食品や化粧品にも使われる乳化とは?乳化の原理や乳化装置について


わたしたちが生活で消費するものには、乳化が用いられているのをご存じですか?乳化は、生活用品・食品・化粧品など、幅広いものに応用され、製品を安定した状態で供給するのに必要な現象となっています。
どんなものに使われている?原理について知りたい。身近なものだとわかれば、いろいろ疑問が出てくる気持ち、とてもよくわかります。
一見難しいように感じる言葉でも、原理や乳化に使われる機械などを理解したら、さほど遠い存在ではないことがわかるでしょう。今回は、乳化についてご紹介します。

  1. 乳化とは? 
  2. 乳化について
  3. 乳化の機械について
  4. 乳化装置・乳化機でできること
  5. 乳化装置・乳化機の導入ポイント
  6. 乳化や乳化機でよくある質問
  7. まとめ

この記事を読むことで、乳化について深く知ることができます。乳化装置の導入を検討されている方は、どんな製品に仕えるのかを理解でき、参考にすることができるでしょう。

1.乳化とは? 

そもそも乳化とはどんな現象なのか、なぜ乳化が必要なのかをご紹介します。

1-1.乳化の原理

本来、水と油は混ざりません。乳化では、どちらかが微粒子となってもう片方の液体中に分散していることを指します。乳化には2つの種類があり、名前がつけられているのです。

  • O/W乳化(油が水に分散している)
  • W/O乳化(水が油に分散している)

乳化は英語でエマルジョンと呼びます。水と油は放置しておくと分離してしまうでしょう。しかし、界面活性剤や乳化剤で安定した状態にするのです。

1-2.乳化の利用方法

身近な食品でたとえてみましょう。マヨネーズは油と酢が原料です。油と酢を安定した状態に保(たも)つため、卵を乳化剤として使用します。まろやかでクリーム状になるのはこのためです。
家庭で食べるペペロンチーノでも、乳化が必要なのをご存じでしたか?作る際に、乳化というひと手間加えるだけで、ぱさつきを抑える役割をしてくれます。ペペロンチーノは油をベースに炒(いた)めますが、仕上げに加えるのがパスタのゆで汁です。ゆで汁に含まれるでんぷんが乳化剤として作用します。粘性が出て、ペペロンチーノがさらにおいしく仕上がるのです。

1-3.乳化の必要性は? 

乳化は、単純に油と水を結びつけるだけの役割を持っているわけではありません。たくさんのメリットを持っています。

1-3-1.なめらかになる

製品をなめらかで舌触りよく仕上げてくれます。クリーミーな味わいにしたいなら、乳化は必要でしょう。食品にかかわらず、ファンデーションなどの化粧品にも乳化が利用されており、肌との密着感をアップしてくれる作用があるのです。肌ムラをなくし、美しさを際立ちます。

1-3-2.品質の安定

水と油だけでは、品質が安定しません。ところが、乳化剤を使用することで、保存期間が長くなります。マヨネーズ・バターといった食品の長期保存が可能です。
食品に限らず、医薬品などにも乳化は使われています。長期品質を維持するために用いているのです。

2.乳化について

乳化は、英語でエマルジョンです。エマルションとも呼びます。ここではエマルションや乳化剤についてご紹介しましょう。

2-1.エマルジョン(エマルション)とは? 

前述の乳化の原理と同じです。油が水中に、水が油に微粒子となって分散している状態を意味しています。微粒子にするため、高分子にする機械の導入が必要です。高圧ホモジナイザーというものを用います。混ざるはずのない物質同士をうまく取り持ち、安定した状態にするのが乳化剤の役目です。

2-2.ミセルとは? 

ミセルというのも、耳馴染(なじ)みがない言葉ですよね。界面活性剤には親水性と疎水性があります。洗剤は、水などの境界に集まる性質があるのです。界面活性剤には親水性と疎水性がありますから、界面活性剤を加えることで、疎水性を軸にして親水性が取り囲むイメージで、玉状に変化します。玉状になる原理をミセルと呼んでいるのです。

2-4.乳化剤とは? 

