工場の安全対策はどうすれば効果的? ヒューマンエラーの防ぎ方とは?


技術の進歩によって、一昔前に比べると工場での事故はいちじるしく減少しました。
しかし、その反面事故が起こりやすい工場と起こりにくい工場の差が大きくなっています。
そこで、今回は工場の安全対策の立て方やヒューマンエラーの防ぎ方などをご紹介しましょう。
工場で生産しているものによっては、多くの方に影響を与える場合があります。
機械の安全性は高まっても、それを使うのは人間です。
安全対策を怠ると、事故が発生しやすくもなるでしょう。
衛生管理者や安全管理者の方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

目次

  1. 工場の事故はなぜ起こる?
  2. 有効な安全対策の進め方とは
  3. おわりに

1.工場の事故はなぜ起こる?

安全管理対策を行う前に、工場で事故が起こる原因の代表例をご紹介します。
「うちの工場は大丈夫かな」と思う方は、自分の職場のことを思い浮かべながら読んでみてください。

1-1.マニュアル無視が事故を招く

今は、工場も機械化が進み人のかかわる過程は少なくなっています。
また、安全に作業ができるように作業の手順がマニュアル化されていることが一般的です。
しかし、仕事に慣れてくると、マニュアルどおりに作業するのが面倒くさくなることもあるでしょう。
その結果、従業員が勝手に作業工程を省略してしまうことがあります。
通常ならば、マニュアルを無視した時点で上司や工場の責任者が注意して正さなくてはなりません。
しかし、特に問題が起こらなければ、見逃されてしまうことも少なくないでしょう。
その結果、危険な作業が日常化して、事故につながるのです。
ヒューマンエラーの中でも最も起こりやすく、大きな事故につながりやすいでしょう。

1-2.罰則が厳しすぎる工場では事故が起こりやすい

事故はどんなに注意をしても起こるものです。
創業時から今日まで、どんな小さな事故も起こしたことがないという工場はないでしょう。
しかし、事故の中には自分で何とか対処をしようとした結果、かえって事態が悪化してしまうこともあります。
2005年に起きたJR福知山線脱線事故も、列車の遅れを何とか取り戻そうとして運転手がスピードをあげすぎたことが原因でした。ミスをしたら叱責をすることも必要です。
しかし、誰かに責任を押し付けたり罰則を厳しくしたりするばかりでは、事故は防げません。
どんなに注意をしても事故は起こります。
ですから、事故が起きたら速やかに周りに報告できて、再発を防止するシステムを作ったほうが効果的なのです。

1-3.「ひやり、はっと」はヒューマンエラーの始まり

いくら機械が進歩しても、それを操作するのは人間です。
前述したマニュアル無視もそうですが、いいかげんな気持ちで操作をしていても事故は起こりやすいでしょう。
人は、初めてのことをするときは緊張します。
注意力も高まり、ささいな異変も気づきやすくなるでしょう。
そのようなときは事故が起こりにくいです。
しかし、慣れが出てくると注意力も鈍くなり、ほかのことを考えながら仕事をすることもあるでしょう。
危うく事故を起こしそうになって、ひやりとしたりはっとしたりすることも増えるのです。
この、「ひやり、はっと」の経験をそのままにしておくと、やがて事故につながってしまいます。
「慣れている作業をしているときに起こった事故」というのは、この「ひやり、はっと」の経験を生かせなかった結果、という場合が多いでしょう。

2.有効な安全対策の進め方とは?

どうでしょう?現在、工場で発生する事故の多くがヒューマンエラーに由来することがお分かりいただけたと思います。
では、それをふまえてどのような安全対策をしていけば、事故が防げるのでしょうか?
この項では、その方法の一例をご紹介します。

2-1.安全対策の基本は整理整頓

朝礼で、毎日事故を起こさないように注意喚起(ちゅういかんき)を行っている職場は、珍しくありません。
しかし、いくら注意喚起をしても事故を起こしやすい環境で仕事をしていれば、事故は減らせないでしょう。
事故を防ぐために、まず行いたいのが職場の整理整頓です。
仕事の最中に散らかってしまうのは、しょうがないかもしれません。
しかし、作業が終わった後や就業後は、道具を使った場所に戻したり床や机の上にものを出しっぱなしにしておかないように徹底したりしましょう。
床にほこりがたまっているだけで、火事の原因になる場合もあります。
また、散らかった職場は従業員の集中力も散漫になりがちです。
ヒューマンエラーも起こりやすくなるでしょう。

2-2.危険予知訓練を行おう

工場で働いていると、「ひやり、はっと」の経験を持つ方も多いでしょう。
その経験を職場全体で共有し、安全対策を考えることも安全対策になります。
それが、危険予知訓練。
従業員の「ひやり、はっと」の経験を発表し、安全対策を考える活動です。
年に1回でもこのような活動を行えば、ヒューマンエラーをかなり減らせるでしょう。
取り組んでいる企業も年々増えているそうです。

2-3.事故の原因を、従業員個人の問題にしない

個人の重大な過失の結果事故が起こったり故意に事故を起こしたりしない限り、事故の原因を従業員個人に求めてはいけません。特に、機械などを職場の備品を壊してしまったときに、従業員に減給などの罰則を与えるとミスを隠そうとする空気になるでしょう。
その結果、取り返しのつかない事故が起こるまで、ミスが隠し続けられることもあります。
事故が起きたら、原因を考えて再発防止に努めましょう。
従業員を叱ることもありますが、責任のすべてを押し付けてはいけません。

2-4.従業員の精神状態もある程度把握(はあく)しておくことが大切

工場の中には、従業員が休みなく働き続けなければ、仕事が終わらないところもあるでしょう。
その結果、精神状態が悪化してしまう従業員も出てくるかもしれません。
今は、体の健康と同じように心の健康も重要視されています。
衛生管理者が職場巡回した際に様子がおかしい従業員を見つけたら、話を聞いてあげたり産業医との面談を設定したりしましょう。
特に、仕事のストレスでうつ状態になってしまうと正常な判断ができなくなっていることもあります。
そのような状態で働き続けられれば、いつか大きな事故を起こすかもしれません。
自分で判断がつかなくなっていますから、職場の人間が気づいて適切なケアをしてあげることが大切です。

3.おわりに

いかがでしたか?
今回は、工場の安全対策についていろいろとご説明しました。
まとめると

  • 工場の事故は、ヒューマンエラーが原因で起こることが多い。
  • 罰則を厳しくしても注意喚起を毎日しても、事故は起こる。
  • ひやり、はっとの経験を共有し、安全対策を考えるとよい危険予知訓練は安全対策として有効である。
  • 従業員の精神状態にも気を配ろう。

ということです。今は、事故が起こると会社に避難が集中することも珍しくありません。
ですから、事故が起こらないように、会社全体がミスを隠そうとしたり罰則を厳しくしたりすることもあります。
しかし、人の緊張感はいつかとぎれるのです。
そのときに職場が事故を起こしにくい環境であったり注意してくれたりする人が身近にいたりしたら、事故を未然に防げるでしょう。
安全対策は、注意喚起だけでは不十分です。
衛生管理者は職場巡視のときに気が付くことがあったら、安全管理者に即報告をしましょう。
これも安全対策です。


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