顔料の種類・用途について知りたい! 顔料の基礎知識

顔料水に溶ける染料ではなく、水や油にまったく溶けない色を持っている粉のことを「顔料」と言います。
顔料は基本的に印刷インキや絵具として使われますが、顔料でも含まれる成分によってさまざまな種類があるのを知っているでしょうか。
顔料とはどのようなものか、無機顔料や天然顔料といった顔料の種類・化粧品に使われていたなど、さまざまな視点から見ていきたいと思います。
顔料について気になっている人はぜひチェックしてください。

  1. 顔料の種類について
  2. どのようなときに使うの?
  3. 顔料分散とは?

1.顔料の種類について

顔料とは、そのものが色をもっている粉のことであり、塗料の色づけには欠かせないものとなっています。

着色顔料・体質顔料・機能性顔料の3種類に分けられ、また、有機顔料・無機顔料にも分類されます。

1-1.無機顔料とは?

無機顔料は「鉱物顔料」とも言われています。無機顔料に分類される種類は少ないですが、色調はとても落ち着いた色をしており、価格が非常に安い特徴がみられます。

また、耐候性・耐薬品性に優れている顔料ともいえ、有機顔料と比べてみると隠ぺい力が非常に高いので目的によっては重宝される顔料ではないのでしょうか。
無機顔料には鉱物や貝殻を混ぜ合わせた「体質顔料」や金属を原料とした「機能性顔料」が含まれています。

  • 着色顔料・・・チタン(白)、クロムバーミリオン(朱)、黄鉛(黄)、酸化鉄(赤)
  • 体質顔料・・・炭酸カルシウム、バライト粉
  • 機能性顔料・・・アルミニウム粉、硫化亜鉛

以上が主な無機顔料です。無機顔料を使おうかなと考えている人はぜひ参考にしてください。

1-2.有機顔料とは?

一方、無機顔料の真逆である「有機顔料」はどのような顔料になるのでしょうか。有機顔料を簡単に説明すると、石油から構成される合成顔料です。無機顔料とは違い、100種類以上にもおよぶ種類が存在しており、色鮮やかでさまざまな色彩を生み出す特徴があります。しかし、耐候性・隠ぺい力が低い、価格が高いデメリットもあるので注意してくださいね。

有機顔料は主に、色を形成するための着色顔料として使われることが多く、パーマネントレッド(赤)、フタロシアニングリーン(緑)、ファーストイエロー(黄)とハッキリとした色が多いです。着色顔料の中には、金属を用いた粉のみ無機顔料に分類されます。

1-3.その他の顔料

ほかにもさまざまな顔料の種類があるので紹介します。金属をサビから守るための「防錆顔料」は、鉛・クロム・亜鉛・リン酸など多彩な金属が混ざっていますが、この中でもサビ対策として効果的なのは鉛系だと言われています。

磁気テープ・テレホンカードに使用される顔料として知られている「光学特性の顔料」もあります。メタリック系・パール系・磁性酸化鉄・ニッケル粉・銅粉などが使用されているようですね。

このように、どのような成分が含まれているのかによって顔料の特性が変わってきます。使用するときは目的に沿った成分が含まれている顔料を使うのがポイントです。

顔料には複数の種類があるんですね。
はい。含まれている素材によって分類され、それぞれに適した種類があります。

2.どのようなときに使うの?

2-1.色をつけるときに便利!

昔から顔料は着色剤として使われてきました。着色料とも呼びますが、食品や医薬品、口紅といった化粧品にも使われているのです。

顔料の歴史をチェックしてみると、黄土・酸化鉄のような天然顔料を使用して洞くつに絵を描いたり、芸術作品や装飾品を作るときに使用されたと言われています。初期は天然素材を利用した天然顔料が一般的でしたが、産業革命や科学革命によって「合成顔料」が発達してきました。

