牛乳の殺菌方法の違いとはいったい何?成分に変化はあるの?


牛乳は、私たちにとって最も身近な乳製品です。
冷蔵庫に常備しているお宅も多いですし、毎日給食に出ている学校もいるでしょう。
さて、最近は牛乳にもさまざまな種類が出てきました。
そのひとつが、殺菌方法の違いです。
そこで、今回は牛乳に行う殺菌の種類についてご紹介しましょう。
「牛乳もできるだけしぼったそのままのものを飲みたい」という方もいます。
しかし、現在の法律では基本的に殺菌されていない牛乳を販売することは禁止されているのです。
それはいったいなぜでしょうか?
答えはこの記事を読めばわかりますよ。

  1. なぜ、牛乳を殺菌するの?
  2. 牛乳を殺菌する方法とは?
  3. 牛乳の殺菌方法の種類とは?
  4. 無殺菌の牛乳は飲めないの?
  5. 殺菌方法による牛乳の使い分方
  6. おわりに

1.なぜ、牛乳を殺菌するの?

牛乳は、本来母牛が子どもを育てるために体内で作るものです。
ですから、栄養価も豊富な反面、雑菌も繁殖しやすいという特徴があります。
また、牛乳は牧場で搾乳されているのです。
食品工場のように完全無菌状態で製造することはできません。
どれほど気をつけていても、雑菌が混入しやすいのです。
ですから、殺菌をして菌を殺せば安心ですし、より長期間の保存ができます。
牛乳を殺菌する習慣がなかった時代には、牛乳を感染元とした食中毒は決して珍しいことではなかったのです。

2.牛乳を殺菌する方法とは?

食品を殺菌する方法はいろいろありますが、牛乳の殺菌方法は加熱です。
牛乳は子どもから高齢者までいろいろな年代の方が飲みます。
ですから、熱を加えるだけならば成分の変質もなく、安全です。
牛乳は65度以上で熱すると成分が変質します。
ですから、牛乳の殺菌の基本は65度前後の温度で30分以上加熱することです。
しかし、高温でも短時間ならば品質は変化しません。
スーパーなどに並んでいる牛乳の多くは、高温で短時間殺菌したものです。
また、日本人は牛乳を高温で殺菌したときに出る加熱臭を「コク」として好む傾向にあるため、高温で殺菌した牛乳がより多く流通しています。なお、牛乳は加熱温度によって、殺菌方法の名称が違うのです。
次の項で詳しくご説明していきましょう。

3.牛乳の殺菌方法の種類とは?

牛乳の殺菌方法にはいくつかの種類があります。
その違いは、温度。
この項では、牛乳を殺菌する温度による殺菌方法の違いを具体的にご紹介していきましょう。

3-1.低温保持殺菌(LTLT法)

63度~65度の温度で30分かけて牛乳を殺菌する方法です。
もっとも古くから行われてきた殺菌方法で、よりしぼったばかりの牛乳に成分が近くなっているでしょう。
料理マンガで「牛乳本来の味を損ねない本物の殺菌方法」と紹介されて以来、一気に人気が出た殺菌方法でもあります。
しかし、殺菌に時間がかかるため大量生産ができず、高温で殺菌する牛乳に比べて値段が高くなりがちです。

3-2.高温短時間殺菌(HTST法)

現在主流となっている牛乳の殺菌方法です。
72度以上の温度で15秒程度殺菌します。
低温殺菌よりも加熱時間が短いので、ビタミン類が壊れにくいというメリットがあるのです。

3-3.超高温瞬間殺菌(UHT法)

120度~130度の超高温で2秒間だけ殺菌する方法です。
スーパーで売られている牛乳のほとんどが、この方法で殺菌されています。
自然食品ブームが起こったときに、「高温で殺菌した牛乳は栄養が失われている」という意見が広まりました。
しかし、生卵とゆで卵の栄養成分が変化しないのと同じように、高温で熱したからといって栄養価が失われることはありません。
120度もの高温で熱すれば、菌類はほとんど死滅します。
ですから、保管状態さえよければ、長期間保存できるでしょう。

3-4.UHT滅菌法

130度~150度の超高温で滅菌する殺菌方法です。
ここまで熱すると、牛乳の中に生息している菌類はほぼ死滅します。
ですから、その状態で密閉すればより長期間保存できるのでしょう。
賞味期限が長い牛乳を作りたいときに用いられる方法です。

4.無殺菌の牛乳は飲めないの?