混ざることのない物質の間に入り、均等に分散するように働きかけるのが、乳化剤の役目です。原材料表示には乳化剤としていますが、乳化剤にはさまざまな種類があります。界面活性剤は化粧品や洗剤に使われているものです。食品に添加されている乳化剤は、グリセリン脂肪酸エステル・ショ糖脂肪酸エステル・ステアリン酸カルシウムなどが挙げられます。
天然由来の乳化剤では、チョコレートなどの食品に使用されているレシチンです。レシチンは大豆や卵黄から作られています。

3.乳化の機械について

乳化の機械を、ホモジナイザーと呼びます。材料を均等に分散し、安定した品質を維持するための機械です。

3-1.乳化装置や乳化機の原理

乳化装置・乳化機をホモジナイザーと呼びます。ホモジナイズ、つまり均質化という意味にあたる言葉です。ホモジナイザーの用途は、食品・医薬品・化粧品・塗料など多岐に亘(わた)ります。きれいに乳化できるようになり、細かく均一化しやすい機械です。大量のものでも、乳化ができるメリットがあります。攪拌(かくはん)だけでは分子にムラが出てしまいますから、ホモジナイザーでより小さく均一化することが、品質の安定につながるのです。

3-2.乳化機の構造

人の手で混ぜても、相反する物質を分離しないようにしておくことは難しいでしょう。ホモジナイザーは混ぜるだけの機械ではなく、高速回転で行い、効率のいい乳化ができるのです。加えて、分離することなく、沈殿を防ぐことができます。分散して均一にする機械だと覚えておきましょう。

3-3.乳化機の種類

ホモジナイザーにはいくつかの種類があります。

3-3-1.ラボスケールホモジナイザー

試作・テスト・研究を行う際に便利な卓上タイプの乳化機です。オートサンプリングが可能で、操作もシンプルになっています。少量でも液体の分散や粉砕を実現でき、空圧制御で圧力がかけられるタイプです。

3-3-2.アセプティックホモジナイザー

スチームバリヤーで外部からの雑菌をブロックする機能を搭載し、無菌状態で処理できる乳化機です。滅菌処理をしてから均一化し、安定した品質を維持できます。手動で動かすタイプもあり、用途で選んでください。

3-3-3.高圧ホモジナイザー

3〜5連のピストンを用い、高圧力で均質化するホモジナイザーです。エネルギーが集中するため、高精度な処理が実現できます。処理量によって、機械の種類を選ぶといいでしょう。

3-4.攪拌(かくはん)と分散の違いとは? 

攪拌(かくはん)と分散を同じように捉(とら)えている方もいますが、実際にはまったく異なるものです。攪拌(かくはん)はかき混ぜるという意味で、分散の前段階として行う場合もあります。
一方、分散は分子レベルで相反する物質を溶け合うようにするもので、乳化作用が起こるのです。

4.乳化装置・乳化機でできること

分野別に乳化装置・乳化機が行うことをご紹介します。

4-1.食品

乳製品は沈殿しやすく、成分が浮遊してしまいます。ホモジナイザーは、均質化を維持できるのがメリットです。脂肪分の分離も抑えてくれます。油分を抑えて乳化する技術も進歩し、カロリーオフの製品を作ることができるのです。原材料のカットにも役立ち、全体的なコストダウンを実現できます。

4-2.化学

化学分野での用途は、カーボン・チタン・シリカなどの分散、ポリマーや樹脂の均質化、塗料やインクの分散と微細化です。年々、化学製品の小型化や省エネ設計が注目され、微粒子の細分化ニーズが高まっています。金属の粉砕にも使われる高圧ホモジナイザーに対する需要も増加傾向です。

4-3.化粧品

油分や界面活性剤を含有する化粧品では、ナノレベルに乳化して分散することで、肌に浸透しやすくなります。乳液・クリーム・ジェルなど幅広い用途があるのです。W/O乳化はウォータープループ化粧品を作る際にも使われています。

