原料を乳化・均質化するための高圧分散装置を導入しよう!

安定した製品生産のためには“原料の均質化”は重要な工程です。この原料の均質か“分散装置”によっておこなわれます。ホモジナイザーとも呼ばれる分散装置は、特に液体の乳化・均質化には欠かせない設備です。分散装置の特徴と導入の方法などについてご紹介します。

  1. 分散装置とは?
  2. 分散装置が使われる現場は?
  3. ホモジナイザー導入の手引き

1.分散装置とは?

1-1.分散装置には、どのような種類がある?

分散装置は分散・均質するための原料によって分散させる方法が異なります。原料や目的別の分散・均質化の方法についてご紹介しましょう。

攪拌装置

比較的に大きく精度の必要ない原料であれば、プロペラ・パドル・タービンを搭載した攪拌装置で原料の均質化をします。攪拌装置は固体を中心に混ぜる(攪拌)加工に適しており、高い精度が必要となる液体の分散・乳化をおこなうことできません。攪拌装置には原料を粉砕するための機能を持つものがあり、その場合には“粉砕攪拌装置”と呼ばれることもあります。厳密にいえば攪拌機分散・乳化のための機能を持たないのですが、分散・乳化の前の段階に使用されることの多い装置です。

超音波分散装置

音波を使用して分散・乳化させるというのが超音波分散措置です。液体の殺菌やナノレベルでの細胞粉砕が可能などの特徴があります。

圧力式分散装置

ホモジナイザーやコロイドミルと呼ばれる高圧力を使用して分散・乳化処理をおこなう機器です。圧力式のホモジナイザーとコロイドミルは基本的に同様の構造をしていますが、分散を目的とする場合にホモジナイザー、粉砕を目的とした場合にはコロイドミルと呼びます。圧力式分散装置は、他の分散装置に比べて処理量が多く、毎時12,000リットルの生産ができるため大規模工場でも利用されています。

1-2.圧力式分散装置はどのような原理で分散する?

圧力式分散装置がどのような原理で原料を分散するのかをご紹介しましょう。

圧力を使用した、分散・粉砕

圧力式分散装置はその名前が示しているとおり“圧力”を利用した装置です。圧力をかけ小さな穴の開いた“ホモバルブ”を通すことで原料が粉砕・均質化・微粒化されます。原料は最大で70Mpa程度の圧力を加えて製品を加工します。圧力式分散装置には圧力を加えるためのポンプが内蔵されており、別途で圧力装置を導入する必要はありません。

1-3.圧力式分散装置の種類

圧力式分散装置の種類についてご紹介しましょう。

凡庸分散装置

凡庸的分散装置は基本となるユニットです。工場への設備導入は凡庸的な分散装置を基本手して最適なものを導入します。装置のサイズによって処理量も異なるので、導入する工場に合わせて最適な装置を選びましょう。

ラボスケール分散装置

製品テストや試作品の作成などで材料の分散・粉砕が必要な際に便利な小規模な研究用の分散装置です。ラボスケールの圧力式分散装置は、原料の流量が少ないのですが卓上型で省スペースという特徴があります。

アセプティック分散装置

原料をアセプティック(無菌状態)で生産するための分散装置です。スチームによる雑菌の防止と、滅菌水によるクリーニング機能など安全で衛生的な環境で分散・粉砕などの加工をおこなうことができます。

1-4.安定的な商品の生産

分散装置の中でも圧力式分散装置は処理能力が高く、大きいものでは毎時15,000リットルの処理能力を持つものもあります。大規模プラントや生産数の多い工場でも安定した加工をおこなえると点が圧力式分散装置のメリットといえるでしょう。また、原料に圧力をかけホモバルブに通過させるだけの仕組みであることから、少量生産から大量生産まで生産量に影響されず安定した粉砕や均質化が可能という利点があります。圧力式分散装置は、小規模から大規模まで非常に広く利用可能な分散装置なのです。

分散装置には複数の種類があるんですね。
はい。それぞれ分散に適した素材や量が異なります。

2.分散装置が使われる現場は?

2-1.牛乳の均質化(ホモジナイズド)

分散装置が最も身近に使用されている食品が“牛乳”です。生乳(加工されていない牛乳)には脂肪分などの成分の偏りがあり、完全に乳化されたものではありません。牛乳からバターを作ろうとした経験がある方なら分かると思いますが、分散装置によって均質化(ホモジナイズド)された牛乳ではバターを作ることができないのは、加工によって牛乳が均質化されているためです。

牛乳の均質化は“成分の分離”を防ぐためにおこないます。均質化されていない牛乳では、しばらくすると成分の浮遊や沈殿してしまい品質が保てません。一般的な牛乳には分散装置によって均質化されています。牛乳以外にも清涼飲料水の多くは、分散装置で均質化されたものがほとんどです。

2-2.インクや塗料の分散

インクは液体に金属などの粉末を混ぜ合わせることで作られます。インクのなかで液体と金属が分離しないというのは、分散装置によって均質化されているためです。

2-3.品質の維持に分散装置は不可欠!

分散装置は、通常は混ざり難い“油と液体”“金属と液体”などを混ぜることが可能です。通常は液体の乳化というと“界面活性剤”などを使用するイメージがありますが、分散装置では界面活性剤などの乳化剤を使用することなく、液体の乳化ができます。分散装置は製品の安全性と品質の維持には欠かせない工場設備といえるでしょう。

分散装置が使われるところはたくさんあるんですね。
はい。食品だけではありません。

3.分散装置導入の手引き

3-1.専門メーカーの分散装置を導入しよう

分散装置は工場の重要な設備であることから、しっかりと選びましょう。ホモジナイザー専門メーカーであれば導入のためのノウハウを持っており、工場にあわせたプランニングやアドバイスを受けた上で適切な装置の導入ができます。

3-2.耐久性とメンテナンス性

分散装置を導入には耐久性とメンテナンス性が重要です。圧力式分散装置はパーツ数も比較的に少なくメンテナンス性が高いという特徴があります。分解洗浄などのサニタリー性も高く、衛生的な環境で生産を続けることができます。

分散装置を導入するには、メーカーに相談するのが一番なんですね。
はい。疑問に思っていることは何でも聞いてください。

まとめ

安定した製品の生産には欠かせない分散装置ですが、分散の方法によって機能は大きく異なります。分散装置の種類ごとの特徴についてまとめてみましょう。

  • 攪拌装置:ナノレベル材料の分散・乳化は難しい
  • 超音波式分散装置:分散・乳化能力は高いが処理能力が低い
  • 圧力式分散装置:小規模から大規模まで対応し品質が安定している

分散方法によって良し悪しがある訳ではありません。精度の必要ない生産ラインでは攪拌装置で十分であり、精度の必要な生産ラインでは超音波、圧力式を導入する必要があります。

また、生産の少ない工場ラインであれば超音波式でも問題ありませんが、生産の多い工場では大規模生産に対応している圧力式分散装置が有利といえるでしょう。このように工場の生産ラインに合わせた装置を適切に選ぶことが大切なのです。

最後に、分散装置の導入のためのポイントについてまとめてみましょう。

  • 知識の豊富な高圧式分散装置専門メーカーから導入する
  • 分散装置は耐久性とメンテナンス性で選ぶ

導入後には長期間使用することになる分散装置は、メンテナンス性やサポート体制などを考えて選ぶように心掛けましょう。