無殺菌の牛乳は、酪農家でもない限り飲む機会はほとんどないでしょう。
しかし、わずかに無殺菌牛乳も流通しています。
これは、厳しい検査に合格して流通している牛乳で、値段も高いです。
また、無殺菌ですから賞味期限も当然短くなります。
無殺菌牛乳は抵抗力の弱い子どもや高齢者が飲むとおなかを下しやすいでしょう。
ですから、無殺菌牛乳を飲む機会があったら、子どもや高齢者は様子を見ながら少しずつ飲んでください。
なお、海外で無殺菌牛乳を飲む機会があった場合は、牛が飼育されている環境に注意しましょう。
海外では、清潔とはいえない環境で牛が飼育されていることも珍しくありません。
また、牧草地以外の場所で放牧されている牛は、毒草を食べている可能性もあります。
毒草の中には、牛乳に毒の成分が出る者もあるのです。
ですから、よほど管理がしっかりしている牛でない限り無殺菌牛乳を勧められても飲まない方がよいでしょう。

5.殺菌方法による牛乳の使い分方

牛乳はただ飲むだけでなく、バターやチーズなどいろいろなものに加工されます。
手作りバターやチーズを作る方法やキットなども、たくさんネットで公開されていたり販売していたりするでしょう。
また、市販のヨーグルトに牛乳を加えて、手作りヨーグルトを作る機械もあります。
このように、牛乳を加工する場合は牛乳の中に存在している菌の力が必要です。
ですから、低温で長時間殺菌した牛乳の方が成功しやすいでしょう。
逆に、家族が少なく、1リットルの牛乳パックを長い時間かけて飲むという場合は、UHT滅菌法のような牛乳を使った方が、賞味期限が長く腐りにくいです。
なお、低温で長時間殺菌した牛乳は高温で殺菌した牛乳よりも賞味期限が短く、雑菌が繁殖しやすいでしょう。
ですから、パックやビンに直接口をつけて飲んだり、常温に長時間置いておかないようにしたりしてください。
ヨーロッパでは、びんづめの牛乳をそのまま室内に置いておくこともありますが、それは低温で乾燥している気候だからできるのです。
日本で同じことをすれば、あっという間に腐ってしまうでしょう。
また、手作りのバターやチーズ、ヨーグルトも市販品に比べればずっと腐りやすいです。
一度に大量に作ることはせず、できたらその日のうちに食べきってしまいましょう。
また、味見をしてみて苦かったり舌にさすような刺激があったりする場合は、腐敗している可能性が高いです。

6.おわりに

いかがでしたか?
今回は、牛乳の殺菌方法についていろいろとご紹介しました。
牛乳の殺菌方法については、いろいろな意見があります。
また、「牛乳を高温で殺菌すると味が落ちたり栄養が失われたりしている」と記載しているサイトなどもあるでしょう。
しかし、それは間違いです。
さらに、「低温殺菌牛乳ならば、牛乳アレルギーの子どもでも飲める」と主張している方もいますが、そんなこともありません。
牛乳アレルギーと殺菌方法は無関係です。
ですから、牛乳アレルギーの方はどんな方法で殺菌した牛乳でも、飲むのは控えた方がよいでしょう。
殺菌方法の違いによる牛乳の変化は、賞味期限の長さと味のわずかな違いくらいです。
ですから、よりしぼりたてに近い牛乳を飲みたい。
たくさんお金を出してでもよいから味わいたい、という方は低温殺菌牛乳を選びましょう。
より長期間安全な牛乳を飲みたい、という方は高温殺菌した牛乳を選んでください。


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