顔料の発色や定着力を作用する分散とは? 分散機の種類と共に解説


顔料とは、素材の表面に定着して発色するタイプの染料です。私たちの身近には、顔料を使った製品がたくさんあります。顔料は粉末の状態で保管されており、使用する際は水性や油性の液体に溶かす必要があるのです。この際、大切なのが分散という工程になります。分散がうまくいかないと発色もきれいに行えません。

そこで、今回は顔料を分散する方法や、分散機について解説しましょう。

  1. 顔料ってどんなもの?
  2. 顔料の分散とは?
  3. 分散機について
  4. 分散装置や分散機の導入方法について
  5. 分散機や顔料に対するよくある質問

この記事を読めば、顔料を分散させる方法だけでなく、分散機の種類についてもよく分かりますよ。顔料をよく使う方や分散機の導入を考えている方はぜひ読んでみてくださいね。

1.顔料ってどんなもの?

顔料とは、前述したように素材の表面に定着して色をつける色材(しきざい)です。色材には他に染料がありますが、染料は素材に染みこんで色を素材に定着させます。そのため、染料で着色した素材は、元の色に戻ることはほぼありません。
一方顔料は、水や専用の除去剤を使えば落ちます。化粧品や水性マジック、落すことができる塗料などは、すべて顔料に分類されるのです。

顔料の歴史は長く、紀元前までさかのぼれます。1万年以上前に描かれた洞窟壁画も着色に使われているのは顔料です。顔料は大きく分けて、石油が原料の有機顔料と鉱物や土などを原料とした無機顔料があります。無機顔料は原材料に高価なものが多く、一部には毒性があるものも使用されているので、現在私たちの身の回りで使われている顔料はほとんどが有機顔料です。

前述したように、顔料は粉末状で保管されており、使用するときには油性や水性の液体に溶かして使います。化粧品・印刷用のインク・絵具・医薬品とその用途はさまざまです。

2.顔料の分散とは?

この項では、顔料の分散について解説します。なぜ、分散が必要なのでしょうか?

2-1.分散とは?

分散とは、粉体ができるだけ均一の粒子となって液体や気体中に均一、もしくは構造を形成して分布することです。もう少し具体的に説明をしましょう。固まっている粉状の物質が空中に舞い上がると、バラバラになって粒子の一つ一つがはっきりと見えるようになります。これが分散です。顔料を無色透明な液体に入れると色がつきます。これは顔料の粒子が分散しているためです。

2-2.分散を均一に行う重要性

自然に任せて分散を行うと、粒子が均一に気体や液体内に散らばることはほぼありません。絵具を例にして説明すると、分散が均一に行われていない状態ですと、色むらが生まれます。この色むらを利用することもありますが、顔料が均一に分散していれば色が均一になるばかりでなく、透明性や光沢がアップして着色力もあがるのです。

また、複数の顔料を混ぜ合わせる場合、均一に顔料の粒子が分散しているほど、発色が美しくなるでしょう。インクジェットプリンターはこの原理を使っています。インクジェットプリンターでカラー印刷を行う場合、6色から8色のインクを混ぜ合わせて無限の色を作りだすのです。この時に、インク同士を混ぜ合わせて均一に分散させることにより、鮮やかな色を作りだします。

2-3.溶解や乳化との違い

溶解とは、水溶性の物質が完全に水に溶けて一体化することです。水に溶けることのできる物質の量には限りがあり、この量を溶解度といいます。

乳化とは、本来は混じり合わないはずの油性と水性の液体を混じり合わせることです。油脂と水性の液体が分離しているドレッシングをよく振ると、混じり合って粘度がでます。これが、乳化です。乳化したものをそのままにしておくと再び分離してしまいますが、乳化剤を入れると乳化した状態で安定します。私たちの身近にあるものでは、水と油を乳化させたものに卵という乳化剤を加えたマヨネーズが有名です。

分散は、粒子が溶解していない状態で液体や気体の中に分散している状態になります。攪拌(かくはん)すると粒子は液体や気体の中に分散しますが、放っておくと粒子と液体に分離するでしょう。粒子を液体や気体の中に定着させたい場合は、安定剤というものを使用します。

3.分散機について

この項では、液体や気体の中に、より均一に固体を分散化させることができる分散機について解説します。どのような機械なのでしょうか?

