業場に入るときや、トイレから作業場に帰ってきたときなどは、衣服にほこりや髪の毛が付着している可能性があります。
ですから、手洗いと同じように衣服のゴミやほこりを取りましょう。
このとき、すぐ手に取れるところに掃除道具を置いておけば忘れません。
掃除用具の置き場所も工夫しましょう。
2-5.消毒やゴミ捨ても忘れずに
掃除だけでなく、器具や調理道具の消毒も大切。
専用の洗剤を使う方法もありますが、最も手っ取り早いのは熱湯を使うことです。
熱湯を調理器具かけたり排水口に流したりすれば、それだけで病原菌やウィルスは死滅するでしょう。
食品会社の場合は、お湯を使う機会も多いと思います。
そこで、調理に使ったお湯を掃除に再利用できるようにすれば、経費削減にもつながるでしょう。
また、ゴミ捨ても忘れてはいけません。
特に、排水口や機械に生ゴミが残っていれば、そこに害虫や害獣がたかる可能性もあります。
ですから、掃除の仕上げに排水口と機械などのチェックを行いましょう。
また、ゴミ箱にゴミを捨てても安心はできません。
害虫や害獣がたからないようにふたがしっかりしまっているかも確認してください。
3.業者に頼んだ方がよい掃除とは?
食品工場では、業者に掃除を依頼するところも少なくありません。
しかし、すべての掃除を依頼していれば費用もかかるでしょう。
そこで、最後に業者に頼んだ方がよい掃除内容をご紹介します。
3-1.機械内部の洗浄
現在の食品工場は、機械を使って製品を作っているところが多いでしょう。
機械の入り口などは清掃ができても、内部までは洗浄が難しいものも少なくありません。
そこで、機械内部の洗浄は業者やメーカーに依頼しましょう。
定期的にアフターケアとして洗浄を行ってくれるメーカーもあります。
3-2.排水口内部の掃除
排水口の内部は、なかなか素人では掃除ができません。
食品工場では、細かい食べ物のかすや油などを流してしまうことも多いでしょう。
年月がたつにつれて、それらで排水口がつまる可能性もあります。
ですから、排水口内部の清掃を定期的に依頼しましょう。
悪臭防止にもなります。
3-3.害虫や害獣の駆除
害虫や害獣が一度発生してしまうと、完全な駆除はなかなか難しいのです。
わなをしかけてもかかるのはごく一部でしょう。
ですから、害虫や害獣が多量に発生した場合は、専門の業者に駆除を依頼してください。
工場が複数並んでいる地域ですと、一か所で害虫や害獣が発生すると、近隣の工場すべてに被害が広がるケースもあります。
ですから、場合によっては複数の工場が協力して駆除を依頼してもよいでしょう。
4.おわりに
いかがでしたか?
今回は食品工場の清掃の仕方についてご紹介しました。
一口に食品工場といっても、作っている食品はさまざまです。
ですから、工場によっても掃除の仕方は違うでしょう。
たとえば、水をたくさん使う工場の場合は、床がそれほど汚れないところもあります。
逆に、油を多量に使う工場の場合は毎日床掃除をしないと油でベタベタになるというところもあるでしょう。
ですから、工場によって掃除に力を入れる場所は違います。
今は、インターネットを検索すればいろいろな掃除のマニュアルも見つかるでしょう。
それらをそのまま利用するのではなく、工場に合った形にアレンジして使ってください。
また、掃除が終わったらきちんとチェックする体制も作りましょう。
そうすれば、掃除をし忘れたりすることもありません。
また、意外と忘れがちなトイレですが、これは従業員全員が利用する場所なので、工場と同じくらい丁寧に掃除をしてください。