塩析と凝析の違いは何?いったいどんな現象が起こるの?


高校の化学の時間に、「塩析」と「凝析」について学習された方も多いでしょう。
何やら難しかったイメージだけが残っている方いると思います。
しかし、塩析と凝析は私たちの身近な製品にも使われているのです。
そこで、今回はこのふたつの違いや使われている製品についてご紹介します。
自然現象から食品まで実にさまざまなものに使われているのです。
また、塩析と凝析の違いを決定づけるものなどもご紹介しましょう。
興味がある方はぜひ読んでみてくださいね。

  1. 塩析や凝析が発生する条件とは?
  2. 塩析や凝析とは何か?
  3. 塩析と凝析の違いとは?
  4. コロイドが凝析しにくくなる方法とは?
  5. より滑らかなコロイド溶液を作るための方法とは?
  6. おわりに

1.塩析や凝析が発生する条件とは?

塩析や凝析についてご説明する前に、塩析や凝析が発生する条件についてご紹介しましょう。
塩析や凝析を行うには「コロイド溶液」を作る必要があります。
コロイド溶液とは、水に代表される水溶液の中に水の分子よりも大きな粒子が溶けこんだ溶液のこと。
塩水や砂糖水、泥水、さらに牛乳や豆乳、雲などはすべてコロイド溶液になります。
水は一見すると液体のように見えますが、拡大をすると水素原子と酸素原子が連結した分子からできているのです。
塩や砂糖などの顆粒(かりゅう)はとても小さいものですが、分子と比較すれば大きいでしょう。
そして、粒子が大きい分一見すると完全に水と粒子が混じっているように見えていても、何かのきっかけがあれば粒子と水は分離します。
この仕組みを利用したのが塩析や凝析なのです。

2.塩析や凝析とは何か?

塩析や凝析とは、粒子が水から分離して沈殿という現象を引き起こすことです。
前述したように、水に混じった粒子は分子同士が混じり合っているときよりも不安定な状態になっています。
ですから、水と粒子を引き離す物質を加えたり、刺激を与えたりすると水と粒子が分離して重い粒子は下へ沈むのです。
これが「沈殿」の原理。
沈殿というと、水の底に物質がたまった状態を指すことが多いでしょう。
しかし、沈殿はそれだけではありません。
粒子が水分を固めて凝固することもあります。
この効果を利用して作られた物質や製品が私たちの周りにはたくさんあるのです。

3.塩析と凝析の違いとは?

では、塩析と凝析はどう違うのでしょうか?
この項ではそれぞれの特徴とともにご紹介します。

3-1.凝析とは?

凝析とは、水との親和性が低いコロイド(疎水コロイド)に少量の電解質を加えることによって起こる現象です。
水との親和性が低いということは、分離しやすいということ。
電解質とは水に溶ける電気を通す物質の総称です。
代表的なものに塩があります。
河口付近に中州ができやすいのは、泥水に塩分が混じると凝析が起こり、水と泥が分離するため。
この分離した泥が川の底に積もって中州になるのです。

3-2.塩析とは?

一方、塩析とは水と親和性の高いコロイド(親水コロイド)に、多量の電解質を加えたことにより起こる現象です。
親水コロイドは疎水コロイドと異なり、少量の電解質を混ぜたくらいでは固まりません。
ですから、多量の電解質が必要なのです。
また、塩析は業績のように水と粒子がきれいに分離することも少ないでしょう。
粒子と電解質が結びついて固まるのです。これを「凝固」といいます。
代表的な製品が石けんや豆腐です。
豆腐は豆乳のタンパク質をにがりという塩化マグネシウムを主成分とする物質で固めたもの。
このタンパク質は、親水コロイドになりますので、電解質を加えても分離せず凝固したのです。

4.コロイドが凝析しにくくなる方法とは?

さて、親水コロイドが溶けこんだ水溶液の場合は、ちょっとやそっとでは塩析することはありません。
先ほどの豆腐を例に出して説明します。
豆腐はにがりを加えただけでは完璧に固まることはありません。
にがりを入れて固めた後に水を絞って初めてあの固さになるのです。
しかし、疎水コロイドの場合はわずかに電解質を加えただけでも凝析が始まってしまいます。
先ほどの川の中州がよい例でしょう。
河口付近は真水と塩水が混じり合いますが、そのときの海水の割合は決して多くはありません。
それなのに、泥が沈殿しやすいということは、それだけ水との結合が不十分なのです。
しかし、製品の中には疎水コロイドに電解質を加えて凝析をさせずに利用したい、というものもあります。
そのときに利用されるのが親水コロイドです。
親水コロイドを疎水コロイドに混ぜると、電解質を一定の濃度で加えても凝析しなくなります。
このときの親水コロイドを「保護コロイド」というのです。
保護コロイドを使った代表的な製品は、墨汁とインク。
墨汁は水に植物を燃やしたすすを溶いて作るのですが、すすは疎水コロイドになります。
ですから、単にすすを水で溶いただけでは時間がたつと分離してしまうのです。
そこで、親水コロイドの「にかわ」を混ぜることで、疎水コロイドを親水コロイドで包みこみ、分離しないようにします。
同じようにインクの場合は、アラビカゴムという物質を混ぜるのです。
すると、染料をアラビカゴムが包みこんで分離しにくくなります。
しかし、時間がたてば親水コロイドと疎水コロイドも分離するのです。
古いインクは染料と水分が分離していることがあります。
これは、親水コロイドが力を失ったためなのです。

5.より滑らかなコロイド溶液を作るための方法とは?

さて、ここまで塩析と凝析の違いについてご説明しました。
このふたつの仕組みを利用した製品がたくさんあることも、ご理解いただけたと思います。
塩析と凝析は、粒子の分子が細かいほどきれいにできるのです。
たとえば、牛乳のタンパク質を凝固させたい場合、タンパク質の大きさが不ぞろいだと、固まりにむらができます。
そこで、牛乳のタンパク質を均一にするように、よくかき混ぜるのです。
バターやチーズを作る一番初めの工程は、「原料となるミルクをよくかき混ぜる」こと。
これは決して無意味なことではありません。撹拌(かくはん)することにより、タンパク質の固まりを壊してより水中へ均一にタンパク質を拡散するのです。
このタンパク質を均一にする行為を「ホモジナイズ」ともいいます。
自然食品のお店で「ノンホモ牛乳」という製品を見たことがある方もいるでしょう。
このノンホモとは、ノン・ホモジナイズの略で、絞ったばかりで成分にむらがある牛乳のこと。
飲む分には構いませんが、料理を作る場合には不向きなのです。

6.おわりに

いかがでしたか?
今回は塩析や凝析の違いをご紹介しました。
豆腐や石けんなど身近なものが、塩析の仕組みを使っていることがお分かりいただけたと思います。
タンパク質の凝固というと、熱を加えることというイメージがありますが、塩化マグネシウムのような電解質を加えても起こるのですね。
ちなみに、豆腐や石けんは個人でも作れます。
人によってはにがりの成分を変えていろいろな硬さの豆腐を作って楽しんでいる方もいるでしょう。
石けんも同様です。
中に入れる香りや物質の違いで世界にひとつしかない手作り石けんを作れます。
ただし、にがりも石けんの材料も扱い方を間違えると、人体にとって有害な物質を使うのです。
にがりが危険物質?と思われる方もいるかもしれません。
しかし、にがりは一度に大量に摂取すると脱水症状を引き起こすほどの激しい下痢が起こることもあります。ですから、十分に気をつけて取りあつかいましょう。


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