4-4.医薬品

界面活性剤が外用薬の乳化剤です。O/W乳化とW/O乳化のどちらも利用されており、軟膏(なんこう)やクリームを乳化して作っています。ソフトカプセルを製造する際に、乳化して長期保存が可能なように加工されているのです。流動食の微細化など、消化吸収を助けるのも役立っています。

5.乳化装置・乳化機の導入ポイント

ホモジナイザーと呼ばれる乳化装置・乳化機には、さまざまな方式があります。ゆえに、導入を検討するなら、用途に合うものを選ぶようにしてください。

5-1.用途に合うホモジナイザー選び

分野・物質・均質化の度合いなどから判断し、用途に合う適切なホモジナイザーを選びましょう。研究において必要なものであれば、コンパクトサイズのラボスケールホモジナイザーなども導入されています。少量を扱うのに適しており、場所を取らずに洗浄も簡単です。

5-2.省エネ設計

近年は省エネルギーという言葉が注目されています。ホモジナイザーも省エネ設計で、熱をあまり出さないタイプが好ましいでしょう。設備にかかるコストを抑え、利益を出すためには省エネ設計は必要です。稼働時間なども考慮し、省エネタイプを選ぶようにしてください。低騒音もポイントになります。

5-3.業者選びのポイント

製品製造の過程で重要な役割を担うホモジナイザーですから、業者選びも大切です。購入して終わりではなく、定期的なメンテナンスを行う業者を選びましょう。急なトラブルにも柔軟に対応して、深夜にも応じるかを確認してください。機械にトラブルはつきものです。故障で作業が止まっては困りますよね。必ずアフターフォローを受けられる体制を作っておきましょう。

5-4.乳化装置・乳化機導入時の注意点

ホモジナイザーは高価な機械ですから、カタログや手元の資料だけで判断せず、実際に見てから決めるようにしてください。業者の中には、テスト用機械を準備しているところもあります。貸し出してもらえるかを聞いてみましょう。

6.乳化や乳化機でよくある質問

乳化についての疑問はよくある質問を参考にしてください。

6-1.ホモジナイザーとホモミキサーはどう違う? 

名称が似ているので、ホモミキサーと間違える方もいます。2つの違いは、乳化処理ができる物質です。ホモジナイザーは液体を乳化する機械で、ホモミキサーは個体も乳化できる機械になっています。

6-2.界面とは? 

水と油の境界を界面と呼びます。水の中に油を落としたら、油が粒状に見えるはずです。乳化では、水と油を分散して界面をなくします。分離しないように使うのが乳化剤です。

6-3.エマルジョンインクとは? 

ボールペンに使われているO/W乳化のインクです。ゼブラより発売されたもので、水性インクと油性インクが合わさった新しい技術を用いています。

  • ゼブラ(エマルジョンボールペン)http://www.zebra.co.jp/pro/listball_emulsion.html

6-4.エマルジョン燃料とは? 

エマルジョン燃料とは、燃料となる油と水に、乳化剤として界面活性剤を加えたものです。O/W乳化の原理を用いた燃料で、ボイラー用とディーゼル用があります。燃料の大幅削減ができ、二酸化炭素排出を低減する効果があるとされているのです。

6-5.粘度の高いものは扱える? 

高粘度なものに対応しているホモジナイザーを選んでください。ノズル式は粘度の高いものには適していません。故障などトラブルが起こる可能性もありますから、物質に適合するものを選びましょう。

7.まとめ

いかがでしたか?乳化とは、水と油がどちらかに分散して混じり合う状態です。乳化を行うことで製品の安定性が増し、長期保存が可能になることをご理解いただけたかと思います。乳化は手で攪拌(かくはん)するだけではできません。ホモジナイザーと呼ばれる乳化機を導入して、生産効率を上げましょう。導入時に省エネ設計や低騒音を意識し、操業にかかるコストダウンを目指してください。購入を決める前には、テスト機械を貸し出ししてもらって試すといいでしょう。長期間使用することを考え、アフターフォローや定期メンテナンスを実施している業者を選ぶと安心です。


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