鉛や鉄鉱石を混ざったものであり、織物や塗料として使われていたそうです。歴史とともに塗料が発展し、さまざまなものに使われるようになりました。

顔料の歴史を知っておくととても面白いですよね。こういう風に使っていたんだ…と感動させられますし、いろいろなものに使えるということが顔料の歴史を知ることでわかります。

2-2.種類によって使用用途が変わる

1の項目で顔料の種類について説明しましたが、種類によって含まれる成分も特徴も違います。それぞれの特徴によって使用用途も変わってくるでしょう。

例えば、耐候性・隠ぺい力に優れている無機顔料は印刷インキ、塗料、プラスチックやゴムに色をつけるときに最適です。また、黒の文字を印刷するときに顔料インクは最適になるのではないのでしょうか。

顔料インクは粒子が大きいため、ハッキリと黒い文字を紙に浮かび上がらせられるのです。自宅にあるプリンターを使って印刷をする際、顔料インクが良いのか、それとも染料インクを使うべきなのか、どのような印刷物をつくりたいのかによって適切なものが選べるでしょう。

2-3.化粧品で使われている顔料

さまざまな顔料が化粧品に使われています。例えば、チタン鉄鉱を使用している化粧品にはおしろいやファンデーション、口紅といったメイクアップ用品が挙げられます。

タルク、カオリン、マイカ、炭酸マグネシウムのような体質顔料はメイクの仕上げに欠かせないフェイスパウダーによく含まれています。体質顔料は光沢感を出し、付着性も非常に高い特性をもっているため、化粧品に上手に生かされていることがわかるでしょう。

絵の具やインクとして使われるイメージが強い顔料ですが、化粧品にも多く含まれていることを知っておいてくださいね。

顔料は化粧品だけでなく、一般的な塗料のようにも使われるんですね。
はい。顔料の用途は幅広くあります。

3.顔料分散とは?

“顔料分散”という言葉を聞いたことはありますか? 簡単に説明すると、集まっている粒子をいったんバラバラにし、再び固まってしまわないようにすることです。粒子を分散させることでよりキレイに発色できると言われています。

顔料分散は加工しやすくするため、塗料やインク用品だけでなく、筆記用具、電子材料、車、家電製品など私たちの生活には欠かせない製品にもよく用いられている技術です。

顔料の特徴は、粒子が小さくなればなるほどかたまってしまいやすくなるため、微粒子の顔料は顔料分散をしなければなりません。実際に顔料分散をおこなった例としては、チョコレートのカカオ粉末を製品に均一に混ざるため、顔料分散を行い、よりなめらかな舌触りにします。

また、機械的作用を与えることでより均一にするための機械“ホモジナイザー”を使うこともあります。

顔料分散をすると、質の良い商品ができるんですね。
はい。そのため、作成の過程では必ずホモジナイザーを用いて行います。

まとめ

顔料の種類や特徴・使用用途・顔料分散についてみてきましたがいかがでしたでしょうか。

顔料を使用するがどれを選べば良いのか悩んでいる人にとって少しでもご理解いただけたのならうれしいです。昔から使用されてきたものであり、今私たちが普通に使っているものにもさまざまな顔料が使われています。

どのような顔料を使うのかによって仕上がりも変わってくるのでぜひチェックしてくださいね。

  • 無機顔料は耐候性・耐薬品性が優れている
  • 有機顔料は100種類以上もあり色鮮やか
  • 光学特性の顔料や防錆顔料もある
  • 天然顔料は昔から芸術作品に用いられてきた
  • 合成顔料が登場し染料に使われるようになる
  • 化粧品にもさまざまな顔料が使用されている
  • より発光を良くするために“顔料拡散”は大切

以上の7点についてしっかり把握し、顔料の種類によってどのような特性があるのか知っておけば自分の目的用途にあった顔料を選べるでしょう。

正しい知識と情報を持っておかなければ顔料選びで失敗してしまう恐れがあるので注意してくださいね。いろいろな顔料を知っておくといざというときに役立ちますし、顔料で悩んでいる人がいればアドバイスもできるのでぜひ身につけておいてください。