3-1.分散機とはどんなもの?

分散機とは、文字どおり粒子を気体や液体の中に均一に分散させるための機械です。最も簡易的な分散機としては、泡だて器があります。液体中に粒子を分散させるには、攪拌(かき混ぜること)が一番です。スプーンや箸・手を使っても攪拌は行えますが、専用の器具を使ったほうが、より均一に分散できるでしょう。

泡だて器の原理を応用した分散機が、「高速回転せん断型攪拌機」です。これは、モーターの力を利用して粒子を細かく均一に液体中に分散させる装置で、電動泡だて器をより強力にしたものといえば、理解しやすいでしょう。据え置き型のものからハンドタイプのものまで、いろいろな種類が販売されています。

3-2.分散機の種類について

分散機は、前項でご紹介した「高速回転せん断型攪拌機」の他、液体の中に粒子を分散させる「液中分散機」、気体の中に粒子を分散させる「気中分散機」などがあります。また、くっつきやすい性質を持っている粒子用に、超音波を利用した分散機を使用し、粒子をバラバラにさせる分散機など、その種類は豊富です。また、粒子が分散した液体に高い圧力をかけてバルブに通し、粒子をバラバラにする「高圧ホモジナイザー」も分散機の一種と言えます。

3-3.分散機と顔料について

前述したように、顔料は気体中や液中に均一に分散させることにより、本来の性質を存分に発揮することができます。ですから、インクや化粧品・医薬品など顔料を使って製品を作る会社では、たいてい導入されているでしょう。インクジェットプリンターの中にも、分散機のシステムを応用した部品が入っています。

4.分散装置や分散機の導入方法について

分散装置や分散機は、ホモジナイザーを製造・販売をしている会社などが取り扱っています。メーカーによって、扱っているラインナップが異なりますので、複数のメーカーから資料を取り寄せるとよいでしょう。現在はホームページを開設している企業も多いので、そこから資料を請求することもできます。また、産業展示会のような場所に参加すると、実際に分散機のデモンストレーションを見ることもできるでしょう。

分散装置や分散機は、年々進歩しています。同じメーカーの製品でも、10年以上たてば機能が一新してより高性能になっているでしょう。ですから、製造から15年以上たった分散機は買い替えるのも一つの方法です。中古市場も形成されていますので、古い分散機を売却し、新しいものを購入する資金にしてもよいでしょう。

メーカーは、値段もさることながらアフターフォローが充実しているところがおすすめです。据え置き型分散装置は高価な機械ですし、製造工程の重要な部分を担うことも多いでしょう。不具合が起きた時にすぐに対処してくれるメーカーですと、長年にわたって同じ機械を使い続けることができます。

三丸機械工業は、高機能な分散が可能な高圧ホモジナイザーを専門に扱っているため、クライアントの求めに応じてさまざまな導入プランの提案が可能です。また、導入に当たっては各種テストも行えますので、クライアントが納得の上、製品を導入していただくことができます。

5.分散機や顔料に対するよくある質問

Q.顔料を水で溶いて絵の具のように使う場合でも、分散機が必要ですか?
A.そのような使い方をする場合は、指や筆による分散で十分でしょう。

Q.分散機は顔料を分散する以外に、使い道はありますか?
A.医薬品を調剤したり、食品を混ぜ合わせたりするのにも活躍するでしょう。

Q.顔料というからには、顔に塗っても問題ないのですか?
A.ボディペイント用の顔料や化粧品ならば問題ありません。しかし、無機顔料の中には前述したように毒性を持つものもありますので、むやみに肌につけないようにしましょう。

Q.分散機の寿命は何年ぐらいですか?
A.メーカーや使い方によって異なりますが、10~20年くらいが一般的でしょう。

Q.分散機を製造ラインの一部に組み込むことはできますか?
A.もちろん可能ですので、詳しいことは業者と相談しましょう。

6.おわりに

いかがでしたか? 今回は、顔料や分散機について解説しました。一般的にはあまりなじみのない機械ですが、私たちは分散機を使って作られた化粧品や医薬品などを盛んに利用しています。また、分散機の買い替えや導入を検討している場合は、複数の業者から見積もりを作成などしてもらってから選びましょう。業種によって必要としている機能も異なります。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加